8/20 「あなたは左派ですか?右派ですか?」と尋ねられたら、何と答えますか?
最近、大学や予備校では学生にアンケートを書いてもらい、講師が点数化される、ということがよく行われていますが、先月前期の終わりに、点数だけでは見えないところを知りたくて「何かコメントがあれば、どうぞ書いてね」と添えたところ、回答用紙の一枚にあったのが「先生は、左派ですか?右派ですか?好きな新聞は何ですか?」という質問でした。その学生が私に言ってもらいたい答えが透けて見えるような問いで、思わず苦笑いしてしまったのですけれど(笑)左派とか右派とかラベルを貼ることの意味を改めて考えた次第です。
学生への答えは、「私は、性別とか生まれた場所とか国とか、肌の色とか、病や障害とか、自分では選べなかったことで、差別をすることは間違っている、と考える人間です」というものでした。それを左派だというのなら左派かもしれませんが、日本の伝統的なものへの敬意もある程度持っているつもりですし、着物を着て、講義することもありますし、私が自らラベルを貼る必要はないかな、と思っています。
最近読んだジャーナリストの江川紹子さんのエッセイがとても好きでした。彼女が言及したのは「論破したい症候群」— 何の課題でも、敵味方や勝ち負けの発想が優先され、その結果、何が大切かを見失いがち、という、今、世の中に蔓延している現象です。一時期、高校でもディベートが重視される傾向が強かったのですけれど、ディベートの大会では、勝負をつけなければならないゆえに、現実とは懸け離れた前提が設定されていることもあり、疑問に思うことも多いです。もちろんデータをもとに、論理的な思考を鍛錬する、という意味ではとても有効。けれど相手を打ち負かすことに終わらず、異なる意見を交換し、価値観をすり合わせて、AとBの価値観から、新たにCという価値観を生み出そうとする「対話」の重要性を、平田オリザさんの言葉を引用しながら、江川さんが語っていらしたのが印象的でした。
新聞は3紙購読しています。全国紙、九州紙、地元紙に目を通すことで、一つの問題に関して、複眼的な見方ができれば、と思いますし、ファクトチェックするのも楽しみです。予備校講師としては、特に国語が苦手、という学生さんには、苦手ということで満足しないで、新聞を楽しむことお勧めします!「うちの子は国語が苦手で。。。」とお嘆きの保護者の方、まずは受験が終わるまででも、新聞購読してみませんか?
Kumamoto Curio 今日のBGMは “Sweet Summer” by Diamond Rioでした。