映画「パディントン2」

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キネマのススメ


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
今日ご紹介するのは、現在公開中の「パディントン2」です。
 
さて、みなさんは「熊」が主人公の童話といえば、何を思い浮かべるでしょうか?
ディズニーでもおなじみの、「くまのプーさん」という方が、多いかもしれませんね。
「くまのプーさん」は、1926年、イギリスの作家A.A.ミルンによって発表された童話ですが、そのイギリスで、「くまのプーさん」と並んで親しまれているのが「くまのパディントン」です。
 
「くまのパディントン」は、作者のマイケル・ボンドが、1956年のクリスマス・イブに、妻へのプレゼントとして買った1匹のくまのぬいぐるみが元になっています。
当時、パディントン駅の近くに住んでいたことから、マイケルはこのぬいぐるみに“パディントン”と名付け、彼を主人公にした話をわずか10日で書き上げたと言います。
2年後に童話として出版されたこの話は、瞬く間に人気となり、世界40か国以上で翻訳されて3500万部以上を売り上げ、アニメや映画になりました。
 
このイギリス人なら誰でも知っている作品の映画化を実現したのが、プロデューサーの
デヴィッド・ハイマン。
「ハリー・ポッター」シリーズの大ヒットで有名な名プロデューサーですが、特殊技術をたっぷりと使って、見事に絵本の世界を映像化することに成功しました。
前作の「パディントン」は、全世界での興行収入が328億円の大ヒット。
今回の待望の続編では、スケールもさらに大きくなって、「もっと贅沢な動く絵本」とも言える作品になっています。
 
前作で、ペルーのジャングルからロンドンへ移住した、小さな熊のパディントン。
偶然駅で出会った心優しいブラウン一家との生活も何年かが過ぎ、今ではウィンザー・ガーデン地域の人気者になっています。
ある日、骨董屋さんでロンドンの街を再現した飛び出す絵本を見つけたパディントンは、育ての親であるルーシーおばさんの100歳の誕生日プレゼントに贈ろうと決意し、お金を貯めるため、初めてのアルバイトに挑戦します。
しかし絵本は何者かに盗まれ、犯人と勘違いされたパディントンは警察に逮捕されて、刑務所に入れられてしまいます!
果たしてパディントンの運命は・・・!?
無実の罪を晴らして家族のもとに帰れるんでしょうか?
 
この作品の中で、パディントンの敵役となる、“落ち目の二枚目俳優、ブキャナン”を演じているのが、「ロマコメの帝王」の異名をとる俳優、ヒュー・グラント。
公私ともにモテモテの彼が、意地悪でナルシストな悪役を熱演しています。
実は監督・脚本のポール・キングは、最初からヒュー・グラントを想定してこの役を書いていたとか。
ヒューは、台本に添えられていた“あなたに演じて欲しい、ピッタリの役です”という手紙を読んで、少なからずショックを受けたそうですが、悪役ながら愛すべきキャラクター像に興味を持ち、出演を決めたんだそうです。
ヒュー・グラントは、まず1作目の「パディントン」を観て、この作品に込められている前向きなメッセージに感銘を受けたそうです。
作品を気に入っていることは、ヒュー・グラントの演技がいつも以上にノリノリなことからも明白です。
俳優という特技を生かして、いろいろな人物に変装するシーンは、ヒュー・グラント以外の俳優では考えられないほどハマり役。
他の俳優では、ここまで面白くならなかったと思いますよ。
 
さらに、重要な俳優がもう一人。
「ハリー・ポッター」シリーズのマッドアイ・ムーディ役でも有名なブレンダン・グリーソンが、パディントンが刑務所で出会うコワモテの囚人・ナックルズを演じています。
最初は、パディントンを疎ましく思っていた彼ですが、正直で優しいパディントンがひねくれた心を次第に溶かしていきます。
この名場面は必見です。
この場面のキーワードは、パディントンが大好きな「マーマーレイド・ジャム」ですよ。
 
ここまで内容を紹介してきて、「どうせ子供向けの映画だろ!」と思われた方、そうではありません。
もちろん子供が見て楽しい映画であることは、間違いないのですが、作品に込められた深いメッセージは、むしろ人生の深みを知る大人の方が感動すると思います。
 
世界のあちこちで起きている国や人種の「分断」や「衝突」について、この映画は重要なメッセージを発信しています。
パディントンは、いつも、礼儀正しくて、親切で、人の中にある良い面を見つけようとしています。
そのパディントンに影響されて、周囲の人が変化してゆく様子を見ていると、映画の観客である私たちも、パディントンのような生き方ができるのではないか・・・・と思うようになるんです。
 
家族で見てもいいし、大切な誰かと見てもいいし、心優しく紳士的なくま、パディントンに癒されながら、あなたの人生を考えるきっかけになるような映画。是非、ご覧下さい。
 
今日ご紹介した映画「パディントン2」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■ユナイテッドシネマ熊本
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
熊本では、すべて「日本語吹替え版」での上映です。
「パディントン」の声を担当しているのは、1作目に続いて、松坂桃李。
意外と思うかもしれませんが、これがかなりはまり役。
パディントンのピュアなハートが感じられる声になっています。
 
「パディントン2」オフィシャルサイト
 
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