毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。

今日は、松村奈央さんが夏休みということで、私、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介します。

 

今日ご紹介するのは、今週土曜日・7月22日から公開される「うつくしいひと サバ？」です。

 

FMKリスナーには、毎月1回の生放送「月刊行定勲」のパーソナリティとしてもお馴染みの行定勲監督。熊本出身の映画監督です。

「世界の中心で愛をさけぶ」、「北の零年」、「ピンクとグレー」など多彩な作品を手掛けるヒットメーカーとしてキャリアを重ねた行定監督が、故郷である熊本を舞台に、熊本出身者のキャストで撮影した作品「うつくしいひと」を発表したのが、昨年の春。

もともと地方創生の取り組みの１つとして、熊本県の依頼から生まれた作品でしたが、

撮影後に発生した「熊本地震」によって、作品の意味が大きく変わりました。

地震で被災する前の美しい熊本の風景を収めた貴重な作品として

復興のシンボルとなり、全国各地でチャリティ上映され大きな話題となりました。

今日ご紹介する「うつくしいひと　サバ？」は、その続編。

地震で傷ついた熊本の風景と、そこに暮らす人々の心情を描いています。

今年4月に行われた「くまもと復興映画祭」でお披露目上映されましたが、

今回、いよいよ映画館での一般公開となります！

 

今回のストーリーを紹介しますと・・・、舞台は、「熊本地震」から半年がたった熊本。

私立探偵の玉屋末吉の事務所に、友人の田上が1人の外国人を連れて現れます。

しかし、まったく言葉が分からない上に、聞き取れた言葉は「サバ」というひとことだけ。

それでも、仲間の助けで彼がマチューというフランス人で、病気で亡くなった妻・マリの遺骨を、益城町に住む父親に届けるため、はるばるフランスからやってきたことが分かります。

やがて、末吉たちは父親を探し出しますが、彼の心は震災で深く傷ついていました・・・。

 

前作から続けて、探偵・玉屋末吉を高良健吾、友人の田上を米村亮太郎が演じるほか、

橙書店の店員役を、中別府葵、益城町に住む父親を、中原丈雄など、熊本出身のキャストが出演しています。

橙書店の常連役として、今回も、前作に続いて「FMKパンゲア！」の黒木よしひろさん登場！

実にいい味を出しています。

 

また、玉屋末吉たちが、益城町で出会う少女を演じるのは、、先日、熊本でも上映された映画「夜空は　いつでも最高密度の青色だ」にも主演していた石橋静河。

ロックシンガーであり俳優でもある石橋凌と女優・原田美枝子の間に誕生したある意味、生まれながらの「女優」さんです。

バレエダンサーを目指してアメリカとカナダに留学していましたが、帰国後女優に転身したという、今後が期待の若手女優。

クライマックスの見事な演技で彼女のファンになる方も多いんではないでしょうか？

 

実は、行定監督は、昨年4月16日の本震の時に熊本にいて、大きな揺れを自ら体験しています。

だからこそ、「この地震を未来のために記録しておかなければならない」と、その直後から準備を始め、去年10月に、甚大な被害を受けた益城町や熊本城、阿蘇神社、阿蘇大橋で撮影を行いました。

そのどれもが、今は復興工事が進み、当時の様子とは様変わりしていますから、地震から間もない時期に撮影を敢行した行定監督の判断の的確さが光りますね。

また、映画で描かれる人々のセリフやエピソードは、監督が実際に被災者の方からかけられた言葉や、本当のエピソードが反映されているそうです。

 

映画のチラシにかかれたこの映画のキャッチコピーは、「それでも熊本で生きていく」

熊本に生きるいまの私たちを描いた映画なんです。

上映時間およそ40分の短い作品ですが、1本の映画以上に深い感動を与えてくれると思います。

是非、映画館で鑑賞してほしい作品です。

 

行定監督は、この「うつくしいひと」を、復興から立ち上がっていく熊本を描くシリーズにするという構想を、インタビューなどで語られていますが、次は地震発生当日を描くシリーズ3作目、スピンオフ的な作品を目指しているそうで、現在、脚本の執筆中だとか！

こちらも楽しみですが、まずは今日ご紹介した「うつくしいひと　サバ？」を観ていただきたいですね。

 

今日ご紹介した映画「うつくしいひと　サバ？」は、

■Ｄｅｎｋｉｋａｎ　　

で、今週土曜日・7月22日から公開。

初日の22日と翌23日には、行定監督の舞台挨拶も行われます。

映画の撮影秘話なども語ってくれると思いますので、楽しみですね。

 

「うつくしいひと サバ？」オフィシャルサイト

http://kumamotoeiga2.com/