ラジオ局エフエム・クマモト「FMK Morning Glory」の番組ブログ
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DAIZ株式会社 執行役員CTO研究開発部長 落合孝次さん


2020/09/28 10:25

「ひと」「もの」「こと」に関わるさまざまなトピックを切り取っていくインタビュー「月曜対談」。
今日は大豆由来の機能性物質を用いた食品の開発を行っているDAIZ株式会社 執行役員CTO研究開発部長の落合孝次さんに大豆を使った植物肉についてお話を伺います。 
 
●ご出演者のプロフィール
 
名前:落合孝次(おちあい・こうじ)
所属・肩書き:DAIZ株式会社 執行役員 CTO 研究開発部長
1967年生まれ、近畿大学農学部卒。落合式ハイプレッシャー法の生みの親。
これまで数千回の発芽実験を繰り返して未発芽種子と発芽種子の機能性分析を行ってきた。
発芽の瞬間に種子の生体内で何が起こっているのか、それを突き止める研究がライフワーク。
趣味は焼き鳥とビールでサイエンスの夢を語ること。
 
<経歴>
大手食品会社を経てカリフォルニア州ナパにてバイオベンチャーを2002年起業。
その後、滋賀県長浜バイオインキュベーションセンターで本格的に活動開始。
紆余曲折を経て現在はDAIZ執行役員CTO研究開発部長に就任。
2019年4月熊本大学薬学部先端薬学教授に就任。
 
Q@ まずは「DAIZ株式会社」の基本情報を教えて下さい。
 
熊本に本社をおく、植物肉のスタートアップです。
益城に工場があり、くまもと大学連携インキュベータに研究所があります。
東京、福岡にもオフィスを構えています。
2015年設立で、植物肉事業を本格化させたのは、2019年12月からです。
現在、従業員は35名ほど。
 
QA 次に事業内容について詳しくお尋ねします。
植物肉(Plant-based Meat)の開発・生産・販売をされている「DAIZ株式会社」ですが、この「植物肉」とはいったいどのようなものでしょうか。
 
植物肉は、動物性のお肉ではなく、大豆を原料とした植物由来のお肉です。
世界的な人口増加と新興国の経済成長により、2030年にはタンパク質の需要に供給が追い付かなくなる「タンパク質危機」が起こり、食肉価格の高騰が予想されています。
そのタンパク質危機を解決する策のひとつとして、「植物肉」が注目されています。
その市場は世界で9兆円を超えると見込まれています。
SDGsの観点でも「植物肉」は注目されています。
農業・畜産業は、地球温暖化の原因である温室効果ガスの大きな排出源となっています。
15億頭もの畜産牛によって二酸化炭素や腸内ガス(メタン)が排出されており、私たちの食生活の見直しが求められています。
 
植物肉は、畜産に代わる「次世代のお肉」として、温室効果ガスの排出を抑える効果の高い植物性食品です。
地球温暖化を防ぐため、私たちが今からでもできることは、なるべく地球にやさしい植物肉を食生活に少しずつ取り入れることです。
 
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QB「DAIZ株式会社」の植物肉は他の植物肉とは違い、製法に工夫があり、美味しいと伺いました。
この工夫をされている点、また検証された科学的分析(うまみ成分の量や異風味がゼロというお話、こくみの成分や栄養価)について教えて下さい。
 
丸大豆を原料とし、味や機能性を自在にコントロールするコア技術「落合式ハイプレッシャー法」で大豆を発芽させ、旨味や栄養価を増大させています。
 
発芽大豆の遊離アミノ酸を分析してみると以外にも肉と酷似していることが分かりました。
大豆の発芽中に、酸素、二酸化炭素、温度、そして水分などの生育条件をストレス側にさらすことで、アミノ酸を一気に増加させることができる。
さらに発芽条件を変えて大豆のアミノ酸組成を変えることで、豚肉、鶏肉、牛肉、魚肉に近い味の原料の調整ができるため、さらに大豆品種や発芽栽培条件を検討しています。
その発芽大豆をエクストルーダー(押出成形機)によって膨化成形することで、肉のような弾力と食感を再現しています。
 
