脚本家 橋本博行さん

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ヒューマン・ラボ
あらゆるジャンルの注目の人にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
現在、「リテイク 時をかける想い」が放送中。
熊本在住の脚本家 橋本博行さんがゲストでした。

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●プロフィール
 
名前:橋本博行
(ふりがな)はしもとひろゆき
 
プロフィール:脚本家1971年熊本市出身。
1990年に上京後、建設現場監督やギターショップ店員、広告制作会社勤務など数々の職を経験。
2008年、フジテレビ系ドラマ『ロス:タイム:ライフ』より脚本家としての活動を開始。
2016年より活動拠点を南阿蘇村に移す。
 
公式サイト
 
Q 橋本さんは、現在、熊本在住で脚本家として活動されていますが、
まず最初は、東京で演劇の作・演出をされていたそうですね。
どんな舞台をやっていたんですか?
 
基本的にはコメディ作品が多かったです。2時間尺のコントのような感じです。
ただコントっぽく見せておいて、実は複雑なプロットが入り乱れているような。
気楽に観られるけど、観終わったら満足感がある。敷居は低いけど奥行きがある。
そんな舞台づくりを心がけていました。
 
Q 演劇畑から、1999年ドラマ「ロスタイム・ライフ」の脚本家として
デビューされる訳ですが、きっかけは?
 
舞台を観に来てくれる友人の中に若手の演出家がいて、元々「ロス:タイム:ライフ」はその彼が作ったショートフィルムなんです。
それが連ドラ化されることになって、コンペ形式ではあるけど一本書いてみないかという誘いがありました。
その当時は演劇でも行き詰まっていて、先が見えない状況に陥っていました。
このコンペに落ちたら就職活動でもしようかなと思ってプロットを書き、それが採用されたのがデビューのきっかけです。
 
Q テレビのドラマの脚本は、どんな過程で作られるのですか?
 
ドラマにもオリジナル物だったり、小説や漫画が原作になっているものがありますが、僕はオリジナルものを得意としているので、まずは企画を考えてプロデューサーに提案します。
それが通れば制作に入ります。
ここからはプロデューサーと二人三脚の作業です。グッと現実的に、予算とかキャスティング、局から求められる方向性のことも含めて話し合います。
実際に制作に至る打率はとても低いのですが、常にアイデアはストックしておくようにしています。
プロデューサーの方から、「こういうジャンルで、何かいいアイデアありませんか?」と聞かれることも多いので、そういう時に「ありますよ!」とすぐに出せるように心がけています。
 
Q 脚本執筆の一番の苦労は、どんな点ですか?
また、スランプからの脱出法などありますか?
 
作品によって、すごくスムーズに楽しく書ける場合と、苦しくて苦しくて、のたうち回りながら書く場合があります。自分が得意なジャンルのはずなのに書くのが苦しかったり、逆に苦手なジャンルだなと思ってたのに、実際に書いてみるとすごく楽しかったり。
スランプに陥ることは日常茶飯事ですが、そこから抜け出すには人と会って話すのが一番効果的かもしれません。
街に一人で飲みに行って、お店の人や他のお客さんと喋ったりしてると、不意に頭の中が整理される瞬間が訪れたりします。
登山口が近いので根子岳に登ったりもします。
 
Q 現在、橋本さんは、南阿蘇村に在住ということですが、
熊本に戻った「きっかけ」のようなものはあったのですか?
 
東京に住んでいた頃から自然が好きで、頻繁にキャンプや登山を楽しんでいました。
平日に仕事をして、休日に山へ行くという生活を送っていたのですが、どうせだったらそれを逆にしてしまおうかと思ったんです。
書くのはどこにいてもできるし、長野か山梨あたりに引っ越そうかと思ったのですが、いや待てよ、故郷の熊本には阿蘇という素晴らしい大自然があるじゃないかと思い直しました。
脚本の仕事をどうやって続けるかは、とりあえず熊本に戻ってから考えようと。
 
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Q 熊本での生活は、橋本さんの創作活動に影響していますか?
 
もともと人混みがあまり得意ではなかったので、南阿蘇村での暮らしが始まってストレスがなくなりました。
それは作品のテイストにも表れていると思います。
以前は複雑で込み入ったストーリーのものが得意だったのですが、最近はシンプルで力強いストーリーが浮かんでくるようになりました。
 
Q 橋本さんが脚本を担当して最新作「リテイク時をかける想い」(毎週土曜日23:40~24:35)が現在放送中。
どんなドラマですか?ストーリーや見所をお願いします。
 
今から5年後の2022年にはタイムマシンが実用化されていて、現代にも未来人がやってきているという設定。
しかし現代にはまだタイムマシンはないので、一度やってきてしまうと元の時代には二度と戻れない。
このドラマでは、そんなリスクを冒してでも過去をやり直すために時空を越えてやってくる未来人と対峙する主人公の姿を描いています。
筒井道隆さんが演じる主人公は法務省の戸籍監理課という部署の役人で、ここは日陰部署なのですが、実は秘密裏に未来人を専用の施設に隔離するという任務を課せられています。
彼自身にも、家族やキャリアを失ったある出来事があって、「あの時に戻ってやり直せたら」という想いを常に抱えながらも、未来人に対して「今を生きる大切さ」を訴えます。
設定はSFなのですが、ヒューマンドラマの要素を楽しんでいただきたいです。
 
Q 「リテイク時をかける想い」は、準備中に熊本地震が発生。
実現まで大変だったそうですね。詳細を教えて下さい。
 
去年の1月から準備を進めていて、ようやく制作に入るというタイミングで熊本地震が発生しました。
実際、制作は東京で行われるので影響はなかったのですが、脚本を書くにあたって自分の精神的なものが一番の問題でした。
私の場合、脚本の執筆に際して精神状態が強く反映されるのですが、どうしても地震のことで頭がいっぱいになってしまって物語に入り込めなくなってしまうことが多く、今までの作品で一番書くのが辛かったです。
2011年の東日本大震災の時も同じことを思ったのですが、そういう事態に陥った時、エンターテインメントの必要性について考えてしまいます。
生きて行くのに水や食べ物、電気、道路などは必要だけど、テレビドラマや映画は人の生死には影響しない。
しかも今回は被災地に住んでいるのでなおさらそういう思いが強かったです。
 
Q ドラマに限らず、橋本さんの今後の夢などあればお願いします。
 
テレビやインターネット、書籍など媒体を問わずフィールドを拡げられるといいなと思っています。
また地元に貢献できるような仕事がしたいと思っています。
熊本を舞台にした物語作りにもチャレンジしたいです。
 
Q 熊本県民にPRしたいこと、今後の活動予定、お知らせなどあれば教えてください。
 
今は熊本県民ひとりひとりがそれぞれに大変な想いを抱えていると思います。
いろいろと迷ったり自己嫌悪に陥ったりもしますけど、少しでも楽しいことを提供できればなと。
自分の置かれた場所にしっかりと立って、無理せずやれることをマイペースでやっていけるといいですね。
現在は小説を執筆する準備を進めています。
 
橋本博行さん オフィシャルサイト
 

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