「LOGAN/ローガン」

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キネマのススメ


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「LOGAN/ローガン」です。
 
2000年に第一作が公開され、世界的な大ヒットとなった「X-MEN」シリーズ。
この映画の成功が、のちのマーベル・コミックスの世界観を共有する「マーベル・シネマテック・ユニバース」への展開とつながっていきます。
その「X-MEN」を代表する人気キャラクターが、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリン、またの名をローガンです。
両手の甲から飛び出す、アダマンチウム製の6本の爪を武器に戦う姿と、どんな大けがも直してしまう自然治癒力で、強大な敵と戦ってきた、ミュータントのスーパーヒーローです。
この「X-MEN」シリーズが出世作となったヒュー・ジャックマンは、ウルヴァリン役でブレイクし、世界的なスターになりました。
 
実は、このウルヴァリン役、当初は別の俳優が予定されていました。
「ミッション・インポッシブル2」で悪役を演じていたダグレイ・スコットです。
ところが、「ミッション・インポッシブル2」の撮影が延びてしまい、「X-MEN」1作目の撮影とかぶってしまい、急遽、オーディションによって抜擢されてのが、ヒュー・ジャックマンだったんです。
今となっては、ヒュー・ジャックマン以外のウルヴァリンは、考えられないくらいの当たり役ですが、まったく違ったキャスティングの可能性もあったんですね。
 
今日ご紹介する映画「ローガン」は、そのヒュー・ジャックマンが、ウルヴァリンを演じる最後の作品となります。
2000年からスタートした「X-MEN」シリーズ、ウルヴァリン単独主演のスピンオフ作品も含めると10作あるんですが、シリーズ初の「R-15」指定の作品となります。
15歳未満は鑑賞できません。つまり中学生以下は鑑賞NGなんですね。
子供は観られない大人のウルヴァリン。
リアルで大人の物語にしたことで、ラストにふさわしい傑作映画が誕生しました。
 
ウルヴァリンことローガンのラストというだけあって、設定がまず衝撃的。
舞台は、ミュータントの大半が死滅した2029年。
長年の激闘で疲れ、不死身の治癒能力も失われつつあるローガンは、アメリカとメキシコの国境付近で、リムジンの運転手として働いています。
年老いて認知症を発症した「プロフェッサーX」をかくまいながら、ひっそりと暮らす姿は、かつての「X-MEN」のマッチョなイメージとはまったく違うもの。
これまでのヒーローだった姿を微塵も感じられない、やつれ果てたものになっています。
ある日、ガブリエラという女性に、ローラという謎めいた少女をカナダ国境のノースダコタまで連れて行って欲しいと頼まれます。
実はローラは、ある特殊な施設で育てられた子供で、そこから脱出してきたのです。
組織に追われるローラを預かることになったローガンは、「プロフェッサーX」とともに、3人で逃避行を繰り広げることになります・・・。
 
「プロフェッサーX」を演じるのは、おなじみのパトリック・スチュワート。
老いて弱々しいプロフェッサーの姿は、ファンにとっては、ある意味、ローガンより衝撃が大きいかもしれません。
彼らが保護する少女・ローラには、新星のダフネ・キーン。
監督は、2013年公開の「ウルヴァリン:SAMURAI」でメガホンを取った
ジェームズ・マンゴールドです。
 
今回の作品は、アメコミを原作とした作品ではあるものの。
西部劇を意識した映画になっています。劇中何度が映像も登場する「シェーン」1953年に作られた西部劇のレジェンド的な作品。
悪党と戦う流れ者「シェーン」の姿を少年のを通して描いた傑作西部劇です。
この「ローガン」でも、少女・ローラに人生を教えていく様子が、「シェーン」がダブってみえます。
「プロフェッサーX」が、「この映画を子供のころイギリスで観たよ。」とローラに語るシーンがあるんですが、実は、パトリック・スチュワートにとっても、少年時代の思い入れがある作品だったそうです。
 
今回の「LOGAN/ローガン」は、人間味あふれる姿を描くことをテーマにしているだけに、これまでの娯楽性の高いアクションを期待すると、あまりにリアルでシリアスな展開にちょっととまどってしまうかもしれません。
しかし、このラストは、主役を演じるヒュー・ジャックマンが提案したものだとか。
アメコミを原作とした作品の中では、これまで「ダークナイト」がもっとも完成度の高い作品だと言われてきました。
今回、「ダークナイト」に匹敵する傑作が誕生したということで、アメコミ原作の映画は、また新しい段階に突入したと言えそうです。
 
17年間、ヒュー・ジャックマンが演じてきたローガン。
その最後の姿を、ぜひスクリーンで目に焼き付けてください!
 
余談ですが、この作品で「X-MEN」のシリーズが一区切りついたので、これまで、それぞれ独立したシリーズとなっていた「X-MEN」シリーズと「マーベル・シネマティック・ユニバース」のシリーズが融合するのも、近い将来観られるかもしれません。
「X-MEN」と「アイアンマン」や「ハルク」「マイティ・ソー」の共演も見たいですね。
 
今日ご紹介した映画「LOGAN/ローガン」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■ユナイテッドシネマ熊本
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
「LOGAN/ローガン」オフィシャルサイト
 
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