毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。

毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。

 

今日ご紹介するのは、現在公開中の「パーティで女の子に話しかけるには」です。

 

タイトルを聞いて、「あぁ、なんかいかにもオシャレな恋愛映画っぽいな」と思ったかたも多いかもしれませんね。

確かにこの映画、男の子と女の子が出会って恋に落ちるという「ボーイ・ミーツ・ガール」タイプの映画なんですが、その展開がちょっと意表をついています。

これは、予告編でも明らかになっているので「ネタバレ」ではないと思いますので、思い切って言いますけど・・・・・・。

意表をついた展開とは、・・・・「出会った女の子はなんと宇宙人！だった。」ということ。

でもこの映画は、よくあるハリウッドの大作映画のようなビジュアル・エフェクト満載の物語ではありません。B級SFでもありません。

宇宙人の女の子が、少年とパンク・ミュージックに出会った末に起こる「ある事件」を描いた作品。

恋と、音楽と、ちょっぴりＳＦテイストも混じった胸がキュンとなるような「ラブ・ストーリー」なんです。

 

舞台は、1977年のロンドン郊外。

世間は、エリザベス女王の即位25周年のお祝いに沸いています。

大好きなパンクロックだけを救いに生きる、冴えない少年・エンは、友人たちとパンク・ミュージックの同人誌を作っていいます。

当然、大人たちからは相手にされず、学校でも浮いた存在。

 

そんな彼が、偶然潜り込んだパーティで、不思議な魅力を持つ美少女・ザンと出会います。

好きな音楽やファッションの話で盛り上がった2人はすぐに恋に落ちますが、なんとザンは遠い星からやってきた「宇宙人」でした！

しかも一緒に過ごせる時間は、彼女が自分の星に帰るまでの48時間・・・。

2人は、大人たちが決めたルールに抵抗し、大胆な逃避行に出るのですが・・・。

 

美少女の宇宙人を演じるのは、「ＳＵＰＥＲ８/スーパーエイト」や「マレフィセント」のエル・ファニング。

子役からキャリアをスタートし、今や若手女優ナンバーワンの人気を誇る彼女が、今回も宇宙人役をキュートな魅力たっぷりに演じています。

奇抜なデザインの衣装も、お洒落にさり気なく着こなすシーンも多いですよ。

 

内気な少年・エン役には、2015年に史上最年少でトニー賞主演男優賞を受賞した実力派のアレックス・シャープ。

また、オスカー女優のニコール・キッドマンが、若いパンクロッカーたちを仕切るボス的存在の女性を、強烈なインパクトで演じています。

 

監督は、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェル監督。

ミッチェル監督はアメリカ人ですが、10代を1970年代のイギリスで過ごし、パンクムーブメントの熱気を肌で感じ取った経験の持ち主。

この映画も、“パンクのもつエネルギーを、若い世代に伝えたい”という思いでつくったそうで、甘く切ない恋愛映画の中に、パンクの強烈なインパクトが同居する、斬新な作品となっています。

 

映画の中盤で、エンとザンが即興のバンドを結成して、パンク・ミュージックを演奏する場面が出てきます。

70年代のライブハウスでもこういう風にパンクが誕生したんだなぁ・・・と思わせてくれる名場面になっています。

 

でも、70年代のことやパンクなんか知らないと楽しめない映画かというと、そうではありません。

地球のことを知らない宇宙人であるヒロインのザンと同じように、まったく当時を知らない視点でも楽しめるように、映画が構成されていますので、ご心配なく。

 

さらに追加情報をお伝えしますと、劇場で販売されているパンフレットが、素晴らしい出来です。

主人公・エンたちが作っている同人誌のスタイルで編集されていて、70年代のカルチャーやパンクに関する詳細な解説が掲載されています。

映画を観終わった後に読むと、さらに感動が深くなるサブ・テキストです。

映画を観た後はパンフレットの購入をおススメします。

 

ストーリーだけ聞くと、ちょっと変なドタバタ・コメディに思えるかもしれませんが、最初にご紹介したとおりこの映画は「ラブ・ストーリー」。

ラスト・シーンには、胸がキュンとなる展開が待っていますので、お楽しみに！

 

エル・ファニング大好きな女子はもちろん、70年代のＵＫカルチャーや音楽が好きな音楽マニアにも、さらには、青春映画でキュンとしたいあなたにもおすすめの一本ですよ！

 

今日ご紹介した映画「パーティで女の子に話しかけるには」は、

■Ｄｅｎｋｉｋａｎ

で、現在公開中です。

 

「パーティで女の子に話しかけるには」オフィシャルサイト　

http://gaga.ne.jp/girlsatparties/