「ひと」「もの」「こと」に関わるさまざまなトピックを切り取っていくインタビュー「月曜対談」。
今日は熊本県警察本部 交通部 交通企画課の今村利恵さんに、この時期の交通事故の発生状況や年末年始に発生しやすい交通事故についてお話を伺いました。
●ご出演者のプロフィール
名前 : 今村 理恵 (いまむら りえ)
所属・肩書 : 熊本県警察本部交通部交通企画課
昭和61年に熊本県警の職員になり、熊本中央警察署、熊本北合志警察署など9回の異動を経て、
令和2年3月より交通企画課交通事故防止総合対策室勤務
カラーガード隊で2年間兼務
@「熊本県警察本部 交通企画課」の仕事内容、そして出演者の方のお仕事内容を教えてください。
交通企画課の仕事内容は熊本県内の交通警察に関する運営や企画調整などを行っています。
そして「交通事故を1件でも減らすため」事故の統計や分析を行って、防止対策を考え各警察署と共に実施するといった内容です。
私は、交通企画課対策第二係員として、安全教育や広報啓発などの交通事故防止対策を行っています。
A 2020年の現時点での交通事故の発生件数、死者数や負傷者数、とのような発生状況が多かったのかについて教えてください。
もしよろしければ前年比もお願いします。
本年10月末現在では、
人身事故の発生件数 約2.500件
死者数 38人
負傷者数 約3.200件
で、発生件数、死者数、負傷者数のいずれも前年同時期に比べて減少しています。
しかし、死亡事故を見ますと、亡くなった方の約3分の2を高齢者が占めるなど、非常に高く、特に、歩行中に亡くなった方は前年の同時期に比べ増加するなど、高齢者の被害が目立っています。
一方で、高齢者が第1当事者となる交通事故により亡くなられた方も増加していますので、歩行者に対する対策のみならず、総合的な高齢者の安全対策が求められています。
また、自動車乗車中に亡くなられた方の約半数はシートベルトを着用していませんでした。
シートベルトは事故に遭った際に命や体を守る重要な安全装置ですので、必ず着用するようにお願いします。
B これからの時季、例年、事故の発生件数はどのような感じでしょうか?
事故が発生しやすい場所や状況などはありますか?
また、それを防ぐための対策も教えてください。
過去5年間の10月、11月、12月の三箇月間に発生した交通死亡事故を分析した結果
状態別では歩行者の割合が多く 約44%
歩行者を昼夜別に見ると夜間の割合が多く約76%
事故類型別で見ると、人対車両事故のうち横断中の割合が高く約67%、中でも横断歩道以外横断中が最も多い約60%となっています。
被害に遭われた歩行者を年代別で見ると、高齢者の割合が高く約67%などの特徴が認められました。
そのようなことから、ドライバーの方には横断歩道における歩行者優先意識の徹底。特に、信号機のない横断歩道で歩行者等がいる場合は確実に停止する。
前照灯の早め点灯と上向き点灯の励行。上向き、下向きとこまめに切り替える(前照灯は上向きが原則)
飲酒運転を始めとする悪質・危険な運転の防止することをお願いしたいと思います。
一方歩行者の方には
安全な道路の横断方法の徹底する
特に、横断歩道が近くにある場合は必ず利用する
夜間外出時には反射材やライトを活用するなど安全な行動を徹底し、交通事故を防いでいただきたいと思います。
C 気温がぐっと下がってくると路面の凍結や積雪も心配になってきますが、そのような状況ではどういう事故が起こりやすいですか?
また、気を付けるべきポイントなどを教えて下さい。
路面の凍結や積雪によりスリップすることが原因となる事故の発生が懸念されます。
前日から天候や道路状況を確認して、可能であれば別の交通手段や外出時間を変えるなどの対策も検討してください。
どうしても車を使用しなければならない時は、チェーンやスタッドレスタイヤなどを事前に準備し、運転する際はスリップを防ぐために、急発進、急ブレーキ、急ハンドルなどを控えることが大事です。
特に、橋の上や日陰になっている部分などは、その場所だけ凍結している場合もあるため、要注意です。
また、フロントガラスなどが凍結した際は、運転に支障がないように全面が溶けるのを待ってから安全に出発するようにしましょう。
D 年末年始など、お酒を飲む機会が増える時期となりますが、こういった時に気を付けるべきことなどを教えて下さい。
まず、飲酒運転は重大事故に繋がる犯罪であり、厳しい処分が待っていることを認識してください。
飲食店等でお酒を飲むならば、公共の交通機関を利用する、家族に送迎をお願いする、代行運転を利用するなど、飲酒場所と車を切り離すよう努めて下さい。
お酒を飲まない人が仲間を自宅まで送り届けるハンドルキーパーを決めておくことも有効です。
また、早朝の時間帯の飲酒運転による事故も多発しています。
アルコールの分解には一定の時間が必要であることをきちんと把握してください。
今年は特に、自宅で飲酒される方も多いと思いますが、翌日に運転する必要がある場合は早めに切り上げるなど、二日酔いでの飲酒運転防止に努めて下さい。
E 交通事故を防ぐために自動車、自転車、歩行者など、それぞれの立場から気を付けるべきことはありますか?
ドライバーの方は交通ルールをしっかりと守り、歩行者や自転車に対する思いやりのある運転に努めて頂きたいと思います。
自転車利用者の方は自転車は車両の仲間であることを自覚し、交通ルールを守るとともに、事故を防ぐための反射材の活用や、交通事故の際に少しでも被害を軽減出来るようヘルメット着用に努めて下さい。
歩行者の方は、横断歩道の利用や反射材の活用など、自分の身を守る安全な行動を徹底してください。
人と車の双方が互いを思いやりながら安全な行動を徹底することで、熊本の安全な交通社会が築けるものと考えています。
F 熊本県警察といえば、電光掲示板ば全国的に有名ですが、最近の話題作等ございますか?
ドラマ「半沢直樹」の最終回に遭わせ掲載して、「譲られたら 譲り返す! 恩返しです」
では、全国放送のテレビ局でも取り上げられるなど、反響があったと思います。
G 今村さんがお仕事を通してやりがいを感じる瞬間や、印象に残っているエピソードなどを教えてください。
私が運転免許の返納を担当していた時、返納した方に手続きが終了したことを伝えると、
「免許がなくなる最後の手続きがあなたで良かった。どこにも行けなくなると寂しい気持ちになっていましたが、あなたと話して、いろいろ話を聞いてもらって、やっぱり今日返納して良かったと思いました。」と言われたことがあります。
思いがけない言葉にびっくりしましたし、嬉しかったです。
H 最後にラジオをお聞きの熊本の方へ、PRやメッセージ、お知らせなどございましたらお願いします。
これから人や車の流れが慌ただしくなると思われます。
熊本県警察といたしましては、交通死亡事故に限らず、「事故を1件でも減らしたい」という決意のもと、安全教育、情報発信、安全意識啓発活動、取り締まり活動など、様々な施策に取り組んでまいります。
皆様の交通安全意識の向上と思いやりのある運転により、交通事故を1件でも減らすことが出来るようご協力をお願い致します。
-----
本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
詳しくはここ↓