映画「日日是好日」

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キネマのススメ


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「日日是好日」です。
 
この作品は、先月15日に亡くなった、樹木希林さんが出演されていることでも話題になりましたよね。
原作は、エッセイスト・森下典子さんがおよそ25年間にわたって通った茶道教室での日々をつづった自伝エッセイで、主人公の典子を、黒木華、一緒に茶道教室に通う従姉妹の美智子を多部未華子、そして、2人が通う茶道教室の武田先生を樹木希林が演じています。
 
希林さんは、この作品と前後して、カンヌ映画祭パルムドールを受賞した「万引き家族」を撮影したそうです。
「万引き家族」のおばあちゃんと全く違ったこの映画の武田先生に、希林さんの女優としての凄味を感じてしまいます。
 
では、簡単にストーリーをご紹介しましょう。
主人公の典子は、“本当にやりたいこと”を見つけられず、毎日をなんとなく過ごしている大学生。
その様子を見かねた母にお茶を習うことを勧められた典子は、従姉妹の美智子と共に、近所の茶道教室に通い始めます。
教室を主宰する武田先生は、ちまたでは“ただ者じゃない”と噂される人物。
決まり事ばかりのお茶の世界に、初めはとまどった典子でしたが、お茶との出会いを通して、人生の大切なことを学んでいきます。
 
映画は、特にドラマチックな展開があるわけではないんですが、メインテーマとなる茶道教室での様子は、かなり時間をかけて描かれています。
お茶の先生を演じた樹木希林は、本格的にお茶を習っていたわけではないそうですが、原作者の森下典子は、「樹木さんのお点前が、武田先生とそっくりなときがある」と話していたといいます。
 
希林さんは、作品選びに厳しいと定評のある女優さん、脚本を読んで、典子の役を誰が演じるかで出演を決めようと思っていたそうです。
黒木華が典子を演じると聞いて、出演を決意。
それだけに、武田先生と典子のシーンは、とてもいい空気感がただよう素晴らしいシーンに仕上がっています。
 
監督したのは、「さよなら渓谷」や「まほろ駅前多田便利軒」で高い評価を受けた大森立嗣。
これまでは、人間の極限を描くようなハードな作品が多かった大森監督が、フィルモグラフィーの中でも最も「やさしい映画」が完成しました。
ちなみに大森監督のお父様は、舞踏家で俳優の麿赤兒、弟は、俳優の大森南朋という芸術一家です。
 
今回の作品では、武田先生のお家が季節を変えながら何度も登場してきます。
同じようにシーンに見えないように照明部と美術部ががんばって、障子越しに見える風景に季節を感じさせるような見事な演出がされています。
 
庭の風景だけでなく、お茶の道具や掛け軸、和菓子に至るまで細部を楽しめる映画になっていますので、お茶の世界を知らなくても、楽しめること間違いなしです。
 
ちなみに、タイトルとなっている、「日日是好日」は、茶道教室に飾られている言葉で、もともとは禅の言葉です。
文字通りに読めば、“毎日が素晴らしい日である”ということですが、そこから一歩進んで、“日々起こることの良しあしに一喜一憂するのではなく、今、あるがままを受け入れて生きれば、全てが素晴らしい日である“といった解釈がされています。
 
季節を感じながら、ゆっくりとお茶をたて、味わう。
私達の生活から失われてしまった、こういう時間にこそ価値があることを気づかせてくれる1本ですよ。
 
今日ご紹介した映画「日日是好日」は、
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
 
なお、
■本渡第一映劇
でも12月15日(土)から公開予定です。
 
大女優・樹木希林の素晴らしい演技、是非劇場で堪能して下さい。
以上、キネマのススメでした。
 
「日日是好日」オフィシャルサイト
 
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