4/16 アカデミー作品賞・脚色賞を獲得した映画Moonlight、ご覧になりましたか?
Moonlightをどうしても見たくて、福岡まで行きました。公開日は3月31日って聞いていたので、その数日前、熊本での上映館はどこなのかな?って公式ホームページに行ったら、31日に公開されるのは九州では、福岡の5つの映画館だけ。佐賀と宮崎で4月29日のリリース。
Moonlightで扱われている人種、LGBT、そして麻薬・貧困の問題は、日本では分かりにくいから、という人もいるのですけれど、そんなことないと思うんです。特定の国の人をターゲットにした差別や搾取、性的マイノリティだとカミングアウトするのが難しい状況、子ども食堂に現れる経済格差。どれも映画の中の問題と根本は変わらない。「問題を見ないことで、問題をないことにする」そんな傾向を感じることが多くなった気がしています。
あることがきっかけで何かにふと気づいたら、途端に世の中には、それがいっぱい存在していることがわかった、ということあると思うんです。MoonlightはR-15指定なので、高校生以上なら見ることができますが、登場人物の高校の頃の様子を見て、共感したり、自分ならどうするか考えたり、映画を見ながら想像力を働かせ、母親の愛ってどんなものか、身につまされる、そんな経験が、人生の準備になるかもしれない。でも、そんな大きなチャンスになる、アカデミー作品賞を獲得した映画が、熊本には来ない。
熊本に来ないのは、そうしたドラマだけでなく、Pixar や Disney などのアニメの字幕版映画にも当てはまります。SINGという現在公開中のユニバーサル・スタジオの映画も、福岡と佐賀には字幕版があるのですが、熊本では無し。ちなみに佐賀市の人口は23万4千人、熊本市は74万人。三倍の人が住んでいても映画の字幕版がないのは、英語講師としては寂しすぎる。実は熊本県のセンター試験の英語の平均点は全国47都道府県の中で、かなり低いのです。そしてそれは、こうした質の高い洋画に触れる機会が奪われていることと関係があるように感じています。それは単に言葉の問題だけでなく、どんな多様な文化が世界に存在しているか、どんな社会問題が解決される必要があるのか、そうしたことを考える機会を奪っていることに等しいように思います。「熊本に生まれたけん、外国語は苦手」子どもたちにそんなハンディを背負わせないためにも、まずは熊本が外国語に対してオープンなまちになる、それが震災1年で、改めてまちが目指すべき目標になりうると感じています。
Kumamoto Curio 今日のBGMは “You Should Be Here” y Cole Swindellでした。
※6月3日からTOHO CINEMAS光の森・6月10日からDenkikanで上映が決定しています。
訂正してお詫びいたします。