映画『おいしい家族』

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キネマのススメ

 
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
今日ご紹介するのは、10月11日金曜日から公開される「おいしい家族」です。
 
今や、熊本の春の風物詩として、すっかりおなじみになった「くまもと復興映画祭」。
ひとりの俳優にスポットを当てた「特集」が人気で、これまで、妻夫木聡、薬師丸ひろこ、有村架純など、有名俳優を熊本に招いて、他では聞けないエピソード満載の特別なトークショーが開催されました。
それと同時に、行定勲監督が、「これは!」と思う、新人監督の作品をいち早く紹介する新人発掘の場としての「映画祭」としても、映画ファンの注目を集めるイベントになってきました。
今日ご紹介する「おいしい家族」も、4月の「くまもと復興映画祭」で上映され、一躍注目を集めた作品です。
 
主人公の橙花は、銀座のコスメショップで働く、美容部員。
でも、結婚も仕事もうまく行かず、行き詰る毎日を送っていました。
そんな中、母の三回忌のため、実家の離島に帰った橙花は、なぜか父親の青治が、亡くなった母の服を着て生活している姿を見て、茫然!
「お父さんは、お母さんになる」と宣言する父に驚く橙花。
おまけに、家には知らない中年男性・和生と、その娘・ダリアが居候していて、父は和生と結婚すると言い始めます。
あまりの出来事が連続して混乱し、いらだつ橙花ですが、そんな父の姿を、違和感なく受け入れる弟や島の人たち。
そんな中で数日を過ごし、父や和生の本心を耳にした橙花は、少しずつ、この“おかしな家族の形”を受け入れていきます。
 
監督をつとめたのは、映画監督のほか、小説家としても活躍する新鋭・ふくだももこ監督。
この作品は、以前、彼女が手掛けた短編映画「父の結婚」を原作に、長編映画として作り直したもので、舞台を離島にうつし、キャラクターやエピソードを新たに追加しています。
主人公の橙花を演じたのは、朝ドラ「ひよっこ」やテレビドラマ版「この世界の片隅に」などで注目を集めた注目の女優松本穂花。
今回、映画初主演作品となります。
母になる父・青治を演じるのは、原作の短編映画でも同じ役を演じた、板尾創路。
父と結婚する和生には、ミュージシャンとしても活躍する個性派、浜野謙太が扮しています。
 
父が女装して男性と結婚する、というだけでもユニークなのに、弟の奥さんはスリランカ人で、父の結婚相手の娘はハーフの女子高生で・・・と、かなりエキセントリックな設定の、この作品。
でも物語は、淡々と、あたたかいホームドラマとして進んでいきます。
その大きなポイントとなっているのが、父役の、板尾創路。
男の人が花柄のワンピースとかっぽう着を着ていたら、相当な違和感があるはずですが、板尾さんが着ていると、あまり違和感を感じません。
それどころか、シーンによっては、お母さんの姿にダブって見えて、父がなぜ“母になりたい”と思ったのか、その気持ちがすんなりと観客に伝わってきます。
また、タイトルに「おいしい」とついているように、食事のシーンがたくさん出てくるんですが、特に大事な要素になるのが“おはぎ”。
登場人物が美味しそうに食べているのを見ていると、こちらも食べたくなってきます。
 
いびつだけど、楽しそうな家族の姿に、ほっこりした気持ちになる1本。
新しいタイプのホームドラマ「おいしい家族」。
ぜひ、大切な人と一緒にごらんください!
 
今日ご紹介した映画「おいしい家族」は、
■Denkikan
で、10月11日 金曜日から公開されます
 
「おいしい家族」オフィシャルサイト
https://oishii-movie.jp/
 
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