ラジオ局エフエム・クマモト「FMK Morning Glory」の番組ブログ
[メニュー][トップ]

映画「パブリック 図書館の奇跡」


2020/09/01 10:25


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。今日ご紹介するのは、現在公開中の「パブリック 図書館の奇跡」です。
 
みなさんは、「図書館」というと、どんなイメージがありますか?
本の貸し借りが出来て、学生が勉強したり、お年寄りや子供達が本を読みに来るところ。
職員は、本の貸し借りだけやっているなんて、イメージの人が多いんじゃないでしょうか?
いえいえ、とんでもない!今の図書館は、様々なサービスを提供し、地域の情報拠点として大きな役割を担っているんです。
例えば、熊本県立図書館でも、地域資料の保存だけでなく、様々な展示会の企画や、調査支援、なんとビジネス支援として、起業相談にも乗ってくれるんです。
 
今日ご紹介する映画「パブリック 図書館の奇跡」は、アメリカの社会問題を、こうした図書館の役割を通じて、痛快に描き出すヒューマンドラマです。
 
主人公は、オハイオ州シンシナティの図書館員、スチュアート。
大寒波によって、市の緊急シェルターがいっぱいになってしまったある夜、およそ70人のホームレスが、寒さをしのぐために図書館の一角を占拠してしまいます。
彼らの事情を理解したスチュアートは、図書館の出入り口を封鎖するなどしてホームレスたちと行動を共にします。
彼にとってそれは、ホームレスの避難場所を求める、平和的なデモのつもりでした。
しかし、市長候補としてイメージアップを狙う検察官や、メディアのセンセーショナルな報道によって、スチュアートは心に問題を抱えた危険な容疑者に仕立てられてしまいます。
果たして、スチュアートとホームレスたちは、この状況をどう切り抜けていくのでしょうか?
 
監督、主演を務めるのは、青春映画の金字塔「ブレックファスト・クラブ」でブレイクし、俳優だけでなく監督としても活躍する、エミリオ・エステベス。
俳優業と並行しながら着実に監督作を発表して、今回の「パブリック 図書館の奇跡」は7作目の監督作品です。
彼は、前々作の直後から、この映画の構想をはじめ、なんと11年にもなるとか。きっかけは、ロサンゼルス・タイムズに掲載された、「ソルトレーク・シティ公共図書館」の副理事長チップ・ウォードのエッセイを読んだことで、そこからアメリカの図書館の実態を調べ、ホームレスの図書館利用が増えていること、図書館がソーシャルワーカーとしての役割を求められていることなどを、作品に反映させました。
 
実は脚本は2007年には完成していて、キャスティングも始めていたそうですが、2008年のリーマンショックの影響で企画は一度頓挫したそうです。
しかし、製作が伸びたおかげで、アメリカの格差や分断という問題がさらに目に見えるようになり、物語にも説得力が加わりました。
なんだか難しい話なのかな?と思った方、大丈夫!物語は、ホームレスと共に立ち上がるヒーローものとしても楽しめますし、ちょっとしたところに差し込まれるギャグもクスッとさせてくれます。
笑いあり、涙ありのヒューマンドラマ。見た後は、図書館に行ってみたくなる1本ですよ!
 
今日ご紹介した映画、「パブリック 図書館の奇跡」は、
■Denkikan
で公開中。
 
■本渡第一映劇では、12月5日(土)から公開になります。
 
「パブリック 図書館の奇跡」オフィシャルサイト
https://longride.jp/public/
 
-----
本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
詳しくはここ↓
ポッドキャストへはここをクリック!