毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。

毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。

 

今日ご紹介するのは、現在公開中の「移動都市/モータル・エンジン」です。

 

この映画は、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや」「ホビット」三部作で知られるピーター・ジャクソン監督が、製作と脚本をつとめたＳＦファンタジー。

 

ピーター・ジャクソン監督と言えば、1987年のデビュー作「バッドテイスト」が有名。

監督、脚本、特撮、主演のパートをつとめ、低予算の自主製作映画ながら、高く評価されました。

その後、何作かの低予算作品を経て、1996年マイケル・Jフォックス主演「さまよう魂たち」からハリウッドを舞台に活躍するようになり、2001年からスタートした「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでは、アカデミー賞まで受賞する大監督にまで出世しました。

制作費もデビューの頃に比べれば何億倍かになっています。

いまでは、特殊効果を活用しながら、独特のタッチに魅了される映画ファンも多く、毎回、新作が待ち望まれている監督です。

今回は、ベストセラー小説の映画化。

原作は、イギリスの作家フィリップ・リーヴによる小説「移動都市」４部作のうちの１作目で、このシリーズを愛読していたピーター・ジャクソンが映像化を強くのぞみ、脚本とプロデュースを担当して、映画化を実現させました。

 

さて、そのストーリーですが・・・、人類をわずか６０分で壊滅させた“最終戦争”から数百年後の地球。

わずかに残された人類は、空中や海、そして地上に、移動する都市を作り、その中で暮らしていました。

中でも巨大な移動都市ロンドンは、食糧や資源を奪い合う荒れ果てた地上で小さな都市を丸ごと飲み込むことで成長を続けていました。

そんなロンドンの支配を企むのが、謎の男ヴァレンタイン。

過去の出来事からヴァレンタインに復讐心を燃やす少女・へスターは、ある都市の捕獲騒ぎに乗じてロンドンに潜入し、ヴァレンタインに近づくのですが・・・。

 

ヒロインのへスターを演じるのは、アイスランド出身の新星、ヘラ・ヒルマー。

彼女の相棒となる青年・トムには、アイルランド出身のロバート・シーハン。

へスターの宿敵ヴァレンタインには、「マトリックス」の悪役、エージェント・スミスや「ロード・オブ・ザ・リング」のエルフ王で知られるベテラン、ヒューゴ・ウィーヴィングが扮しています。

 

監督は、初期の作品「ブレインデッド」から２５年間、ピーター・ジャクソン監督の元でストーリーボードを担当し、「キングコング」でアカデミー賞視覚効果賞を受賞したクリスチャン・リヴァーズ。
これが監督デビューとなります。

バリバリのＶＦＸの使い手だけあって、「移動都市/モータル・エンジン」の映像もこれまでに見たことのない、すごいものになっています。

中でも、映画の前半、ロンドンが小さな移動都市を飲み込むシーンは圧巻！

ジブリアニメ「ハウルの動く城」を思わせる小さな都市が、地上をチョロチョロと逃げ回るのを、「天空の城ラピュタ」のような巨大都市ロンドンが銛を打ち込んで捕まえ、大きな口をあけて飲み込む様子は、まさに“食らう”という表現がピッタリです。

原作者のフィリップ・リーヴも、「都市が都市を食うときの映像は原作より上手い」と絶賛しています。

 

“未来を舞台にしたＳＦ”というと、ちょっと難しそうと思う人もいらっしゃるかもしれませんが、この作品、ものすごくザックリ言うと、“「ハウルの動く城」のビジュアルに、「風の谷のナウシカ」と「ワンピース」のストーリーを混ぜ合わせたもの“といった感じで、日本人にはものすごく馴染めると思いますよ。

 

原作の小説も、かなり宮崎アニメを意識した内容だったんですが、映画のほうは、さらに宮崎アニメの雰囲気が濃厚です。

特に「天空の城ラピュタ」の蒸気機関で動く巨大なマシーンなんかが好きな人は、たまらないと思いますよ！！

さらに言えば、「紅の豚」の戦闘機を思わせる飛行機も登場。主人公のへスターは、戦士としてハードな戦いに身を投じてゆく、「ナウシカ」や「もののけ姫」を思わせます。

 

さらに、クライマックスの空中大合戦は、「スターウォーズ」シリーズを思わせるもので、1本の映画で10本分ぐらいの映画を観たぐらいの満足感が得られます。

非常にコスパの高い映画ですね。

 

ピーター・ジャクソンが作り上げた新たな映像世界を、ぜひスクリーンでご覧になってください！

続編が見たくなる人が続出だと思います。

 

今日ご紹介した映画「移動都市/モータル・エンジン」は、

■ＴＯＨＯシネマズ光の森

で、現在公開中です。

字幕版、吹替え版の両方が上映中です。

 

「移動都市/モータル・エンジン」オフィシャルサイト

http://mortal-engines.jp/