大豆品種は、佐賀大学農学部応用生物科学科穴井豊昭准教授が遺伝子組換え技術を使用せずに改良した高オレイン酸含有大豆の品種を使用しています。
リノール酸がオレイン酸に置き換えられたことによって大豆特有の悪臭であるヘキサナールやアルデヒド類が生成されず異風味(大豆特有の青臭さや油の酸化臭)が感じられません。
 
高度な分子測定装置(GC-TOF/MS)を用いて味や香りに関する700成分を一斉分析を行っています。
この700成分の中には呈味成分のアミノ酸はもちろんのこと、呈味に相乗効果を与えるジペプチド、脂肪酸由来の香気成分、苦味にかかわるフラボノイドや、得体のしれぬ雑味が含まれる。
発芽大豆の発芽条件や大豆品種の分析と同時に、様々な肉の部位ごとのデータを蓄積し計算科学の応用で答えを導き出しています。 
 
これらの独自技術により、異風味を低減した植物肉「ミラクルミート」を製造しています。
 
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QC「DAIZ株式会社」の植物肉を使った食品には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
このような料理に利用できる、このような食べ方がある、など教えて下さい。
また、この放送をお聞きのリスナーの方が食べてみたいという場合、どのような方法で手にすることが出来るでしょうか。
 
植物肉は、ハンバーガーやハンバーグ、唐揚げ、ナゲット、ボロネーゼ、タコス、小籠包、春巻きなど様々なお料理にお使い頂けます。
他にも、これまでのお肉と同じような調理法で、美味しく頂けます。
 
DAIZの植物肉は、大手食品メーカーや外食企業様でメニュー開発されて発売されます。
最近、DAIZの植物肉がフレッシュネスバーガーさんに採用されて、植物肉をパティに使ったバーガー「THE GOOD BURGER」が発売されています。
そちらでお召し上がりください。
 
QD「フレッシュネスバーガー」との連携事業、植物肉のパティを使ったハンバーガーについて教えて下さい。
 
THE GOOD BURGER(ザ・グッドバーガー)は価格は480円。
8月に首都圏5店舗で検証発売しており、9月1日から熊本を含む170店舗でアプリ会員を対象に先行発売、10月1日から一般発売が始まります。
100%植物性由来の大豆パティをテリヤキソースに絡め低糖質バンズで挟んだハンバーガー。
動物性原料を使わず環境にやさしい大豆パティ。糖質約45%オフのヘルシーな低糖質バンズ。
日本ならではの醤油麹をベースにしたテリヤキソースで味付けしコクと奥行きのある味わいです。
食材にこだわり、美味しさにもこだわった、地球に健康においしさにGOODなハンバーガーです。
 
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QE 「DAIZ株式会社」のホームページには植物肉を使ったレシピ集がありますね。
レシピについて、掲載内容、またご出演者様が特にお気に入りの食べ方があれば教えて下さい。
 
植物肉は粒状になっているので、水やスープに戻してどんな料理にでも普通に使うことができます。
また、研究所では動物肉と植物肉のハイブリットの研究もやっています。
本当においしいハンバーグができています。
私個人では、趣味のソーセージを自分で作っています。
桜のチップで燻製にすると本格的でおいしく食べられます。
知人に植物肉でできていることを知らせずに食べてもらってその反応を見るのも楽しみです。
 
QF 最後にラジオをお聴きの皆さんへメッセージ、PRをお願いします。
 
新興国の人口が増え続ける将来、牛肉、豚肉、鶏肉の恩恵を授からない子供たちが増えるのではないかと懸念しています。
だからこそ、おいしくて機能性があり、そして安価な「植物肉」の出番だと考えて開発しています。

DAIZ株式会社 オフィシャルサイト
https://www.daiz.inc/
 
本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
詳しくはここ↓