熊本大学大学院 先端科学研究部 竹内裕希子准教授

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木曜日の調査室
毎週木曜日のこの時間、いつもは「木曜日の調査室」をお送りしていますが、今日、4月16日は熊本地震の本震から4年ということで、今日は熊本大学大学院 先端科学研究部の竹内裕希子准教授に防災について伺いました。
 
●ご出演者のプロフィール
 
名前:竹内裕希子たけうちゆきこ
所属・肩書き:熊本大学大学院先端科学研究部・准教授
東京都出身。大学院卒業後,茨城県つくば市にある防災科学技術研究所と京都大学で研究員や助教などを経験し,2013年熊大勤務。
専門は地域防災,防災教育,地理学です。
祖父が1923年9月1日に発生した関東大震災の被災者です。
祖父は機会があるたびにその経験を伝え,備えを促して来ました。
私が防災・減災を専門とするのに大きな影響を与えた人です。
 
Q① 竹内先生が研究されている内容について教えてください。
 
地理学とリスクマネジメントの視点から地域防災,防災教育を研究しています。
地理学は,地域の成り立ちを,自然科学と人文科学の二つの視点を持って空間分布と時間変遷から明らかにする学問です。
どのように地形が形成され,その上に植生や産業・文化がどのように影響を受けて分布をするのかを明らかにします。
地域の成り立ちを自然科学と社会科学双方の視点から理解することが,災害が発生する(リスク)を理解することにつながると考えています。
しかし,リスクを認知するだけで軽減行動まで取れる人は少なく,どのような知識・情報やきっかけ,繋がりが軽減行動を支援するのかということをリスクコミュニケーションの枠組みで考えています。
 
Q② 4月16日で熊本地震の本震から4年ですが、改めて「自分の命は自分で守ること(自助)」の大切さについて教えてください。
 
他の人のリスクは自分にとってもリスクであるとは限りません。
マグニチュード7の地震が発生して同じ揺れを経験しても,耐震性の高い家と耐震性の低い家では被害が異なります。
自分がどのようなリスクに対応する必要があるのか,何を失いたくないのかを自分の視点で考えることが必要な対策に繋がります。
ただ,計画の実施を自分達だけで行うことは難しいと思います。
自分が行いたい対策を把握し,自分ができること人の助けが必要なことを整理することが重要です。
自助・共助・公助と防災にはこの3助が必要と言われていますが,家族を含む自分のことを守れるからこそ共助と公助に携わることができるのです。
熊本地震から4年が経過し,災害公営住宅に移り住んだり道路が拡幅されたりと環境が変化しています。
改めて自分を取り巻く環境を見直しリスクを再確認するという自助をしてもらいたいと思います。
 
Q③ 自分の命を自分で守るためにはどのような心構え、そして、どのような備えが必要でしょうか?
 
私は大学の講義などでも「情報の備え」,「モノの備え」,「つながりの備え」の3つの備えが重要ですと伝えています。
何が起こるのか「リスクを知ること」は基本です。
その上で「被害を軽減できる」,「大変さを軽減できる」,「安心できる」ための情報やモノ,人とのつながりを備える必要があります。
自分が怪我をしないこと,自分の家族が怪我をしないことが第一です。
自宅や職場,学校,通勤通学路が土砂災害の危険区域や浸水想定区域に入っていないかをハザードマップなどで確認しましょう。
地震を想定して建物が安全か,室内の家具などが固定されているか,ブロック塀など倒れたり落ちたりするものはないか「まち歩き」をして確認しましょう。
土砂災害や洪水災害は,気象情報を整理しタイムライン(行動計画)を作成することで,発災前に避難することができます。
怖い思いをしないようにまずは「情報の備え」をお勧めします。
次に避難所を確認しましょう。
避難所がどのような場所なのか,どのような設備があるのか。または無いのか。
自分はどのような準備や心構えをしていくべきところなのか確認しましょう。
福祉避難所などもあります。
災害にあって初めて行くのではなく,下見をしましょう。
その上で必要なモノを準備しましょう。
避難所に行きたくない人は行かない準備が必要です。
障害やLGBTなど集団生活を苦手とする人はたくさんいます。
ライフラインが止まっても自宅で過ごせる備蓄,車中泊,被災地外への疎開など選択肢はあります。
それに見合った準備をしましょう。
災害が発生したらどうなるのか,避難所に行ったらどうなるのか想像する力が必要です。
 
Q④ 備蓄品について、どのようなものをどれくらい備えておくとよいでしょうか?
 
