毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松崎ひろゆきが選んだ映画をご紹介しています。
今日ご紹介するのは、あさって、12月1日木曜から公開される
「マダム・フローレンス!夢見るふたり」です。
この映画は、世界的な音楽の殿堂として知られる、
ニューヨークのカーネギー・ホールで“奇跡的な”リサイタルを開き、
今もカーネギー・ホールのアーカイブの一番人気となっている
実在の女性・フローレンス・フォスター・ジェンキンスを描いた作品です。
ヒロインのフローレンスを演じるのは、アカデミー主演女優賞を3度受賞し、
「生きるレジェンド」と言われる名優メリル・ストリープ。
フローレンスをマネージャーとして支え続けた夫には、
「ブリジット・ジョーンズの日記」「ラブ・アクチュアリー」など
大ヒットラブストーリーで知られる「ラブコメの帝王」こと我らのヒュー・グラントが扮しています。
「レジェンドVS帝王」の豪華共演によるニューヨークを舞台にして豪華な物語です。
物語の舞台となるのは、1944年。
主人公のマダム・フローレンスは、両親から受け継いだ莫大な財産を背景に
ヴェルディ・クラブというサロンを主宰し、
様々な芸術家や音楽家のスポンサーとなっていました。
自らもソプラノ歌手を夢見ていた彼女は、夫のシンクレアの協力を得て
小さなリサイタルを開いていましたが、それでは我慢できず
ある日「カーネギー・ホールでコンサートを開く」と言い出します。
しかし、フローレンスには、彼女だけが知らない事実がありました。
それは、致命的な音痴だということ。
さまざまなアーチストのスポンサーになっている彼女に対して、
面と向かって「歌が下手」という人は誰もいなかったので、
彼女は自分の歌の下手さをこれまで知らずにいたのです。
妻の望みをかなえてあげるため、夫シンクレアは様々な手を尽くすのですが・・・・・。
果たして、コンサートはうまくいくのでしょうか・・・・・・・?
このフローレンス・フォスター・ジェンキンスという人物は、
日本ではほとんど知られていませんよね。
しかし、本国アメリカでは驚くほど人気が高く、劇中に出てくる彼女の唯一のレコードは
たびたび復刻版が出され、現在でも手に入れることができます。
なんとデヴィッド・ボウイも愛聴していたとか!
世界的に人気の彼女を題材にしたフランス映画もあります。
「偉大なるマルグリット」というタイトルで公開され、こちらもヒットしています。
フランスでは彼女を描いた舞台もあるそうです。
“たぐいまれなる音痴”と言われる彼女の歌が、なぜこれほど愛されるのでしょうか。
その理由はこの映画を見れば良く分かりますし、(映画の最後には、フローレンス・フォスター・ジェンキンス本人の歌声も流されます)それを完璧に再現したメリル・ストリープの歌唱力と演技力には改めて感動させられます。
フローレンス・フォスター・ジェンキンスのとても無邪気なかわいい仕草と並はずれた音痴ぶりが見事に再現されています。
メリル・ストリープ自身は、「マンマ・ミーア」などのミュージカル映画にも主演するほどですから、ものすごく歌が上手いひとです。そんな人が敢えて下手に歌っています。
今回は、ボイストレーナーと綿密にリハーサルを行い、映画の中で歌われる数々の曲をまず完璧に歌えるようにしてから、そこからちょっとずつ音をはずしていって音痴に聞こえるようにしていくという滅茶苦茶手間のかかる作業をやったそうです。
今回、メリルとの初共演となるヒュー・グラントが演じる夫シンクレアも、元俳優で俳優をあきらめてフローレンスをサポートすることになったという屈折したプロフィールの人物なので、時折、舞台のセリフをつぶやくシーンがありますが、売れなかった役者という雰囲気を出すために微妙に下手な感じにやっていて絶妙の面白さです。
ヒュー・グラントは、インタビューにこんな風に答えています。「メリルとの共演は震え上がるくらい恐ろしかった。
彼女を見ていると鳥肌がたつぐらい感動するよ。レオナルド・ダヴィンチが絵を描くところを見るような感じかな・・・・。」
さまざまな愛に溢れた、心温まる1本。大切な方と、ぜひご覧ください!
今日ご紹介した映画「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ 宇城
■ユナイテッド・シネマ熊本(旧シネプレックス熊本)
で、あさって・12月1日木曜から公開されます。
「マダム・フローレンス!夢見るふたり」 オフィシャルサイト
本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
詳しくはここ↓
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FMK