ご機嫌いかがですか、千田浩未です。

11/5 いよいよ今月、熊本初の「水俣病展」が、県立美術館分館で開催されます。

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いよいよ今月、熊本初の「水俣病展」が、県立美術館分館で開催されます。

最初に水俣病を意識したのは、小学校の高学年の頃だったと思います。新聞に毎日のように水俣に関する記事が掲載されていて、それを切り抜いてはKOKUYOのスクラップブックに貼り付けていました。子供心に、これは大変なことが起こっているらしい、と感じていたのだと思います。

それでも、正直、水俣病は、どこか遠くで起こっていて、自分に関係があることとは思えていなかった時期が長く続きました。変わるきっかけになったのは、原田正純先生との出会いです。常に患者の側に立って活動をされていた原田先生。その先生のお話を通じて、石牟礼道子さんの「苦海浄土」を初めて読んだのが30代初めだったでしょうか。「私は、どうしてこの作品のことを、もっと早くに知ることがなかったのだろう!」と残念に思うほど、不思議な美しさと哀しみを秘めた世界が描かれたこの「苦海浄土」、今、機会あるごとに予備校の学生に勧めています。

そして、これまで全国各地24会場、熊本以外でしか開催されてこなかった「水俣病展」がようやく今月11月16日(木曜日)から12月10日(日曜日)まで県立美術館分館で開催の運びとなりました。患者さんの500枚もの遺影、水銀のヘドロ、丸木夫妻による「水俣の図」のレプリカ、そしてユージン・スミスや、桑原史成(くわばらしせい)による写真展示などがあるほか、15分ほどで髪の毛を採取し、2ヶ月以内に測定結果を送付してくれるという毛髪水銀調査コーナーなどが並びます。アートディレクターとして知られる北川フラムさんが、20年前の東京展に寄せてくださった言葉は次のようなものでした。「美術は果たして社会と向き合えているのだろうか。美術が持つ明るさを、私は好む。その親和力や躍動感を私は好む。そしてその未来への予感は私たちを鼓舞してくれる。しかし、そのためには社会としっかり向き合い、文明の病根・社会システムの独りよがりを見つめ続けてなくてはならないと、この展覧会を巡りながら思い続けた」

今回の展示は20年ぶりにリニューアルされただけでなく、柳田邦男、池澤夏樹、いとうせいこう、若松英輔など、水俣に思いを寄せる多くの作家が参加するイベントが同時開催されるのも特徴的です。詳細は「水俣病展2017」のウエブサイトでご確認ください。

美術館分館は伝統工芸館のそば。朝9時半オープン、午後6時半まで。土日祝日は5時15分までと短めですが、金曜日は夜8時まで開いています。ぜひお出かけください。

Kumamoto Curio 今日のBGMは “2 Places at 1 Time” by Zac Brown Bandでした。

番組内容

熊本を “visitor-friendly"(訪れる人に優しい)地域に!
2019年にはラグビーワールドカップ2019、2019女子ハンドボール世界選手権大会の開催地となり、翌2020年の東京2020オリンピックにはインドネシアのホストタウンとなる熊本。
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