ラジオ局エフエム・クマモト「FMK Morning Glory」の番組ブログ
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「アドバンフィット株式会社」


2015/11/19 10:25

企業にまつわる気になる疑問を解決する「会社のヒミツ」。
今日は「アドバンフィット株式会社」のヒミツに迫ります。
 
今日、お話を伺ったのは、
「アドバンフィット株式会社」企画開発部境洋輔さんです。
 
Q会社概要を教えて下さい。
 
@有園義肢株式会社から分社化する形で平成元年10月に設立、現在27年目です。
主な業務内容としては「義肢・装具の部品及び既製装具の開発・販売」です。
A親会社の有園義肢株式会社は昭和44年4月、八代市通町で創業し、
熊本県内の障害者や患者様の為に義足や治療用装具を
オーダーメイドで製作し、ご使用頂いています。
Bその中で、病院からのニーズに応えて、
早期治療に役立つ装具の開発を進め、全国的に販売を行っています。
 
※装具とは…病気やケガなどによって身体の機能が低下したり、失われたりした際に、
その機能を補ったり、患部を保護やサポートするために装着するものです。
基本的な販売の仕組みとしては、医療機関で診察を受け、
医師の診断により処方されるというパターンが主で、
一般の方が簡単にどこででも買える、という商品ではありません。
 
Q「アドバンフィット」という社名の由来を教えてください。
 
「アドバンス(一歩前進した)」+「フィット(人に優しい適合)」を組み合わせた造語です。
患者様に合った、より良い製品を提供したいという意味を込めて命名しました。
 
Q「アドバンフィット」は、どんなイメージの会社を目指しているのですか?
 
・有園義肢グループの経営理念に基づき、医療用具、福祉用具の分野で、
お客様に最も質の高い製品とサービスを提供する会社。
研究開発型企業として「小粒でもキラリと光る会社」
社員と家族、そして関係する全ての人が幸せになれる会社
常に明るく、前向きな社員がいる会社
 
Q「アドバンフィット」が、現在のような義肢装具・福祉用具製品メーカーとなった
「きっかけ」などありましたら、ご紹介ください。
 
1970年代まで日本では、義肢装具はオーダーメイドしかなかったため納期が長く、
家内工業的な生産性かありませんでした。
しかし、国際的な学会や研修会でヨーロッパやアメリカへ行った際に、
義肢装具の規格化や新素材の導入など、先進的な考え方に触れ、
自分たちが世界的に大きく遅れをとっていることに気付かされました。
そこで、医師や異業種の方と相談し検討を重ねながら、
自分たちに出来ることを出来る範囲で工夫しながら開発を進めていく内に、
「良い装具を使いたいという願いは、熊本の患者様だけではなく、
全国の患者様も同じではないか」と考え、
全国に販売するための会社としてアドバンフィット株式会社を設立しました。
 
Q「アドバンフィット」を代表する製品と言えば、何でしょうか?
 
治療用装具各種
1)整形外科で骨折や関節疾患の手術後の固定やリハビリに使う装具
頸椎、肩、脊椎、上肢、股、膝、足、足部など
@アドフィットUDカラー・ブレイス(頸椎用装具)
AADジュエットブレイス(脊椎圧迫骨折用装具)
Bアキレス腱断裂用装具
 
2)リハビリテーション用装具
C湯の児式短下肢装具
DUD-FlexAFO(短下肢装具)
 
一部の商品(上記@、C、D)は海外(ドイツ・スイス・韓国など)にも輸出しており、世界的にも評価を得ています。
 
Q上記製品の開発ポイントがあれば教えてください。
 
開発の進め方としては、病院や患者様のニーズにお応えすることをスタートとし、
まずは形にしてみることを心掛けています。
形にして実物モデルを見ながら更に改良を進めていく、
PDCA(Plan,Do、Check、Action)を繰り返し行うことで
製品としての質を上げていく、という流れで開発業務を進めています。
その中で、一番重要視しているのは安全性です。
装具を装着される患者様方の中には、装具に対する不安や恐怖感を持たれる方もいらっしゃいます。
その際に装具が壊れたり危険な動きをしてしまうと
「もう装具は使いたくない」という気持ちになるかもしれません。
装具を使用しないと最悪の場合、関節が固まってしまったり変形してしまったりしてしまいますので、
そのような不安な気持ちになることがないよう、
使いやすくて安全な装具にすることを製品開発するときには一番に考えています。
 
