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今日は、「熊本県選挙管理委員会」についてご紹介します。
お話を伺ったのは、熊本県選挙管理委員会の平畑 雅規さんです。
Q@ ご出演の方のお名前と職業・所属を教えて下さい。
名前 : 平畑雅規
所属 : 熊本県総務部市町村・税務局市町村課選挙班(熊本県選挙管理委員会)
QA 「熊本県選挙管理委員会」について、基本情報をお願います。
熊本県選挙管理委員会 熊本県庁行政棟本館 3階 市町村課内(熊本市中央区水前寺六丁目18番1号)
QB 失礼ですが、「選挙管理委員会」と聞くと、選挙のときだけ仕事しているのか・・・・と思っていたんですが、通常はどんな業務をやっているんですか?
名前のとおり、公職選挙法等に基づき衆議院議員、参議院議員、県知事、県議会議員及び海区漁業調整委員会委員の選挙に関する事務を管理していますが、選挙に関する事務以外では、以 下のような様々な事務を行っています。
@政治資金規正法に基づき、政治団体の設立届出の受付や収支報告書の公表などの事務
A政党助成法に基づき、政党支部の政党助成金に関する使途等報告書の受付、審査等の事務
B選挙人の政治・選挙に関する意識の向上及び投票参加意識の高揚に努めるため、「選挙出前授業」などの常時啓発業務。特に、公職選挙法の改正により選挙権年齢が18歳以上に引き下げられることを踏まえ、高校生を対象とした啓発事業の一環として、「選挙出前授業」を積極的に展 開し、本年度は、これまで20校の高校で実施し、1月以降も9校での実施を予定。
C選挙又は当選の無効を争う異議申出や審査申立に関する事務
QC 今年、公職選挙法が改正されました。どんな点が変わったのですか?(選挙権の年齢引き下げなど)この改正は、いつから適用されるんですか?
今回の改正の主な内容としては、選挙権年齢が満20歳以上から満18歳以上に引き下げられ、18歳や19歳の有権者が選挙運動を行えるようになることです。そのため18歳や19歳が買収などの重大な選挙違反を犯した場合は、成人と同様に処罰の対象になります
そして、改正公職選挙法の公布日平成27年6月19日から起算して1年を経過した日(平成28年6月19日)後に施行され、その日以後に初めて行われる国政選挙の公示日以後に公示又は告示される選挙から適用さることとなり、来年7月25日に任期満了を迎える参議院議員通常選挙からの適用が予定されています。
QD 選挙年齢の引き下げというのには、どんな狙いがあるんですか?また、どのくらいの人数があらたに選挙権を得ることになるのですか?(全国では?熊本県内では?)
選挙権年齢を引き下げて早期に投票の機会が得られることにより、若年層に対する政治教育としての意味を持つだけでなく、若年層の政治への関心や政治参加意識、ひいては民主主義に対する満足感に良い影響をもたらすと考えられます。18歳や19歳の若者は自らの考え方を持っていて物事を十分に判断できる力があるという意見もありますので、若者に広く政治への参加を促すことは民主主義の発展にとっても意義があるのではないかと考えられています。
さらに日本では少子高齢化が進行し、有権者に占める高齢者の割合が上昇しています。選挙権年齢を引き下げることにより、若年層の政治的影響力を少しでも高められるのではないかと期待されています。
なお、世界的にみると、18歳以上に選挙権が認められている国は全体の約92%であり、今回の選挙権年齢の引下げは世界の流れに沿ったものともいえます。
新たに選挙権を有する18歳や19歳は、全国では約240万人、熊本県内では約3万人程度といわれています。
QE 高校生でも選挙権を持つことになると思うんですが、今後は、どんな点に注意すればいいんですか?
これから選挙運動や政治活動が身近なものとなってくると思われますが、選挙運動や政治活動については、学校においては高校生として校則等の決まりを、また選挙との関係では公職選挙法等の法律を守る必要があります。
校則については、教育基本法などの法令等も踏まえながら、教育委員会や各学校において定められるものであり、先生の指導をよく聞いて、それを踏まえた行動をとっていただく必要があります。
例えば、選挙運動とは「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」と解されています。
選挙運動は、選挙ごとに決められた選挙運動期間(選挙の公示日又は告示日に候補者が立候補の届出をした時から投票日の前日までの間)内しか行うことができず、また、満18歳未満の者は選挙運動を行うことはできません。
公職選挙法では、選挙運動について様々な制限に関する規定があり、違反した場合は、罰則等も定められているため、ルールに従い適切な行動をとるよう心がけていただきたいと思います。
QF 「熊本県選挙管理員会」では、高校などで説明会などを実施しているそうですね。
どんな内容ですか?
選挙出前授業は、実施校の所在する市町村の選挙管理委員会と共催で実施しており、パワーポイントによる選挙に関する講義と実際の選挙で使用する投票箱や投票用紙記載台などを使った模擬投票を行っています。
まず、講義については、投票率の減少傾向や若者の低投票率など最近の選挙における課題、選挙は民主主義の根幹であることや若者の低投票率がもたらす危険性など選挙の大切さを説明、次に、選挙制度や公職選挙法の改正の概要を紹介し、選挙運動における留意点、インターネット選挙運動の内容や投・開票の方法など、選挙に関するクイズを交えながら説明します。
続いて、模擬投票については、熊本県知事選挙や現在の高校生が実際に最初の選挙となる参議院議員通常選挙のうち、複雑な比例代表選挙を想定し架空の候補者の政策を比較した模擬投票を実施しています。
模擬投票に際しては、候補者役としてNPO法人ドットジェイピー熊本支部のメンバーである大学生の参画のもと、模擬選挙公報の配布、合同演説会や公開討論会を実施し、各候補者の政策に関する生徒と候補者役による意見交換(質疑応答)を踏まえ、実際の選挙で使用する投票用紙と同様の素材で作成した模擬投票用紙を使用し、投票をしてもらいます。開票作業は、市町村選挙管理委員会の指示のもと、生徒が主体的となって行い、その場で結果を発表します。
このメニュー内容を基本として実施しておりますが、実施校側の要望で、高校生が候補者役となり演説を行った事例もあります。
また、実施校側の時間の都合により、講義のみの実施の場合もあります。
以上の内容による選挙出前授業を通して、選挙の意義や重要性を伝えるとともに、選挙のイメージをつかんでもらい、選挙を身近なものと認識してもらうことを目的として実施しています。
QG お仕事を通じての苦労、やりがいなどあればお願いします。
選挙の管理執行にはミスが許されませんので、選挙の準備から執行までの期間が大変苦労します。その反面、選挙の執行を無事終えたときは、達成感を感じます。ただし、選挙の結果、投票率が低い状況であることには、とてもやるせない気持ちになります。
また、先ほど申し上げた選挙出前授業の実施において、児童や生徒が興味津々になって反応が返ってきた時などは、特にやりがいを感じる瞬間です。
QH 最後に熊本県民にPRしたいこと、今後の活動予定、お知らせなどあれば教えてください?
選挙は、民主主義の根幹をなすものであり、国民一人ひとりにとって、政治に参加する重要な機会です。
近年、国政選挙、地方選挙とも投票率は全般的に低下傾向にあり、特に若い世代の投票率は、他の世代に比べて低く、若者の政治参加が重要な課題となっています。