映画「ブラック・クランズマン」

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キネマのススメ

 
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「ブラック・クランズマン」です。
 
この作品は、アフリカ系アメリカ人の映画監督として活躍し、話題作となった「ドゥ・ザ・ライト・シング」や「マルコムX」など、社会的人権運動をテーマにした映画を数多く世に送り、ヒットさせてきた、スパイク・リー監督の最新作。
ここ数年、ドキュメンタリーやテレビシリーズなどを手掛けてきたスパイク・リー監督ですが、この作品で久しぶりに映画本編に復帰、「第71回カンヌ映画祭」では、最高賞・パルムドールを受賞した「万引き家族」に続く「グランプリ」を受賞しました。
さらに今年のアカデミー賞では、作品賞や監督賞など全6部門にノミネートされ、見事「脚色賞」を受賞しています。
スパイク・リー監督としては、初のオスカー受賞となった作品です。
 
では、ストーリーをご紹介しましょう。
舞台は、1979年。
アメリカコロラド州のコロラドスプリングスの警察署に初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワースは、署内での差別や偏見に悩まされながらも、捜査に燃えていました。
そんなある日、ロンは、白人至上主義の秘密結社、「KKK(クー・クラックス・クラン)」のメンバー募集の新聞広告を発見。
勢いで電話をかけ、人種差別発言を繰り返して入団面接にまでこぎ着けてしまいます。
しかし黒人であるロンが、KKKに潜入することは無理。
そこで、同僚の白人刑事、フリップに協力してもらい、電話はロン、対面はフリップの担当で、二人で一役を演じながら、潜入捜査をすることになります。
果たして、彼らは無事、KKKの内部に忍び込むことができるのでしょうか!?
 
主人公のロンを演じるのは、「マルコムX」で主演するなど、スパイク・リー監督の盟友として知られるデンゼル・ワシントンの息子 ジョン・デヴィッド・ワシントン。
アフロヘアーにとぼけた風貌で、父のデンゼルとは、また違った魅力的な俳優です。
相棒のフリップを、「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバーが演じています。
黒人の刑事と白人の刑事が組んで潜入捜査をする、なんて、ちょっと作りすぎてると思うかもしれませんが、実はこれは、実話の映画化。
原作は、ロン・ストールワースの自伝小説です。
原作と違うのは、相棒のフリップがユダヤ人であること。
原作の中では相棒となる捜査官の人種は明かされていないんですが、映画ではKKKからの差別の対象となるユダヤ人と設定。
バレたら殺されてしまう、という緊張感が加わり、よりサスペンスフルになっています。
 
また映画の中には、「風と共に去りぬ」や「國民の創生」といった過去の名作映画の映像や70年代にヒットした「黒いジャガー」「コフィ―」といった黒人映画のポスターが出てくるんですが、これは、映画が黒人をどう描いてきたかという歴史を描いています。
特に、映画の古典として紹介されることも多い「國民の創生」は、映画史的には重要な映画でもあるんですが、KKKをたたえる表現があったりして、現代の視点から見るといおいろ問題も多い映画です。
スパイク・リー監督としては、この「國民の創生」に対して、彼らしい表現方法でケンカを売っていますので、是非、見逃さないでください。
 
こういった、アメリカの黒人差別の歴史に詳しくなくても、「笑える映画を目指した」というだけあって、純粋なエンタテインメントとして、楽しめる1本。
笑って、手に汗握って、ブラックパワーに圧倒されつつ、スパイク・リー監督の大きなメッセージを受け取って帰る、そんな作品になっていますよ!
 
今日ご紹介した映画「ブラック・クランズマン」は、
■TOHOシネマズ はません
で、現在公開中です。
 
「ブラック・クランズマン」オフィシャルサイト
 
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