「パトリオット・デイ」

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キネマのススメ

 
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「パトリオット・デイ」です。
記念日をタイトルにした映画というのが、実は結構多いのを知ってますか?。
最も有名なのは、先週テレビでも放送されました 宇宙人との戦争を描いた大ヒット映画、「インディペンデンス・デイ」。
これはアメリカ独立記念日のこと。
実際にアメリカでは独立記念日の週に封切られ大ヒットしました。
その他にも、クリスマスやヴァレンタインデイ、サンクスギビングデー(感謝祭)など記念日や祝日を映画タイトル織り込んだアメリカ映画がたくさん作られています。
実は、これには理由がありまして、家族で集まることが多いアメリカでは、特に祝日に家族が集まってパーティを開くことが恒例になっています。
そこで、パーティに集まった家族連れをターゲットにした記念日映画が多数製作されて、その記念日近くに公開されてヒットを狙うというビジネスモデルな訳です。
日本でも昔は、お盆の帰省客を狙った映画がたくさん作られていた時期がありました。
(寅さん映画とか・・・・・)
ところが今日ご紹介する映画は、そういうパーティ狙いの記念日映画ではありません。
 
この映画で描かれるのは、2013年4月15日に発生した、ボストンマラソン爆弾テロ事件。
アメリカ同時多発テロ以降、厳しい警備体制が敷かれていたアメリカ。
厳戒態勢の大きなイベントの真っ最中に起こったこの事件は、多くのアメリカ人にショックを与えました。
日本でも大きく報道され、まだ記憶に新しいところですよね。
しかも、発生からわずか102時間での犯人逮捕というスピード解決も話題になりました。
この事件の裏側を映画化したのが、今日ご紹介する「パトリオット・デイ」です。
 
タイトルの「パトリオット・デイ」とは、マサチューセッツ州、メイン州、ウィスコンシン州の3つの州で制定されている祝日・「愛国者の日」のことです。
この3つの州がある地域は、17世紀前半から移住しはじめたイギリス人によって築かれたアメリカで最も歴史の古い地域で、アメリカ独立戦争の緒戦となる「レキシントン・コンコードの戦い」が1775年4月19日に行われました。
そのことにちなんで、毎年4月の第3月曜日に「パトリオット・デイ」制定されています。
この日に行われるのが、ボストンマラソンで、今では、パトリオット・デイといえば「マラソン・デイ」といわれるほど、全米で有名な日として定着しています。
それだけにこの事件はショッキングなどものでした。
日本で言えば、お正月の箱根駅伝でテロが起きたようなもの・・・・と言えば、その事件の怖さが少しは感じてもらえるんではないでしょうか?
 
映画では、爆弾テロ事件の発生から捜査、解決まで、その知られざる裏側を事実に基づき、克明に描き出していくんですが、主人公となるのは架空の人物・トミー・サンダース巡査部長。
この主人公は、まったくのフィクションの人物ではなく、事件の捜査に関わった3人の警察官を一人の人物に集約して描いています。
一人は、爆発事件の混乱の現場を仕切ることになった警察官、ひとりは犯行現場の再現に協力して、犯人への重要な手がかりつかんだ警察官、もうひとりは、犯人逮捕の現場に立ち会った警察官です。
 
このトミー巡査部長を演じるのは、「ローン・サバイバー」や「ディパーテッド」、最近では「テッド」のコミカルな演技や「トランスフォーマー」シリーズでも知られる、マーク・ウォルバーグ。
また、「ミスティック・リバー」のケヴィン・ベーコン、「キング・コング 髑髏島の巨神」のジョン・グッドマン、「セッション」のJ・K・シモンズなど、実力派個性派俳優が脇を固めています。
 
監督は、「ローン・サバイバー」や「バーニング・オーシャン」でもマーク・ウォルバーグと組んだ、実録映画を得意とするピーター・バーグ監督です。
圧倒的な取材によって、この事件に関わった人物たちの詳細な様子が、再現されています。映画の冒頭では、まったく関係なかった人々が、事件の発生によって、どんな風に関わり合っていくのか、まるで繊細なタペストリーをつくるように物語が進行していきます。
 
普段は仲の悪い、FBIと地元警察が協力して捜査にあたる姿や、膨大な捜査資料から情報を見つけ出す様子、手に汗握るカーチェイスなど犯人を追い詰めていく姿は、見ごたえ十分。
 
しかし、この映画の一番の見所は、犯人逮捕の瞬間だけではありません。
犯人逮捕の後、ボストンの市民がテロの恐怖からどう復活していったのか・・・・というもう一つの物語が、実際の映像を交えてエピローグ的に描かれます。
キーワードは、テロの後、ボストン市民が口にしたスローガン「ボストン・ストロング~ボストンよ強くあれ」というメッセージ。
実際の映像で描かれるこの場面の説得力が素晴らしいです。是非注目して下さい。
 
「テロ」という言葉が、昔ほど遠いものではなくなった今、テロとの向き合い方について、改めて考えさせられる1本です。
大きな事件から立ち直る人間の素晴らしさを描いた作品としては、熊本地震を経験した私たちにも学ぶところが多い作品だと思います。
 
今日ご紹介した映画「パトリオット・デイ」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■ユナイテッドシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
「パトリオット・デイ」オフィシャルサイト
 
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。

FMK Morning Glory

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