毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。

毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。

 

今日ご紹介するのは、現在公開中の「未来のミライ」です。

 

いよいよ夏休み！映画も夏の大作が続々と公開されていますが、夏休みの本命映画の１つと期待されているのが、ポスト宮崎駿の1人、細田守監督の最新作、「未来のミライ」です！

 

細田守監督のキャリアをご紹介しましょう。

最初は、東映動画のアニメーターとして、キャリアをスタートした細田監督。

東映動画では「デジモンアドベンチャー」、「ゲゲゲの鬼太郎」「ワンピース」などの作品にかかわり、若手演出家として注目されるようになりました。

一時、スタジオジブリで「ハウルの動く城」を映画化しようとしていた時期もあったそうです。

（残念ながら完成までは至らず、のちに、この企画は宮崎駿監督によって映画化されました。）

「おおかみこどもの雨と雪」の時に、自らのアニメーション制作会社「スタジオ地図」を設立し、自ら企画したこだわりの作品を製作しています。

そのあたりのキャリアが、宮崎駿監督と重なる点があり、「ポスト宮崎駿」と呼ばれるゆえんかもしれません。

前作「バケモノの子」も、大ヒットを記録、「君の名は」の新海誠監督とともに、次世代を背負って立つアニメーション監督と言われています。

 

これまで、少年少女の青春や冒険をテーマにした作品を数多く作ってきた細田監督ですが、今回の主人公は、なんと4歳の男の子・くんちゃん！

（「崖の上のポニョ」や「クレヨンしんちゃん」が5歳ですから、それより幼い！）

 

大好きなお父さん、お母さんに思う存分甘えて育ったくんちゃんですが、妹のミライちゃんが生まれ、その日々は一変します。

今まで自分だけに注がれていた愛情を、妹が独占している・・・。

生まれて初めての試練に戸惑うくんちゃんの前に、ある日、セーラー服を着た少女が現れます。

なんと、それは、未来からやってきた妹のミライちゃんでした！

ミライちゃんに導かれ、くんちゃんは、時をこえた冒険に出発します。

 

くんちゃんの声を演じるのは、これがアニメ声優初挑戦となる、上白石萌歌。（熊本でロケされた紅茶のＣＭでおなじみですね）

くんちゃんの妹・ミライ役には、細田作品常連の、黒木華。

両親役に、星野源と、麻生久美子、祖父母役に、役所広司と、宮崎美子など、超豪華なキャストが揃っています。

また、ある重要な役で福山雅治も出演しています。

数々のカッコいい役を演じてきた福山のキャリア史上でも、最もカッコいい役といってもいいキャラクターです。

是非、劇場で確認してください。

 

細田監督は、プライベートな出来事を作品に反映させることで知られています。

結婚し、親戚が増えた実感が「サマーウォーズ」に。子供が生まれ、その子育ての経験が「おおかみこどもの雨と雪」に。

子どもに読んであげた絵本の内容から着想した物語が「バケモノの子」に。

そして今回、妹が生まれた自分の幼い息子の姿が、主人公のくんちゃんになっています。

 

子どもを描く機会が減ったアニメーターのため、子どものスケッチ会を何度もかさね、実際に抱っこしてもらって、その重さや柔らかさを体感してもらったという細田監督。

くんちゃんの動きや表情に、その成果が表れています。

 

また、くんちゃんの父親が「建築家」という職業設定になっているため、舞台となる家のデザインが、かなり斬新なものになっています。階段状に広がりのある不思議な空間の建物。

ちょっと住んでみたくなる　この家も、物語のもう一つの「主役」とも言えるものなので、注目してご覧下さい。

 

もうひとつ、細田守監督作品は、衣装へのこだわりが凄いことでも有名。

舞台や実写映画でも衣装を担当するスタイリスト伊賀大介が、衣装を担当。

通常、アニメ作品では、キャラクターデザインの担当が着るモノもデザインするんですが、細田監督の希望もあって、プロのスタイリストである伊賀大介が登場人物の衣装を決めています。

主要キャラだけでなく、チョイ役の細かいキャラまで、細部にわたって衣装を設定しているのも、見どころのひとつ。

あまりアニメ作品には出てこないような服も出てきます。

このあたりも楽しめるポイントです。

 

子どもの目線を通して、家族の絆や命のつながりを描いた作品。

家族連れにおススメなのはもちろん、これからお父さん、お母さんになる方にも見ていただきたい1本ですよ！

 

今日ご紹介した映画「未来のミライ」は、

■ＴＯＨＯシネマズ　光の森

■ＴＯＨＯシネマズ　はません

■ＴＯＨＯシネマズ　宇城

■ユナイテッドシネマ熊本

■イオンシネマ熊本

で、現在公開中です。

 

「未来のミライ」オフィシャルサイト
http://mirai-no-mirai.jp