●ご出演者のプロフィール

 

名前：山本和紀

１９９０年日本野鳥の会熊本県支部に入会、現在、副支部長。

２００９年「くまもとの野鳥」写真図鑑（熊日出版文化賞受賞）の編集・発行を主導。

２０１２年から熊本県環境影響評価審査会委員就任。

 

Ｑ、日本野鳥の会普段の活動を教えてください。

 

ほとんど毎週、県下各地で探鳥会を開催。

野鳥の生息調査、野鳥写真展の開催、野鳥の保護に関する行政等への陳情・要請、野鳥保護啓発のための教育（小学校等へ出張授業）、熊本県内の野鳥に関する書籍の作成・発行、野鳥に関する講演。

熊本県支部のホームページもある。

 

日本野鳥の会 熊本県支部 オフィシャルサイト
http://yachoukumamoto.sakura.ne.jp/

 

Ｑ、熊本地震後、野鳥の生態や環境に変化はありましたか？

 

地震が４月中旬だったので、留鳥や夏鳥では繁殖に入っていた野鳥もいて、それらが営巣中であった場合は、巣が落ちたりして営巣を失敗している可能性がある。

ただ、その後、回復している可能性も有り、実態はよく分かっていない。

例えば、私が見ていたイワツバメは３月下旬から熊本市のある橋の下に営巣していて、その橋の周りを２００羽ぐらい飛び回っていたが、地震後、橋の周りを飛んでいた数は数羽程度に減っていた。

阿蘇では、草地が大きく崩れているところがあるが、オオジシギの繁殖地なども含まれていて、その繁殖に影響が無いか心配している。

また、家や建物が壊れたりしているところでは、それに営巣するスズメやツバメなどに影響が出ていると思われる。

今年も継続して調べないといけないが、地震前の数の把握が出来ていない鳥種も多い上、これから数を調べようと思っても、その調査自体が難しい鳥種も多く、地震による影響の全体像はよく分からないと云ったところが正直なところ。

 

Ｑ、今、熊本ではどんな野鳥が見られますか？

 

今は冬なので、冬鳥と一年中熊本に居る留鳥を見る事が出来る。

冬鳥の中で、水辺ではカモ類（ヒドリガモ、マガモ、コガモなど）、クイナの仲間のオオバン、絶滅危惧種のクロツラヘラサギ。

陸上の開けた所では、ツグミやハクセキレイの仲間。

森の近くではホオジロの仲間（カシラダカ、アオジ、ミヤマホオジロなど）、草原や葦原・干拓地では猛禽類（チュウヒ、オオタカ、ハイタカ、コミミズクなど）。

また、冬に大陸から渡ってくるミヤマガラスやコクマルガラスというカラスもいる。

今冬は干拓地にマナヅルが１０数羽越冬していたが数日前、北へ帰ってしまったようだ。

この他に、私たちがよく知っている留鳥（スズメ、カラス類、ハト類、サギ類、カラ類、猛禽類のノスリ、ハヤブサ、水辺ではカワセミ、ヤマセミ）が見られる。

海岸近くでは、シギ・チドリ類（ハマシギ、ダイゼン、シロチドリ）も見られる。

 

Q、これから春先まではどんな鳥が見られますか？

 

春先という言葉が何月までを指すのかよく分からないが、３月頃までは、ほぼ上と同じ種類の野鳥が見られる。

しかし、だんだん冬鳥が北へ帰り始めて、数が少なくなってきて、それと交代するように南から夏鳥達が渡ってくる事になる。

渡りの早い時期（３月、４月頃）には、ツバメ（一部越冬）、イワツバメ、アマサギなどが見られ、海岸部では夏羽になったシギ・チドリ類（オオソリハシシギ、チュウシャクシギ、他）が見られる。

また、この頃からウグイスなど野鳥のさえずりがよく聞かれるようになる。

５月になると夏鳥達が一斉に渡ってくる。

カッコウ類やアカショウビン、サンコウチョウ、アオバズクなど人気の鳥も多い。

 

Ｑ、今後の活動予定、イベントなど紹介してください。

 

インターネットをやられる方は日本野鳥の会熊本県支部のホームページに行事案内が掲載されているので、そこを見て欲しい。

直近の探鳥会では、２／２６（日）午前９時半から下江津湖で初心者歓迎探鳥会（集合場所：広木公園管理棟前）がある。

同じ日に人吉の一勝地駅の近くで球磨川の野鳥を見る探鳥会（集合場所：球磨村一勝地球磨橋左岸、集合時刻：午前９時半）も企画されている。

また、阿蘇・高森町にある南阿蘇ビジターセンターでは、３／３１まで、野鳥写真展『グルメな野鳥たち（山野の鳥の食風景）』を開催中。

 

日本野鳥の会 熊本県支部 オフィシャルサイト
http://yachoukumamoto.sakura.ne.jp/