「FMK Morning Glory」毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
今日は、今週金曜日・12月4日から公開される「007 スペクター」をご紹介しましょう。
すでに、11月27日、28日、29日の3日間、先行上映が行われ、
いちはやく最新作の「007映画」を観たいというファンが劇場につめかけました。
今年は、いろんなスパイ映画が公開されましたが、
年末にいよいよ“真打登場!”といった感じですね。
ショーン・コネリーが演じたシリーズ1作目の「007/ドクター・ノオ」が公開されたのが、1962年。
それから53年経ち、今回のシリーズ最新作「007 スペクター」が24作目となります。
ジェームズ・ボンドもその間5人の俳優が演じ、現在は6代目のダニエル・クレイグ。
2006年の「カジノ・ロワイヤル」からボンド役を演じているダニエル・クレイグ。
最初は、「金髪のジェームズ・ボンドなんて、なんか違う」とか
「顔が怖い」とか言われていましたが、
今では、そのカッコよさにしびれるファンが急増。
これまでのボンドとはひと味違うシリアスな路線で、新たなファンを開拓していますね。
シリーズ24作目のこの作品「007スペクター」は、
まさに「007決定版」とも言える作品になっています。
前作「スカイフォール」のクライマックス。
ジェームズ・ボンドが幼少の時期を過ごした家が登場しました。
今回、その家に残されたボンドの少年時代の写真が登場します。
少年時代のボンドと一緒にうつった「謎の人物」。
写真の謎を追って、ボンドは単身ローマへ。
そこで彼は、悪名高い犯罪者の未亡人ルキアと出会い、
悪の組織スペクターの存在を知ります・・・。
果たして、スペクターのボスの正体とは?
今回のタイトルにもなっている「スペクター」とは、
007シリーズの初期に登場したジェームズ・ボンドの宿敵の名前で、
ファンにはおなじみの存在。
「ロシアより愛をこめて」など、過去6作品に登場しているんですが、
今回34年ぶりに復活を果たします。
その「スペクター」のカギを握るのが、今作、悪役として登場する
アカデミー賞俳優・クリストフ・ヴァルツ演じるオーベルハウザー。
彼とボンドにどんな関係があるのか、謎の多いドラマも見逃せません。
007というと、毎回のお約束というべき「見せ場」がありますね。
例えば、オープニングのタイトル映像、
例えば、007が使う秘密の武器。
例えば、007が乗るボンド・カー。
例えば、「ボンドガール」の美しい衣装の数々。
そして、究極のお約束は、
ボンドの自己紹介の台詞「マイ・ネーム・イズ・ボンド。ジェームズ・ボンド」などなど。
前作「スカイフォール」でも、このお約束のバージョン・アップが凄いことになっていましたが、
今回の「お約束」は、もう「決定版」とも言えるものばかり。
例えば、ボンド・カーですが、
この映画のために世界に10台だけ開発された「アストン・マーチンDB10」。
ローマの街を疾走するこのシーンだけでも、車好きはウットリしてしまうでしょう。
その他の「お約束」も「決定版」とも言えるものばかり、
クライマックスの爆破シーンは、「映画史上最大の爆破シーン」として、ギネスに登録されました。
8418リットルの燃料と、33キロの爆薬を使用し、事前に半径32キロメートル内の人々に
警告しなければならなかったほどの規模で爆破を敢行。
大爆音と振動は、7.5秒続いたそうです。まさに「決定版」。
監督をつとめるのは、前作の「スカイフォール」に続いて、アカデミー賞監督サム・メンデス。
「スカイフォール」をボンド史上最大の大ヒットに導いた彼が、
今回は前作以上にやりたい放題で、ボンド映画の究極形とも言える仕上がり。
ある意味「007シリーズ」の最終回的な作品になっているとも言えます。
これは、かなり禁断の領域に踏み込んだ冒険的な試みです。
シリーズものは、主人公のキャラクターが変化しないのが「鉄則」です。
例えば、「寅さん」は、毎度、毎度、マドンナに惚れて、ふられるのが定番。
「ドラえもん」の のび太は、どんな冒険を体験しても、
翌日になれば、相変わらずの駄目な小学生になります。
ジャイアンやスネ夫は、あんなに冒険を潜り抜けても、翌日には、また、のび太を馬鹿にします。
「名探偵コナン」なんかは、あんなに毎回殺人事件に小学生が巻き込まれたら、
周囲の大人がフツーもっと心配しますが、
そういうこともなく、コナン君は、毎度危険な事件に首を突っ込みます。
こういうシリーズ物は、毎回設定がリセットされるのが鉄則で、
主人公の精神的成長を描くのはご法度なんです。
成長した途端、次の物語が作りにくくなるからです。
ところが、今回の「007 スペクター」は、
ジェームズ・ボンドが、自分の出生の秘密に向き合い、
人間的な成長を遂げる物語になっています。
そこで、重要なカギを握るのが、「007」に与えられた特殊な設定「殺しの許可証」です。
任務遂行のため、悪い人物を裁判にかけることもなく、
抹殺する権利が与えられたジェームズ・ボンド。
これまでは描かれなった彼の苦悩をこの作品では見事に描いてみせます。
こういう長く続くシリーズもの、しかも「007」でそれをやってしまったということで、
サム・メンデス監督は、映画の歴史に大きく名前を残すことになるでしょう。
ちなみに、現在のボンドを務めるダニエル・クレイグですが、
今回でボンドを卒業するかも・・・という気になる発言もありますね。
ある意味、この作品でやり切ったということなのかもしれません。
そういったところでも、決して見逃せない1本です!
今日ご紹介した「007 スペクター」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■シネプレックス熊本
■イオンシネマ熊本
で、今週金曜日・12月4日から公開されます。
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