熊本県聴覚障害者情報提供センター 水民喜代さん

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月曜対談
「ひと」「もの」「こと」に関わるさまざまなトピックを切り取っていくインタビュー「月曜対談」。
熊本県聴覚障害者情報提供センターの水民喜代さんがゲストでした。

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●ご出演者のプロフィール
名前:水民喜代 (ふりがな)みずたみきよ
所属・肩書き:熊本県聴覚障害者情報提供センター
 
プロフィール:
平成2年熊本県ろう者福祉協会職員になる。
(それまでは家業を手伝っていた)
趣味は飼い猫と遊ぶこと。
ピアノと社交ダンスを習っているが、上達も進歩もあまりない。
認知症予防と運動不足解消のため続けている。
 
Q「熊本県聴覚障害者情報提供センター」について、基本情報をお願います。
 
住所:熊本市東区長嶺南2-3-2
TEL096-383-5595FAX096-385-7821
ホームページ http://kumajou.jp/
 
Q「熊本県聴覚障害者情報提供センター」はいつ、どんな目的で設立されましたか?
 
平成3年10月熊本県ろう者福祉協会に事業委託される。
平成4年11月熊本県聴覚障害者情報提供センターとして現在の場所にオープン
情報提供センターは、身体障害者福祉法にある「視聴覚障害者情報提供施設」。
聞こえない人の社会参加を支援するための施設。
聴覚障害者の方への情報提供が中心だが、熊本では聴覚障害者側の情報を一般の方々に発信する意味での情報提供を大切にしている。
 
Q「熊本県聴覚障害者情報提供センター」では、どんな活動やサービスを行っていますか?
 
①聴覚障害者向け映像制作と提供
手話キャスター(聴覚障害者)が進行する情報バラエティ番組「みるっく」などの制作
県広報番組などの字幕制作ビデオライブラリーでの貸出
②コミュニケーション支援
手話通訳者・要約筆記者・盲ろう者通訳介助員の養成と派遣
遠隔手話通訳サービス情報機器の貸出
③電話リレーサービス(手話・文字)
④聴覚障害にかかわる相談⑤各種講座の開催・部屋の貸出
ほかにメールなどによる情報発信(地震の時に非常に役立った)
 
Q水民さんは「字幕制作」担当ということですが、どのような活動をされているのですか?
現在はほとんどのテレビ番組や日本映画のDVDなどに字幕が付くようになりましたが、水民さんはどんなものに字幕を付けているのでしょうか?
 
熊本県広報番組への字幕制作。(放送されるものなので、事前に広報課の点検がある)
情報提供センターで自主的に制作する映像への字幕制作。
ローカル番組を中心に、字幕放送がなかった番組やDVDなどへの字幕づけ。
※キー局の番組であっても、早朝や深夜の番組は字幕放送の対象になっていない。また、邦画のDVDも日本語字幕がついていないものも少なくない。
字幕以外の仕事は、ビデオライブラリーの管理、字幕制作ボランティアの養成、要約筆記者の養成と派遣など。
 
Qテレビ番組における「テロップ」や「字幕放送」と、水民さんが付けている「字幕」の違いは何ですか?
 
最近は出演者の話や反応を強調するためにテロップがつけられることが増えているが、聴覚障害者向けの字幕は、音声が聞こえない聴覚障害者のために番組全体の内容がわかるように作るもの。
したがって、話し声だけでなく物の音も字幕の対象になる。
また複数の人の会話がある場合は、誰が言っているか分かるような工夫も必要。
洋画の字幕の場合1秒につき4文字という基準があるが、聴覚障害者向け字幕もこの基準に合わせている。
ただし、背景となる映像を見る時間(考える時間)が必要なので、さらに文字数を制限させることも多い。
聴覚障害者の特性として、聴覚から入ってくる情報が少ないために漢字の読み方を間違えやすい傾向がある。
そのため、読み間違えやすいと思われる漢字には読み仮名をつけるようにしている。
(例:「万博」長年「ばんはく」と思われていた聴覚障害者の先生がいた)
 
Qこれまでの活動で印象に残っているエピソードはありますか?
 
ホームドラマの字幕を見られた聴覚障害団体の会長さんが、「家族は、主人公がいないところでも話し合っていることが分かった!」と感動されたこと。
初めて字幕付きの映画を見た方が、「字幕が間違っていた。鳥がいないのに(鳥の声)という字幕があった。」と言われたこと。
熊本城の歴史を紹介したローカル番組に字幕をつけたところ、「熊本城は第二次世界大戦で焼けたと思っていたら、明治の西南戦争で焼けたのね!」と驚かれたこと。
3.11以降に放送された、熊本の地震災害を予想した熊本ローカル番組に字幕をつけた。
それを見た聴覚障害者の方が地震保険に加入されていたらしい。
昨年の熊本地震後、「あの番組を見たので良かった」と言われた。
 
Q水民さんは「字幕サークルおむすび」にも所属しているそうですが、このサークルではどんな活動をしていますか?
 
主に情報提供センターで制作するライブラリー貸出用の字幕制作。
現代美術館の月曜ロードショーの映画の字幕制作。
この場合は、映像に字幕を重ねて編集するのではなく、映画のスクリーンの横に字幕を投影している。
以前は、難聴協会からの依頼で清和文楽に字幕を投影したり、劇場映画への字幕投影に取り組んだことがある。
昨年は、聴覚障害者のための地震復興イベントにおいて、行定監督の「うつくしいひと」にも字幕投影を行った。
 
Q「字幕サークルおむすび」が字幕協力した日本映画が、熊本市現代美術館が開催している「月曜ロードショー」で上映されているそうですが、今後の上映予定を教えてください。
 
12月11日(月)午後2時~午後5時~上映予定
「ねこにみかん」戸田彬弘監督(1時間45分)
 
今日のゲストは、熊本県聴覚障害者情報提供センターの水民喜代さんでした。

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