ご機嫌いかがですか、千田浩未です。

8/9 梯久美子さん、というノンフィクション作家ご存知ですか?

「かけはし」ちょっと珍しい名字だと思います。漢字一文字、木編に、弟、と書いて「梯」。梯久美子さんは、1961年熊本市生まれ。北海道大学を卒業、編集者を経て「散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道」で作家デビュー。2005年に出版されたこの本は、翌年「大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞。その年にちょうど、クリント・イーストウッド監督で、渡辺謙や二宮和也が出演した「硫黄島からの手紙」Letters from Iwo Jima も話題になりました。あの状況に置かれた栗林中将が、軍隊によく見られた体罰を禁じたり、いわゆる万歳突撃を行わないなど、どのような指揮官だったかを、梯さんの本から、知ることができて、私、一気に彼女のファンになりました。その次に読んだのは、「狂う人」。これは「死の棘」を書いた島尾敏雄の妻、ミホについて、夫と妻それぞれの日記や手紙、メモなど膨大な資料をもとに、10年をかけて書かれた作品です。特攻隊長として鹿児島の南の島に赴任した島尾敏雄と島の女性ミホは恋に落ちますけれど、敏雄が特攻として戦死することなく生き残ったことで、思ってもいなかった歯車が回り出し、作品「死の棘」の背景にあったかもしれないものが明らかになってくるプロセスは、本当に読み応えのあるものでしたし、この作品も読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞などを受賞しています。

そして、もう一冊読んだ梯さんの作品は「原民喜 死と愛と孤独の肖像」。原民喜という名前は、小説「夏の花」の作者として、学生の頃から知ってはいたのですけれど、広島での被曝体験を作品にしたものとしては、井伏鱒二の「黒い雨」を読んだことで、何となく「もういい」と思っていたようにも思います。けれど、梯さんの描いた、ちっちゃい頃から「ずっと、他人と接するのが極端に苦手で、世間との回路をなかなか持つことができ」ず、「虚無と絶望にあらがって、のちの世を生きる人々に希望を託そうとした」原民喜は、彼女の作品を通して「手を伸ばしたら、そこにいてくれたら嬉しいのに」 ー そんな存在として私の前に現れました。長崎の原爆の日、そして今度の土曜日は終戦記念日。戦争が終わって75年を、もう一度、梯久美子さんのノンフィクション作品のページをめくりながら迎えたいと思う今日この頃です。

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今日のBGMは “If I Die Young“ by the Band Perry..

Personalityは千田浩未でした!

 

番組内容

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