映画「犬ヶ島」

カテゴリー
キネマのススメ


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「犬ヶ島」です。
 
この作品は、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」や「グランド・ブダペスト・ホテル」など、独特の映像世界で知られるウェス・アンダーソン監督が、日本を舞台に作り上げたストップモーションアニメです。
今年2月に開催された「第68回 ベルリン国際映画祭」ではオープニング作品として上映され、コンペティション部門で銀熊賞(監督賞)を受賞しています!
 
 “ストップモーションアニメ”は、人形(パペット)を1コマずつ動かしながらカメラで撮影しては、撮った画をつなげて製作する手法のこと。
ウェス・アンダーソン監督は、2009年にも「ファンタスティック Mr.FOX」という作品でストップモーションアニメを製作しています。
 
実に9年ぶりとなる、アンダーソン監督のストップモーションアニメ。
撮影期間は、445日、670人スタッフが製作にたずさわりました。
この映画のために作られた人形は、1097体。半分は人間のキャラ、半分は犬だったそうです。
カットによって、同じキャラクターでも、特大、大、中、小と様々なサイズの人形が作られました。
最大の人形は1メートル超えるサイズ。最少のものは15ミリでした。
 
気になる「犬ヶ島」のストーリーですが・・・、舞台は今から20年後の日本。メガ崎市という都市では犬インフルエンザが大流行し、人間への感染を恐れた小林市長は、犬たちを「犬ヶ島」と呼ばれるごみ処理の島に隔離してしまいます。
12歳の少年・アタリの愛犬も、犬ヶ島に追放されることに・・・。
アタリは愛犬を探し出すため、小型機を盗み、たった一人で犬ヶ島へと向かいます。
 
以前から、親日家として知られているアンダーソン監督ですが、今回は「ストップモーションアニメで、小さな日本を再現したい」ということからスタートしたんだとか。
影響を受けた映画監督に、黒澤明監督と、宮崎駿監督の名前を挙げ、特に黒澤監督の「悪い奴ほどよく眠る」、「野良犬」、「天国と地獄」、この3つの作品を意識したと語っています。
劇中には、「七人の侍」の楽曲をそのまま引用した場面もあり、アンダーソン監督の日本映画への傾倒ぶりを感じさせます。
重要なキャラクターとして登場する小林市長の顔は、往年の三船敏郎にそっくりです。
 
日本映画に影響を受け、日本を舞台にしたストップモーションアニメといえば、去年公開された「KUBO 二本の弦の秘密」がありますよね。
あの作品は、昔話のような世界観で、浮世絵や着物など日本の伝統文化を徹底的に分析し、高い評価を受けましたが、今回の「犬ヶ島」は、もっと自由な発想で日本を描いています。
例えば、突然出てくる相撲や和太鼓、サムライ姿の人物など、いわゆる外国人が連想する“記号的な日本”がたくさん出てきます。一足先に公開されたアメリカでは、“日本をバカにしている”と怒った人もいたそうですが、細部にこだわるアンダーソン監督のこと、どうやら全てわかっていて、あくまで“ファンタジーとしての日本”を表現しているようです。
 
ボイス・キャストも、巨匠アンダーソン監督らしく豪華です。
エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、ハーベイ・カイテル、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンドなどのハリウッド・スターに加え、渡辺謙、村上虹郎、野田洋次郎などの多彩な日本人キャストも登場します。
 
全編が粋なセンスに彩られた「動く絵本」とも言えるこの作品。
ウェス・アンダーソン監督が描く日本の姿、ぜひスクリーンでご覧になってみてください!
 
今日ご紹介した映画「犬ヶ島」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
で、現在公開中です。
 
字幕版と日本語吹替え版の二つのバージョンで公開されています。
味わいがバージョンによって変わっています。

「犬ヶ島」オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/inugashima/

----
本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
詳しくはここ↓

FMK Morning Glory

「熊本の朝をさわやかに!」を合言葉にお届けしています。
毎週月曜~木曜の 7:30~10:34
パーソナリティ
月曜・水曜 長木真琴
火曜・木曜 松村奈央
番組ホームページはこちら