2018年12月15日放送「第20回 郷里に帰る」
四三が「兄、危篤」の知らせを受けたのは、昭和5年夏、秋田でマラソン指導の最中だった。あわてて駆け付けたが、すでに長兄・実次は息を引き取っていた。少年時代から父に代わって一家の柱として支えてくれた。実次がいなければ、東京高師にも行けず、“マラソンの金栗”とうたわれる今日もなかった。
深い悲しみの中で、四三は翌年の春、故郷へ帰る決心をした。39歳になった四三には既に4人の子供があった。スヤと結婚し、池部家を継ぐことになってから、17年もの歳月が流れていた。
ふるさとに帰ると、県内外の学校から「ぜひ校長になってほしい」という依頼が連日のように舞い込んだ。しかし、これまで大変な世話になった養母に孝行をつくし、熊本のスポーツ熱をあおろうという思いがあって、全て断った。
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