NPO法人HITOプロジェクト ロボット・プログラミング体験教室

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月曜対談
「ひと」「もの」「こと」に関わるさまざまなトピックを切り取っていくインタビュー「月曜対談」。
NPO法人HITOプロジェクトの前原栄輔さんがゲストです。
子どもたちを対象としたプログラミング教室についてお話を伺いました。

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● ご出演者のプロフィール

お名前:前原栄輔(まえはらえいすけ)
所属・肩書:NPO法人HITOプロジェクト理事・事務局長
 
Q 前原さんのプロフィールを教えて下さい。

1984年熊本生まれ。
熊本県立小川工業高等学校情報電子科卒業。
熊本県立技術短期大学校情報技術科中退(現情報システム技術科)。
幼少のころはプラモデルづくりが大好きで毎週組み立てていたものの、不器用でヘタだったため毎回どこかを壊していたが飽きずにつくっていた。
小中学生のころ、世間ではIT革命といわれながらも学校ではPCに触れる機会が少なかったが、ご多分に漏れず当時普及しだしたコンピューターゲームに夢中になり、それが工学分野へ興味を持つきっかけとなった。
高校は工業高校へ進学。
そこでPCアプリケーションの扱い方やコンピュータの基礎的な知識、教育用言語を用いたプログラミング実習等を通して情報技術関連を学ぶ。
その後、当初はボランティアスタッフで参加していたが、2011年よりHITOプロジェクトの事務局として活動している。
 
Q 改めて「NPO法人HITOプロジェクト」の概要を教えて下さい。
 
理系離れが見られた近年、モノづくり体験を通して青少年に工学分野へ興味関心を持ってもらうべく2007年に設立しました。
ロボット・プログラミング体験教室は、これまで熊本市を中心に大津町、合志市、宇土市、芦北町など県内各地で開催してきました。
また、大学等と連携して国際ロボットコンテストの熊本大会も開催しており、熊本から世界へ子どもたちがチャレンジできる場づくりを行っています。
住所:熊本市中央区坪井2丁目2-42ニュー広町ビル(7月に移転しました)
電話:096-247-6474
Mail:info@npo-hitoproject.or.jp
Web:http://www.npo-hitoproject.or.jp/
 
Q 前原さんはロボット・プログラミング体験教室で子どもたちに指導されているということですが、概要を教えて下さい。
 
【場所】
定期教室は事務所(坪井2丁目2-42)で開催しています。
その他、毎年数回体験教室も開催しています(主に熊本市内や菊陽町)。

【対象年齢】
小学3年生~6年生(時期により異なります)。定期教室は中学生も応相談です。

【教室の回数】
①定期教室は平日夜間や土日に月2~3回で開催しています。
詳細は時期によって異なります。
➁体験教室は、今年は初夏と秋に土曜又は日曜の昼で全3回程度開催します。
その他、大会に出場する選手向けに、夏・冬に練習会を別途開催するなどサポートも行います。
追加で開催したり、別のイベントを開催することもあるので、webページをご覧ください。

【使用教材】
LEGO社の「マインドストーム」を使用しています。
 
【指導内容】
ロボットを組立て、まずはロボットを動かしてみて、ものづくりを楽しむことから始めます。
ロボットを動かす中で、基本的なプログラミングの処理の流れを学んでいきます。
センサーを使って状況に応じて動きを変える制御なども学びます。

【生徒の男女比】
まだほぼ男子という状況ですが、以前に比べると体験教室では女子も増えてきています。
先日開催したサマースクールでは、3割が女子の申込みでした。
 
Q 使用している教材について、詳しく教えて下さい。

ロボットはモーター、センサー、ブロックパーツ等の部品から工具を使わずにタイヤで走るタイプのものを組み立てます。
動かすためのプログラムは、マウスでアイコンをクリックして並べる専用の簡単PCソフトを使って行います。
ロボットづくりでは、物をつかんだり持ち上げたりするアームや、ピンポン玉を飛ばすアームをつくります。
ロボットにペンをつけて図を描くロボットにもチャレンジしました。
プログラムでは、自動ブレーキや壁に当たらないよう並行して走る制御、黒線を自動でたどって走る「ライントレース」という制御をレベルに応じて複数のセンサーを搭載したり、センサーから入る情報(数値)を加工してモーターへの出力に変えるフィードバック制御を学んだりしています。
 
Q 可能であれば、スタジオで教材の体験をしてみたいのですが、実際に教材をお持ちいただいて少し教えていただけますか?
 
