「ひと」「もの」「こと」に関わるさまざまなトピックを切り取っていくインタビュー「月曜対談」。
株式会社熊本コアミックス 代表取締役社長 持田修一さんがゲストです。
「コアミックス九州まんが賞」について詳しく伺いました。
名前:持田修一(もちだしゅういち)
所属・肩書き:株式会社熊本コアミックス代表取締役社長
株式会社コアミックス取締役
株式会社ノース・スターズ・ピクチャーズ取締役
株式会社じぞう屋取締役
●プロフィール
1967年生まれ。奈良県出身。
明治大学政治経済学部二部卒。
学校法人河合塾千駄ヶ谷校に勤務した後、小学館『DENIM』ライター新人賞入賞をきっかけに集英社ジャーナル誌『BART』編集部でフリー記者に。
元『週刊少年ジャンプ』5代目編集長の堀江信彦が『BART』編集長に就任の際、マンガ担当編集者に抜擢され漫画家・原哲夫を担当。
2000年5月、堀江信彦が集英社から独立し漫画家・北条司、原哲夫、次原隆二らとともに漫画出版社・株式会社コアミックスを設立、社員第一号として立ち上げに参加。
2001年創刊の『週刊コミックバンチ』(新潮社)では副編集長として数々の連載を担当し、2007年に同誌4代目編集長に就任。
2010年に自社創刊した『月刊コミックゼノン』で初代副編集長に(初代編集長・堀江信彦)。
その後、コンテンツ事業部部長や国際漫画賞「サイレントマンガオーディション」事務局長を経て、2017年に株式会社コアミックスをはじめグループ会社の取締役に就任。
熊本の方々の協力のもと2017年から開催している「熊本国際漫画祭」の立ち上げがご縁となり、2018年11月に株式会社熊本コアミックス社長となり、九州全域や東南アジアの漫画家志望、編集者志望の若者の発掘と育成に力を入れている。
また吉本興業のクリエイター専門学校「沖縄ラフ&ピース専門学校」の理事も歴任。
代表担当漫画作品は『蒼天の拳』(原哲夫)。
Q「コアミックスまんがラボ」の概要を教えて下さい。
住所/熊本市中央区手取本町5-7鶴屋Wing館7階
電話/096-353-3300
Twitter/@kumacoamix
営業時間13:00~19:00
火曜日定休
Q「コアミックスまんがラボ」はいつ、どんな目的で、なぜ熊本に開設されたのでしょうか?
熊本地震の復興支援として2017年から開催させていただいている「熊本国際漫画祭」がご縁で、熊本県民、企業、行政の皆様がマンガというメディアの力と可能性に非常に理解を示してくれている事、また漫画家になれる才能溢れる若者がたくさんいる事を肌で感じていました。
そこで2018年11月、熊本をはじめとする九州全域の漫画家志望の方々が気軽に原稿の持ち込みをし編集者からアドバイスを受けることができる編集部分室「コアミックスまんがラボ」を開設し、そこを拠点に多くの才能を発掘、育成して、弊社の雑誌やWEBメディアから多くの人々がプロデビューしてもらいたいと思ったのがきっかけです。
Q「コアミックスまんがラボ」ではどんなことができるのでしょうか?
相談できること、体験できること、利用方法など教えてください。
ひと言で漫画を描くと言っても、商業雑誌でプロデビューしたい人もいれば、自分や仲間たちのために趣味で描きたい人もいます。
また画材を使って絵を描くだけで楽しいと感じてくれる小さなお子さんたちもいるでしょう。
「まんがラボ」はそういった幅広い人々が集まってそれぞれが描く喜びを感じてもらえる「場」を第一に目指しています。
なぜならば、プロの漫画家になるためには、「描く喜び」と「人に見せて喜んでもらいたい」と感じる経験が必要だからです。
そのためにも画材やコピー機、デジタル機材は無料で使えるようにしていて、プロが使っているものを揃えており、漫画家アシスタント経験者のスタッフや芸術系学校の学生アルバイトが使い方をサポートしてくれます。
また85インチ2面の巨大なディスプレイのテレビ会議システムで東京の編集部と常時接続しているので、商業誌でのプロデビューを目指す人々は東京本社の漫画編集者に完成原稿だけでなく制作途中のネーム(絵コンテ)の段階でも持ち込む事ができ、よりクオリティーの高い作品を描くためのアドバイスを受ける事ができます。
東京の漫画編集者は毎週末に交代で1名ずつ「まんがラボ」に出張してくるのでディスプレイ越しだけでなく直に顔を合わせながら作品づくりの打ち合わせも可能となっています。
Q 一般的にどんな経緯を経ると漫画家になることができるのでしょうか?
