映画「シェイプ・オブ・ウォーター」

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キネマのススメ


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「シェイプ・オブ・ウォーター」です。
 
「シェイプ・オブ・ウォーター」は、昨日発表された「第90回アカデミー賞」で、最多13部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞の4部門で受賞。
アカデミー賞作品賞受賞作としては珍しいファンタジーラブストーリー作品です。
 
監督・脚本・製作を手掛けたのは、2007年公開の「パンズ・ラビリンス」で、一躍脚光を浴びた、メキシコの鬼才、ギレルモ・デル・トロ監督。
ロボットのバトル映画として大ヒットした「パシフィック・リム」も手掛けるどちらかというとSFやファンタジー畑の作品が得意な監督さん。
彼の持ち味は、美しさとグロテスクな要素が共存する独特の世界観で、今回の作品「シェイプ・オブ・ウォーター」でも、そのテイストが存分に発揮されています。
 
物語の舞台は、1960年代、冷戦下のアメリカ。
政府の極秘研究所の清掃員として働く女性・イライザは、ある日、研究所内にひそかに運び込まれた、不思議な生き物を目にします。
アマゾンで「神」と崇拝されていた“彼”の姿に心を奪われたイライザは周りの目を盗んで、会いに行くようになります。
幼いころのトラウマが原因で、声が出せず、普段は、他者と手話で会話するイライザでしたが、“彼”とのコミュニケーションに言葉はいらず、次第に2人は心を通わせていきます。
そんな矢先、イライザは、“彼”が国の威信をかけた実験の犠牲になることを知りす・・・。
 
主役のイライザを演じるのは、「ブルージャスミン」や「パディントン」シリーズのお母さん役でもお馴染みのサリー・ホーキンス。
演技力に定評のある彼女ですが、今回も言葉なしで感情溢れる素晴らしい演技を見せ、オスカーでも主演女優賞にノミネートされました。
彼女を支える友人役には、「ドリーム」のオクタビア・スペンサーと、「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンスが扮しているほか、イライザと恋に落ちる“彼”には、特殊メイクの達人と呼ばれ、ギレルモ・デル・トロ作品の常連となっている、ダグ・ジョーンズ。
背が高く細見のスタイルな彼の優しい内面を見事に演じています。
 
そして、イライザと“彼”を追いつめる軍人役を、「マン・オブ・スティール」のマイケル・シャノンが演じ、強烈なインパクトを残します。
この軍人役の彼が劇中で読んでいる本が出てきます。
「power of positive thinking~積極的な考え方の力」という本で、あのトランプ大統領も愛読書だという有名な自己啓発本です。
 
ちなみにこの「シェイプ・オブ・ウォーター」は、去年の「ベネチア国際映画祭」で金獅子賞を受賞しているんですが、ギレルモ・デル・トロ監督は、この映画を6才の頃から構想していたということで、長年映画化を熱望していたそうです。
この作品のため、監督業を1年間の休業して、プロモーション活動に専念しました。
それほど監督が自信を持っている作品ということですよね。
 
映画の冒頭でこんなナレーションが流れます。
「あのことについて語るなら、何を話そう・・・・。
真実と・・・・・愛と喪失の物語について
 そして、すべてを壊そうとした〝モンスター〝について」
この冒頭のナレーションで語られる「モンスター」が、何のことなのか?
映画を最後まで観た人には、わかる仕掛けになっていますので、冒頭のシーン見逃さないでくださいね。
 
この「キネマのススメ」のコーナーでここのところ紹介している映画は、どれも「外部の人間を社会がどう受け入れるのか?」ということを先週お話しました。
「希望のかなた」「パディントン」「グレーテスト・ショーマン」「はじめてのおもてなし」すべての作品のテーマが同じものでした。
この「シェイプ・オブ・ウォーター」でもそのテーマが繰り返し語られます。
「モンスター」だけでなく、当時の社会から排除されていたさまざまな人々が、登場しています。
「障害を持った人」だったり、「女性」だったり、「ゲイ」だったり・・・・。
ファンタジーという手法で舞台は冷戦の時代を描いているんですが、この作品は、現代の社会へ強いメッセージを発信しています。
 
「モンスター」・・・・「怪物」が本当は誰なのか?
その視点でこの作品を観ると、何故、2018年のアカデミー賞作品賞がこの作品になったのか、明らかになっていくと思います。
 
ぜひスクリーンで確かめてください!
ちなみに、この映画は「R-15指定」。中学生以下の方はご覧になれません。
子供には刺激的なシーンがありますので、ご注意ください。
 
今日ご紹介した映画「シェイプ・オブ・ウォーター」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■ユナイテッドシネマ熊本
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
「シェイプ・オブ・ウォーター」オフィシャルサイト
 
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
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