Q「アドバンフィット」では、今月、競技用車いす「マグ・エアー」を発表されましたが、
この製品の特徴などをご紹介ください。
 
Mg-Airの大きな特徴はフレームにKUMADAI耐熱マグネシウムを使用していることです。
軽量且つ高強度のKUMADAI耐熱マグネシウムをフレームに採用したことによって、
既存のほとんどの製品よりも軽量なフレームを製造することができました。
また、マグネシウムの特性として振動吸収性に優れていることが挙げられ、
走行時に路面の凸凹の影響を受けにくく、安定した乗り心地を提供することができます。
競技用マシンにとって重要であるフレーム重量と乗車時の振動の問題を
解決できる素材としてマグネシウムは適していると思います。
開発秘話としては、元々不二ライトメタル様とも機能病院の山本様とも別件の開発案件で関わらせて頂いており、
今回のMg-Airもその時のご縁で共同開発を進めることになりました。
そういったご縁で始まったのも、
同じ熊本県内の企業や病院ということで身近な存在であった、という部分もあったのかと考えています。
苦労した点としては、実際に開発を進めてみると、
社内では「これで大丈夫だろう」と思って試作を持っていっても山本さんに使用してもらったら
「全然形が合っていなかった」ということがあり、
ユーザーの方でないと分からない、微妙な寸法の違いや乗り心地は
現場でのヒアリングでしか分からないものだと痛感しました(山本さんは脊椎損傷で下半身マヒです)。
ユーザーの方の感覚というのは本当の意味では私たちは知ることが出来ないので、
如何にしてユーザーの方のご意見を取り込めるか、形に出来るか、
ということが難しいところでもあり、やりがいにもなります。
 
DSC_3445.jpg
 
Q今後、「マグ・エアー」がどんな風に使われるとよいですか?
 
KUMADAI耐熱マグネシウムという熊本大学と不二ライトメタルが共同開発した素材が生まれたこと、
車椅子マラソンの国内での先駆者である山本先生が熊本機能病院に勤務されていたこと、
弊社が20数年車椅子や座位保持装置を作製し続けたこと、
そのような偶然が重なって、このMg-Airは完成しました。
「メイド・イン・熊本」の製品として、
もし2020年の東京パラリンピックで選手に使って頂けたなら、こんなに喜ばしいことはありません。
「熊本から世界へ」を合言葉に選手に選ばれるような競技用車椅子にしていきたいと思います。
 
Qそのほか「アドバンフィット」に関するエピソードなどあればお願いします。
 
元々、義肢装具業界というのは製造を、ほとんど手作業で行っており職人的な世界でした。
その製造方法を欧米諸国のように製造のマニュアル化や機械化を進め
既製品で行うようにしたのがアドバンフィットです。
近年では最新のデジタル技術も導入し始めており、
もっと新しい製品を開発することができるかもしれません。
昔ながらの職人的なこだわりとひらめきも大切にしつつ、
急速な世の中の流れにも喰らいついていけるように、これからもアンテナを張り続けていきたいと思います。
 
Qそのほか、オススメの商品、イベント、サービス、キャンペーンなどPRしたい案件があればお願いします。
 
本来は医師の処方が無いと弊社の製品を購入することは難しく、
なかなか「アドバンフィット」という社名を目にする機会はないと思います。
ましてやケガや病気になったときに弊社の製品をお使いになると思いますので、
そのような状況にならないに越したことはないとは思います。
ですが、実際にケガや病気で健康だった自分の身体が自由に動かなくなり、
これからの将来への不安や悲観的になりそうな時、
そんな時にはアドバンフィットがお手伝いできます。
新しい人生の一歩を踏み出すときに側に寄り添うのが私たちの使命と思っておりますので、
必要な時には、ご遠慮なく連絡をして頂ければと思っています。
また、東区画図町に「靴工房シュプール」という有園義肢グループの靴屋があります。
医療の進んだドイツで生まれた歩きやすい靴、足の健康を考えた靴が沢山あり、
靴の専門家もおりますので、お近くにお越しの際は、お立ち寄りください。
 
オフィシャル・サイト:http://advanfit.co.jp
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