今は漫画作品を投稿できるWEBサイトなども増えてきましたが、商業誌で連載デビューしコミックスを出せるようなプロの漫画家になるためには、やはり出版社の編集部に作品を持ち込むか、編集部が主催する「漫画賞」に応募するのが主流です。
日々漫画家と作品を作り出し世に送り出している編集者たちは、どうすれば多くの読者に読んでもらい喜んでもらえるかの経験則とそれを裏づける読者アンケートや売上実績などのデータをたくさん持っています。そういった編集者に自分の作品を見てもらい、的確なアドバイスをもらいながら、漫画賞を受賞し、連載へ向けた読切作品を作り、連載デビューを勝ち取ると言う経緯になると思います。
今まで地方の方が編集者に漫画原稿を持ち込むためには、交通と宿泊費をかけて東京の出版社に直接行くしかありませんでしたが、「コアミックスまんがラボ」はそうした東京の漫画編集者と熊本でやり取りができますので、九州の漫画家志望の方たちは東京へ持ち込みに行く前にまず「まんがラボ」に立ち寄って欲しいですね。
Q「第1回コアミックス九州まんが賞」の結果(応募総数、入賞作品など)について教えてください。
応募数は71作品。
県別の応募数は、熊本県37作品、福岡県18作品、沖縄県9作品、鹿児島県4作品、長崎県2作品、大分県1作品。
応募者の年齢は14〜53歳。受賞作品は13作品です。
熊本からはストーリー部門の優秀賞2作品、準優秀賞1作品、サイレント部門では努力賞2作品、ネーム部門では努力賞1作品が出ました。
Q「第1回コアミックス九州まんが賞」の手ごたえやご感想を教えてください。
九州と沖縄に応募者を限定することで、全国を対象とする漫画賞よりも応募作品数は少なくなると思っていましたが、私たちの予想を上回る数の応募がありました。
九州には芸術系の大学や専門学校がたくさんあり、そこの生徒さんたちが興味を持って応募してくれた事、また東京で漫画家を目指して頑張っていたが事情があって九州に戻り夢を諦めかけていた人たちが「九州まんが賞」をきっかけに再チャレンジしてくれた事が大きいと感じています。
この賞を年2回開催にし、もっともっと認知度をあげる事で、九州や沖縄にいるまだ見ぬたくさんの才能を発掘し、熊本から全国や世界に漫画作品を送り出して行きたいと思っています。
Q「第1回コアミックス九州まんが賞」入賞者の皆さんは、今後どんな道を辿られるのでしょうか?
入賞者の皆さんには、東京本社ゼノン編集部の編集者が担当に付きます。
今までたった一人で漫画を描いていたと思いますが、これからは編集者がしっかりサポートしながら作品作りを進めてもらいます。
キャラクターづくり、ストーリーのプロット、ネーム(絵コンテ)の作成において、いろんなアイディアを出し合いながら二人三脚で漫画作りをし、弊社の月刊誌『月刊コミックゼノン』、WEBマガジン『WEBぜにょん』、『コミックタタン』、マンガアプリ『マンガほっと』などの商業媒体でのデビューを目指す事になります。
もちろん熊本の「コアミックスまんがラボ」に担当編集が出向きますので、九州に居ながらにしてプロを目指す事が可能です。
Q 現在「第2回コアミックス九州まんが賞」の作品を募集中だそうですが、応募要項を教えてください。
締め切りは11月20日(水)当日消印有効。
部門は3つあり、17P以内のサイレント部門、39P以内のストーリー部門、ネーム部門になります。
応募条件は、応募者が沖縄も含む九州在住者、または九州の学校に在学中の方。
商業誌未発表作品であること、です。特別審査員は第一回に引き続き漫画家・北条司が行います。
詳しくはコアミックスまんがラボのホームページをご覧いただければとおもいます。
Q 現在、募集中の「第2回コアミックス九州まんが賞」について、応募を考えている皆さんへアドバイスをお願いします。
これまで東京に行かなければ踏み出せなかった漫画家への第一歩が、九州で踏み出せると考えてもらえれば嬉しいです。
この賞の特別審査員である「シティーハンター」の漫画家・北条司も九州出身なのですが、自分がプロの漫画家になれたのはちょっとしたきっかけがあったからに過ぎないという事をよく言っています。
だからこの賞は九州や沖縄にいる人々にとって漫画家になるための「きっかけ」になってほしいと思っています。
私たちは原石を求めていますので、応募作品に完璧さはあまり求めていません。
自分が描きたいもの、多くの人々に伝えたいものを漫画にしたいと思ったら、応募する前の未完成のものでもOKですので、ぜひ「コアミックスまんがラボ」に持ち込んで編集者たちからアドバイスをもらってほしいと思います。
賞の応募前に九州に居ながらにして編集者に相談できるというところもこの賞の大きな特徴です。
Q 最後にラジオをお聴きの皆さんへ、新刊のPR等ございましたらご記入ください。
あの『花の慶次』でお馴染みの天下の傾奇者・前田慶次が帰ってきました!
今月発売のコミックス「前田慶次かぶき旅」1巻ですが、関ケ原の戦から一年、日ノ本は泰平の世になりつつあった時代に、これまで数々のいくさ場に漢花を咲かせてきた前田慶次が、戦国の風を求め、肥後の加藤清正に会いに旅立つというところから物語は始まリます。
生粋のいくさ人が魅せる、最後の大傾奇!
前田慶次の“戦国武将”を巡る旅、開幕です!
お近くの書店でぜひお買い求めください。
第一話の立ち読みはこちらから
※7月23日に発売された「前田慶次かぶき旅」1巻は発売初日に重版決定。
売り切れの書店に追加が入るのはお盆前くらいになるそうです。
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