「メアリと魔女の花」

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キネマのススメ

 
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「メアリと魔女の花」です。
日本のアニメーションだけでなく、世界のアニメに影響を与えてきた「スタジオジブリ」。
 
ところが「スタジオジブリ」は、2014年に公開された「想い出のマーニー」以降、制作部門を一旦解散してしまいました。
200人以上いたという制作部のスタッフは、外部に散って、新たな場所を模索することになりました。
その、ジブリ出身のプロデューサー、西村義明が、新たに立ち上げた、スタジオポノックの第1回長編作品が、今日ご紹介する「メアリと魔女の花」。
監督は、2010年の「借りぐらしのアリエッティ」で監督デビュー、2014年の「想い出のマーニー」ではアカデミー賞長編アニメ部門のノミネートを受けた米林宏昌で、ジブリを退社後、初めての作品となります。
 
では、その気になるストーリーですが・・・、主人公のメアリは、ごく普通の11歳の女の子。
田舎町に引っ越してきた彼女は、森の中で7年に1度しか咲かない不思議な花「夜間飛行」を見つけます。
それは、かつて魔女の国から盗み出された禁断の花でした。
花のおかげで1日だけ魔法を使えるようになったメアリは、はるか上空に浮かぶ魔法世界の最高学府・エンドア大学への入学を許されます。
ひょんなことから“100年に一人の天才”と勘違いされたメアリ。
しかし学長についたある嘘が、大きな騒動に発展していきます。
 
主人公のメアリの声を演じるのは、「湯を沸かすほどの熱い愛」で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した杉咲花。
メアリによって事件に巻き込まれてしまう少年ピーター役には、「借りぐらしのアリエッティ」で米林監督の信頼も厚い神木隆之介。
そのほか、エンドア大学の校長役を天海祐希、魔女の国から禁断の花を盗んだ魔女役を、満島ひかり、メアリの大叔母役を、大竹しのぶ など豪華なキャストが勢ぞろいしています!
 
スタジオポノックは、“ジブリの意志を受け継ぐために”設立したとプロデューサーの西村義明が語るように、日本でも3DCGやデジタル作画のアニメーションが増えている中、この作品は全部手描き。
しかもアニメーターの8割がジブリ作品に関わったスタッフです。
 
この「スタジオポノック」は、初めての作品を制作するのにあたって、初めてジブリが興行的に大成功した「魔女の宅急便」にあやかり、作品のテーマを「魔女」にしたというこだわりぶりです。
ポスターなどのコピーは、「魔女、ふたたび。」とかなりジブリ作品を意識したものになっています。
 
スタジオ名の付け方も、スタジオジブリを参考にしています。
「ジブリ」というのは、サハラ砂漠に吹く熱風が由来なんですが、「スタジオポノック」の「ポノック」とは、クロアチア語で“深夜0時”を意味するということ。
新たな1日の始まりということで、「スタジオジブリ」から生まれた新しいスタジオという意味が込められているようです。
 
さらに背景美術は「となりのトトロ」や「もののけ姫」などのジブリ作品で知られる、
男鹿和雄や武重洋二などが結集したスタジオ「でほぎゃらりー」が手掛けていて、まさにジブリの新作のようなスタッフで作られています。
この「でほぎゃらりー」の設立もアニメ業界的には注目されている事件で、ジブリ映画のキーマンであった背景や美術のスタッフがあらたな会社を設立したことで、今後、世界的な仕事をしていこうという狙いがあるようです。
この「でほぎゃらりー」設立の仕掛人は、スタジオポノックの西村プロデューサーと「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明監督。
この「メアリと魔女の花」では、世界最高峰のアニメーション美術が、また新たな表現に挑んでいます。
 
「メアリと魔女の花」は、もちろんファミリーで鑑賞できる楽しい作品なんですが、現実の世の中を反映した風刺的な描写も登場してきます。
クライマックスで人間がコントロールできない「ある恐ろしいシステム」が登場するところなどは、「東日本大震災」の原発事故を彷彿とさせる描写で、ドキッとさせられる観客も多いかもしれません。
ジブリ作品だとこういう描写はあまりなかったので、「スタジオポノック」らしさはこのあたりに出ているのかもしれません。
ジブリの遺伝子を受け継いだ新たなスタジオの始まりを、ぜひ体験してください!
 
余談ですが、「スタジオジブリ」は、制作部門を今年再開しました。
現在、引退を撤回した宮崎駿監督の長編作品を制作中です。
「宮崎駿、最後の長編」と宣言した今回の作品。まだ内容も公開時期も発表されていませんが、本家「スタジオジブリ」の動向も、今後気になるところです。
 
今日ご紹介した映画「メアリと魔女の花」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■ユナイテッドシネマ熊本
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
「メアリと魔女の花」オフィシャルサイト
 
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