映画「リバーズ・エッジ」

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キネマのススメ


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、今週金曜日・2月16日から公開される「リバーズ・エッジ」です。
 
90年代を代表する漫画家として、今もファンを増やし続けている伝説の漫画家・岡崎京子。
岡崎京子は、1996年に交通事故で重傷を負い、その後遺症から現在は漫画を描いていませんが、その作品は「青春のバイブル」的な存在として、いまも多くのファンに読みつがれています。
ファンの思い入れが強い作品が多いからなのか、映像化が難しい作家と言われていて、
これまで映画化された作品は極端に少なく、2012年の沢尻エリカ主演「ヘルター・スケルター」ぐらいしかありません。
 
今回、その岡崎京子の最高傑作といわれるコミック、「リバーズ・エッジ」が、熊本出身、FMKでは「月刊行定勲」でもお馴染みの映画監督・行定勲監督の手によって、ついに映画化されました。
行定監督は、20年を超える監督キャリアの中で、これまで、漫画が原作の映画を監督したことがありません。
インタビューなどに答えて、漫画に対するリスペクトがあるゆえに、映画化を避けていたそうですが、今回オファーを受けて、「岡崎京子さんの名作はあまりに魅力的」だったということで、初めて漫画の原作を映画化することになったそうです。
 
その「リバーズ・エッジ」のストーリーは・・・・・・。
舞台は、90年代のある街。
主人公は、母と2人で暮らす女子高生、若草ハルナ。
ある日、恋人の観音崎にいじめられている同級生・山田一郎を助けたことをきっかけに、彼の宝物を見せられます。
それは、河原に放置された、人間の「死体」でした。
「これを見ると勇気が出る」という山田。ハルナの後輩でモデルの吉川こずえも、その死体の秘密を共有し、彼ら3人の間に、奇妙な友情が生まれていきます。
さらに、山田が付き合っているカンナ、ハルナの友達のルミもまた、様々な事情を抱えていました。
淀んだ川の流れのような日常の中、彼らの運命を狂わせる「夜」がやってきます・・・。
 
主人公のハルナを演じるのは、若手女優きっての演技派で知られる、二階堂ふみ。
彼女は16歳の時にこの「リバーズ・エッジ」原作のコミックに出会って衝撃を受け、それからずっと映画化を熱望していたんだとか。
「釜山国際映画祭」で、彼女から行定監督に話を持ちかけ、映画化の企画が動き始めたそうです。
 
キーパーソンとなる山田を演じるのは、「オオカミ少女と黒王子」で二階堂ふみと共演している、吉沢亮。
そのほか、森川葵、上杉柊平、土居志央梨、浅野忠信とCHARAの娘のSUMIREなど、期待の若手俳優たちが、素晴らしい演技をみせています。
 
今回の映画化のために、行定監督は、通常の劇映画とは違った取り組みを2つやっています。
ひとつは、映画の画面サイズ。この映画は、最近では珍しいスタンダード・サイズという画面サイズで製作されています。
最近の日本映画は、ビスタサイズというサイズが多くなっています。
ちょうど液晶テレビにピッタリと収まる縦横の比率の画面サイズです。
これに対してスタンダードは、ビスタサイズにより横が狭くなっています。
昔のブラウン管テレビの縦横比率と言えば分りやすいでしょうか?
「リバーズ・エッジ」は、このスタンダード・サイズで撮影したことで、画面がギュッと詰まった印象になり、90年代の若者が持っていた「閉塞感」を映像化することに成功しています。
 
もう一つは、ちょっとネタバレになるので、ここで詳しくは紹介しにくいんですが、かなり大胆な「ある仕掛け」が行われていて、登場人物の心の動きを詳細に描くことに成功しています。
この手法は、劇映画としては、とても珍しい試みなので、ちょっと混乱する人もいるかもしれませんが、かなり大胆な演出。
「フィクション」と「ドキュメンタリー」の境界を超えるような挑戦的な演出とだけ、言っておきます。
是非、ネタバレする前に映画をご覧になることをおススメします。
 
コミックの映画化にはずっと否定的だった行定監督が、そのポリシーを覆してまで手掛けた、「リバーズ・エッジ」。
原作の持つ世界観がそのままスクリーンに蘇ったようだと一足先に見た原作ファンから高い評価を受けているほか、今月15日から開催される「ベルリン国際映画祭」のパノラマ部門のオープニング作品にも選出されるというワールド・ワイドな話題作となっています!
今週末のワイドショーでも大きく扱われると思いますよ。
 
90年代をリアルに知る世代はもちろん、今の若い世代にもぜひ見てほしい1本です!
 
今日ご紹介した映画「リバーズ・エッジ」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
で、今週金曜日・2月16日から公開されます。
ちなみに、この作品は「R-15指定」。15歳未満の方は鑑賞できません。
 
「リバーズ・エッジ」オフィシャルサイト
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主題歌入り予告編

FMK Morning Glory

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