知っておいて損はない家(不動産)〝賃貸〟のお話
春は引越しや異動のシーズンですね。
嬉しい出会いの先には、旅立ちもあります。
そこで今日は、持ち家を誰かに貸すという場合のモデルケースを参考に、
家(不動産)の賃貸について取材してきました。
取材先は弁護士法人「田中ひろし法律事務所」熊本県弁護士会所属で
代表弁護士の田中裕司先生に伺っています。
例)熊本に持ち家を持っていたAさん一家が、
旦那さんの栄転で東京へ引っ越すことになりました。
そこでBさんへ家を貸すことになりました。家賃も滞りなく納められています。
その後2年が経ち、Aさんがふらっと熊本の家の前を通ったところ
表札が見知らぬ人の名前になっていました(住んでいたのはCさん)。
しかし家賃はBさんから納められています。
この状況は二重貸しということになりますが、いかがですか?
田中先生→この場合大切になってくるのが、
Aさんの許可なしにBさんがCさんに家を貸している場合、無断転貸(又貸し)となります。
民法612条にも〔賃借人による賃借権の無断譲渡及び無断転貸の禁止と、
違反行為がなされた場合の賃貸人の解除権〕について規定があります。
Aさんの承諾を得ていない場合は、
Cさんとの信頼関係は成り立たないため解除権を用い出ていってもらうということもあります。
まずは承諾を得ているかどうかがポイントですね。
Q)例えば、BさんとCさんの関係が親子や兄弟という間柄だったりすると、
状況は変わってくるのですか?
田中先生→そうですね、その場合はまた変わってきますね。BさんとCさんの間柄を立証し、
家を貸すことになった理由なども話し、それでAさんが納得すれば良いと思います。
但し、(Aさんとしては)見ず知らずの人が住んでいる状況をよく思っていない場合、
Bさんとの信頼関係が崩れてしまうこともありますから、
きちんと契約書などで取り決めをし明示しておいたほうがよいでしょう。
ーなるほどですね、当たり前ですが 最初の取り決めって大事なんですねー
田中先生→契約書については、不動産屋さんが管理されている場合作ってくださることもありますが、
自分たちで作ることも可能です(賃貸者契約の雛形はインターネットなどでも参考にして頂けます)
もしご不安でしたら、専門家にみてもらうといいと思います。
一つ知っておいて欲しいのが、期間限定で持ち家を貸したいという場合の契約については
「定期借家制度」というものがあります。10年間なら10年間住んだら契約満了となり、
借りていた人は期間を延長せず退去する(しなければならない)という内容ですね。
通常の賃貸者契約では、契約更新をしていけば継続して住むことができますが、
上記の「定期借家制度」の場合 契約更新ができないため、気をつけるべき点があります。
不動産を扱うときに〝借地借家法〟というのがありまして、
特別なことがおきない限り借主は住んでいるところを半永久的に使用することができるんですね。
それを一時的にしか使用しない(できない)となると、
法的要件を満たした形で契約書の取り決めをする必要があります。
分からないことがあれば、一度弁護士など専門家に話を聞いてみられるといいと思いますよ。
ー田中先生、詳しく説明して頂きありがとうごさいました。
今日は不動産の二重貸し、無断転貸(むだんてんたい)についてお話を伺いましたー
<取材・文 前園 絵吏>