映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

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キネマのススメ


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、12月28日金曜日から公開される「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」です。
実話の映画化には、フィクションにはない、ある種のパワーがあります。
大ヒット中の「ボヘミアン・ラプソディ」は、まさしく実話のパワーが持つ迫力に満ちた映画。
フレディ・マーキュリーという人物が実在していたからこそ、最後の「ライブエイド」のシーン20分の感動が一層増す訳です。
今日紹介するこの映画も実話が元になっていますが、今まで作られた「感動の実話」とは、ちょっと違ったアプローチの作品になっています。
 
この映画は、全身の筋肉が徐々に衰えていく難病、「筋ジストロフィー」にかかりながらも、自分の夢や、やりたいことに素直に生き、多くの人に愛された実在の人物、鹿野靖明さんと、彼の日常を支える学生やボランティアの姿を描いた、人間ドラマです。
 
「筋ジストロフィー」は、根本治療はまだ確立されていない難病。
手や足の筋力だけでなく、内臓の筋力も徐々に衰えるため、人工呼吸器も必要になっていきます。
鹿野さんは、たくさんのボランティアに支えながら日々を過ごしています。
 
こう聞くと、聖人君子みたいな障害者とやさしいボランティアの、絵にかいたような、美しい感動的な話かな~・・・、と思うかもしれません。
が!!この映画は最初から、その予想をことごとく裏切ってくれます。
 
王様のようなふてぶてしい態度でボランティアを呼びつけ、身の回りの世話をさせる。
気の利かないボランティアに文句を言う、新人に「帰れ!」と怒鳴りつける、象徴的なのは、タイトルでもある“夜更けにバナナを買いに行かせる”。
 
およそ、想像とはかけ離れた“障害者”の姿に、度肝を抜かれます。
この難しいキャラクター鹿野を演じているのは、大泉洋。
今年は、「焼肉ドラゴン」や「恋は雨あがりのように」という主演作で見事な演技を見せていましたが、この年末に、またひとつ代表作を発表してしまうというその仕事ぶりには、頭がさがります。
この映画の鹿野役は、毒を吐きまくるのに、どこか憎めない愛嬌のある主人公。
これ以上ないほどのハマリ役です。。
また体の動きが制限される中、セリフや顔の表情で細やかな心情が伝わる演技は本当に素晴らしいです。
 
鹿野のためのボランティア・チームに、ひょんな成り行きから、イヤイヤ加わることになったのが、高畑充希演じる、美咲。
鹿野のワガママに振り回されるボランティアに違和感を隠せない彼女は、「障害者はそんなに偉いの!?」と、正直に言ってしまいます。
しかし、ボランティアとして同じ時間を過ごすうち、鹿野の生きることへ前向きな思いに気づき、彼の魅力に心から惹かれていきます。
美咲は、私たち観客と同じ目線をもつ、分身ともいえる存在です。
 
そんな彼女がボランティアになるきっかけを作ったのは、
三浦春馬演じる、美咲の恋人で、医大生の田中。
自信の無さから、常に相手に気を遣い、本心を出せずに立ち止まっている。
この対照的な2人が、ボランティアを通じて成長していく姿も、爽やかな感動をよびます。
 
原作となった本は、フリーライターの渡辺一史が、3年の歳月をかけて書き上げたノンフィクションで、「大宅壮一ノンフィクション賞」と「講談社ノンフィクション賞」をダブル受賞するという快挙を成し遂げています。
 
自分に正直に、懸命に生きる鹿野さんの姿に、笑って、泣けて、そして“命”についても考えさせられる、素敵な1本です!
ぜひ、お正月休み、ご家族みんなでご覧ください!
 
今日ご紹介した映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■ユナイテッドシネマ熊本
■イオンシネマ熊本
で、来週 12月28日金曜日から公開されます。
 
「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」オフィシャルサイト
http://bananakayo.jp/

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