超音波センサーという壁との距離を測るセンサーを搭載したロボットをお持ちします。
プログラムもロボットが壁にぶつからないようにする簡単な自動ブレーキを行います。
 
Q 自分でプログラミングしてロボットが動くというのは、とても楽しいと思いますが、教室に通う子どもたちの反応はいかがですか?
 
はじめは「自分がつくったものを自分で動かした」という楽しさと驚きを感じてくれます。
少し進むと今度は「なんでこうなるんだろう?」といった疑問や「ここを変えてみたらどうなるだろう?」といった好奇心が出てきます。
また更に進むと、「なかなか思った通りに正確に動かない」とか「やりたいことを実現するにはどうすればいいか」という難しさやもどかしさも出てきます。
知れば知るほど奥深く感じていきますが、難しいものほど成功した時の達成感を強く感じてくれるので、少しずつステップアップしながら成功体験を積んでいけるようにしています。
そして、「失敗の原因は何か?」、「うまくいくためにはどうすればいいか?」、「もっといい方法はないか?」としっかり観察したり、分析したり、アイデアを出し合ったりしている様は真剣そのものです。
そうやって「トライ&エラー」をくり返してチャレンジし、大会などで成果が出たときは子どもたちの自信にも大きくつながっていると感じています。
 
Q 生徒さんたちが教室に通い始めたきっかけや動機はどんなものでしょうか?
 
保護者さんの希望もありますが、子どもたちが自分でやってみて楽しかったからということが多いです。
体験教室でアンケートを取ると、このような体験は初めてというお子さんが大半なので、まだ「ものづくりが好きだけど機会がない」という方も多いようです。
友達や家族(特にお父さんやお兄ちゃん)の影響ではじめるケースもありますし、小学校での必修化を受けて早くから取り組んでおこうという方もいらっしゃいます。
また、お子さんが真剣に取り組んでいる様子を見て「夢中になれるものが見つかってよかった」と喜ばれたり、「活躍できたことで自信につながった」という声もいただいています。
 
Q NPOとして活動を続けてこられて、熊本でのプログラミング教育に対する変化を実感できることはありますか?
 
保護者さん方の関心が高まっていると思います。
以前は、積極的に子どもに学んでほしいという方はかなり少数派で、「ロボットやプログラミングは特別な才能がある人だけのもの」という意識があったり、そもそもプログラミング教育というものは全く認知されていませんでした。
やはり小学校での必修化によってメディアで取り上げられることが増えたためというのもありますが、スマホの普及などコンピューターが身近なものになったことも影響していると思います。
そして、これまで大会にチャレンジしてきた生徒たちが次々と進学を迎えていますが、工学分野への希望をする生徒も増えています。
高校から工学分野へ進むものも、進学校を経て大学で学びたいというものもいます。
子どもたちがこれまでの経験をもとに、将来の目標に向けて自分で進路をしっかり考えて選択してくれることを期待しています。
私どもも、プログラミング教育や子どもの学びにより関心が高まるためにも、「学んだ子どもたちがどのような人材に育っていくか」ということをしっかり示していきたいと思います。
 
Q 前原さんが思うロボット・プログラミング教室の面白さはどんなところでしょうか?
また指導する上で大事にしていることはどんな点でしょうか?

面白いところは「決まった答えがないこと」です。
良し悪しはあれど、子どもたちの課題に対するアプローチは様々で、クリアすればそれがひとつの答えになります。
現実の社会でも大人に近づくほど「答えが用意されていない問題」に取り組まなければならないので、だからこそ子どもたちが自分で考えて自分で工夫していくことを大事にしています。
ものづくりは失敗するほど力がつくので、「失敗した数=チャレンジした数」としてプラス評価します。
今のうちにどんどんチャレンジして、どんどん失敗して経験値にしていくことで、より良い失敗の仕方も学んでほしいと思います。
また、意見を出し合って考えたり、役割分担をして進めたり、友達のアイデアを取り入れたり、よりよい答えを探したり、締め切りに間に合うように計画したり、試行錯誤したり、ときには遊び心を発揮したりと学べるものは多いです。
 
Q 最後にPRをお願いします。
 
毎年、大学と連携してロボット競技会を開催しており、今年は8月19日(日)に東海大学さんで開催します。
見学無料なので、熊本の小中学生がつくったロボットを見ていただき、お子さんにはぜひ同じ年代の子どもたちから刺激を受けてほしいです。
当日はロボット・プログラミングの体験ブースなども予定しています。
事前申込み制なので、詳しくはWebページをご覧ください。
教室では、9月に次期コース(10月開講予定)の体験会を開催予定です。
皆さまのご参加を心よりお待ちいたしております。
 
今日のゲストはNPO法人HITOプロジェクトの前原栄輔さんでした。

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