兵庫県の人と防災未来センターでは「普段から持ち歩いている0次,非常袋の1次,備蓄品の2次」の3段階の備えを推奨しています。
モノの備えは目に見えるのでたくさんあると安心を感じると思います。
しかし,量も種類も多ければ多いほど管理が大変です。
「足るを知る」という言葉がありますが,普段自分が何をどれぐらい消費しているのかを確認して備えましょう。
貯める,使う,買い足すという「ローリングストック(回転備蓄)」があります。
このやり方なら「保存期間5年」などの高価な備蓄品を用意する必要なく,賞味期限が切れるということも防げます。
また,普段から使い慣れていないものは災害時使えないと言われています。
特別な備蓄ではなく,日常の延長で「使い慣れている」,「食べ慣れている」,「調理し慣れている」を目安に他のもので代替えが効くかも想像しながら種類を絞って備えましょう。
備蓄品は飲料水と食料だけでなく,トイレの備蓄も重要です。
上下水の供給が止まってもゴミ袋と新聞紙があれば自宅のトイレで用を足すことができます。
オムツやペットのトイレシート,砂があれば新聞紙に代替えできます。
簡易トイレの準備があれば,トイレのために避難所に行くことを回避できます。
新型コロナウイルスで品薄のマスクや消毒液ですが,これは災害時も非常に重要なアイテムです。
カセットコンロや寝袋,テントなど,自宅で過ごせる備蓄,車中泊などを想定して飲料水と食料以外も備えましょう。
 
Q⑤ 現在の新型コロナウイルスの状況を踏まえて、備蓄品などの日ごろの備えに必要だと思われるアレンジなどございましたら教えてください。
 
新型コロナウイルスでは買い占めが課題になりました。
本来は買い占めではなく普段から少しずつ備蓄して,買い物に行かれなかったり,手に入らなかったりした時に備蓄品を消化します。
備蓄が減ることに不安を感じますが,いずれ補充できると構えることが必要だと思います。
災害時と異なるのは新型コロナウイルスに感染し体調不良になることです。
入院するような状況であれば備蓄品は使われないでしょう。
しかし,症状が軽かったり病後など自宅で過ごす場合を想定して,経口補水液やゼリーなどを備えているといいのかなと思います。
 
Q⑥ 災害時などに備えた、日ごろからの情報収集の手段を教えてください。
 
平常時に3つの確認をしましょう。
1つ目は自分の周りの災害リスクです。ハザードマップや都市圏活断層図,過去の災害履歴で土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)や警戒区域(イエローゾーン),浸水想定区域,活断層位置などを確認することができます。
2つ目はどのような気象情報や避難情報が発信されているのかを事前に整理し,タイムライン(行動計画)を作成しておくことです。
台風の予測経路や降雨の予測,避難情報は気象台のHPや熊本県,熊本市などの行政からの防災メールで確認できます。
平時にタイムラインを整理することで時事刻々と変化する防災情報を活用することができます。
3つ目は災害発災から生活再建までの流れを確認しましょう。怖い思いをするだけで済まず,避難所に行く,仮設住宅に入る,災害公営住宅に入るという流れを経験することもあります。
災害に遭うとどのように生活が変わるのかどれぐらいの時間がかかるのか,どのような制度があるのかを確認しましょう。
 
Q⑦ 最後にラジオをお聴きの皆さんへメッセージ、PRをお願いします。
 
備えることを恥ずかしいと思わないでください。
「大げさだ」とか「なんとかなる」という他人の評価に惑わされないでください。
自分が何に対して脆弱であるのかを知り,それを補う準備をすることは恥ずかしいことではありません。
新型コロナウイルスでも「自分は感染しない」という意識が感染を拡大させています。
自分が備えることで自分を守り,それが周りの人を守ることにもつながります。
 
今日は、熊本大学大学院 先端科学研究部の竹内裕希子准教授にお話を伺いました。

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さて次回、4月23日(木曜日)は「木曜日の調査室」。
来週は、こんな調査です。
 
家族写真 実態調査。
あなたは家族写真飾っていますか?これまでの写真はどうやって保管していますか? 
 
次回は、家族写真関する調査です。
あなたのお家の家族写真はどうしていますか?
家に飾っているという方や、アルバムを作る方、撮り溜めしたままという方、中にはプロのカメラマンに撮ってもらっているという方もいらっしゃるかもしれません!
あなたの家族写真のあれこれについて詳しく教えて下さいね!!
 
「調査室室長」の松村奈央が、あなたのご意見お待ちしています!
 
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