「ひと」「もの」「こと」に関わるさまざまなトピックを切り取っていくインタビュー「月曜対談」。
熊本県内で企業初のフードバンク事業をスタートされた「フードバンクママトコ」について、
株式会社共同の山下海南子さんにお話を伺いました。
●プロフィール
名前(ふりがな) :山下海南子 (やましたかなこ)
所属・肩書き :フードバンクママトコ代表理事・株式会社共同専務取締役
2004年、熊本大学 法学部 卒業
2005年、株式会社共同入社、2020年株式会社共同の専務取締役に就任
Q@ 最初に「一般社団法人フードバンクママトコ」さんの基本情報を教えて下さい。
正式名称: 一般社団法人フードバンクママトコ、 設立: 2021年6月8日
代表者: 山下海南子、 所在地: 〒861-1113 熊本県合志市栄3766-24
事業内容: メーカーや農産物生産者から、食べられるのに廃棄される食品の寄付を受け、
経済的理由で食事を十分に確保することが困難な子ども、生活困窮者に提供する活動。
問合せ先: 事務局 Tel. 096-285-7110
QA 今回「フードバンクママトコ」というものを始められたようですが、
これは県内企業「株式会社共同」さん発のフードバンクということで、まずはこの共同さんについて伺います。
「株式会社 共同」さんの事業内容について教えて下さい。
共同は食品の物流、食肉の加工が主な事業です。
本社がある合志市、宇城市、菊池市にロジスティックスセンターをもち、九州全域でトラック配送と物流サービスを提供しています。
菊池市の食肉加工工場では、牛枝肉の解体から精肉、ハムソーセージ製造、物流まで全工程を一貫して行っています。
主にnon-GMOの牛(非遺伝子組替え飼料で育てた牛)、放牧豚を加工し、直営店ママトコキッチンやショップで料理提供や販売をしています。
QB そんな「株式会社 共同」さんが今回何故フードバンク事業に参入されたのでしょうか?
更にこのような事業に県内企業が参入されるのは初めてということですが。
昨年、子どもの貧困、特にシングルマザーの家庭における経済状況が、想像以上に悪化しているというニュースを見て、子ども食堂をまとめている県内の団体を訪問したのがキッカケです。
そこで、食品を集め、食堂を運営する会員に配布するのに、倉庫、特に温度管理ができる施設の確保、食品の移動が大きな障害になっていると知り、自社の設備、ノウハウが直ぐに使えると考えました。
QC ここで改めて「フードバンクとは何か」について教えて下さい。
フードバンクは’60年代後半に米国でスタートし、現在では世界的な活動になっています。
貧困が原因で食事が確保できない家庭ある一方で、食べられるのに廃棄される食料が大量に存在します。
日本で廃棄される食料は、年間600万トン、日本人一人あたり毎日お茶碗1杯分の食料を捨てている計算です。
日本は食料の62%を輸入していますが、輸送でCO2を排出し、廃棄でまたCO2を出すことにもなります。
フードバンクは貧困の問題と食品ロスの削減=>環境負荷の軽減を進める活動の一つです。
熊本でフードバンク活動が始まったのは、熊本地震の直後だと聞いています。
QD では実際に「フードバンクママトコ」さんが行う事業内容について教えて下さい。
FBママトコで食品メーカや農産物の生産者から食品の寄付をうけ、子ども食堂を運営する団体、生活困窮者問題に取り組む福祉団体などを提供していきます。
食品の受け入れ、管理は共同の冷蔵、冷凍施設を使用します。
主に合志市の物流センターを拠点として、県北の菊池物流センター、県南の松橋物流センターでも引き渡しできるようにします。
食品の賞味期限管理、寄付された食品に関する情報提供はFBママトコが開発した専用のシステム(ECのシステムをベースにしています)を活用していきます。
QE 企業がフードバンク事業に参入されるメリットについて教えて下さい。
企業が参入されることで自由度の高さや分配の迅速さなどあるのでしょうか。
FBママトコは食品物流の会社が母体のため、食品の物流システムと管理ノウハウを持っています。
特に大量に食品を扱う場合は、私たちの施設とノウハウがお役に立てると考えています。
QF 今回の事業、具体的にはいつ頃から食材を必要とされる方が受け取れるのでしょうか。
食品の提供はすでに始めています。熊本県にある子ども食堂を束ねる組織と連携して、提供いただいた食材はスムーズに引き渡しできるように活動をしています。
これからは、専用のWEBシステムで登録している方々が提供食材の公開情報をリアルタイムで確認できたり、発注できたりするよう準備中です。
また、当社の食肉工場で製造したミートパテ(牛肉・豚肉の合挽)は5月に出荷し、子ども食堂で使用していただいています。
このミートパテは、色んな子ども食堂でハンバーグ、肉団子、ピーマン肉詰めなどに調理されて提供されています。
また、同様の活動をしている泗水のフードバンクから冷凍食品を預かったりもしています。
QG ご出演者の方が考える「まだ十分おいしく食べられるのに、様々な理由で処分される食品=食品ロス」問題について、
またそれに対し私達が出来ることは何か、ご意見をお聞かせ下さい。
食品ロスの問題は社会構造の課題であり、すぐに解決できるものではありませんが、私たちができることを1歩あゆみ始めさせていただきました。
ぜひ捨てる前にフードバンクに相談してください。 私たちが食品を必要とする団体に連絡し、提供するお手伝いをします。
QH ここまでのお話を伺って、食材提供に協力出来る企業の方や団体の方はどちらに
ご相談すればよいでしょうか。
フードバンクママトコの事務局にご連絡ください。お電話、ホームページでお話をお伺いしています。
QI ところで菊池市七城町に「菊池ミートガーデン ママトコ」や「ママトコキッチン」というレストランも展開されているようですが、こちらのご案内もお願いします。
各種体験教室(ソーセージ作りやチーズ、ヨーグルト作り、桃のタルト作りなど)や2021年7月中旬からは「ママトコキャンプ」というものも始められるようですか??
「ママトコキッチン」は、「お母さんがこどもに安心して食べさせられるものづくり」をテーマにした工場直営レストランです。
「希紡の牛」というnon-GMO牛(非遺伝子組替え飼料で育てた牛)を中心においしいお肉料理と広い庭でBBQが楽しめる施設です。
隣接の「ママトコバトン」はショップと食育体験施設になっており、吊るし熟成庫やカット作業が見える製造室もあります。
食育体験教室では、ウィンナー作りやチーズ作りなどの他、季節体験として今は桃のタルト教室を楽しめます。
7月1日にはママトコの敷地内にキャンプ場をオープンし、おいしくて新鮮なお肉で手軽にBBQが楽しめるキャンプ場として、コロナ禍でも安心して楽しめる施設になっています。
前述の通り、ママトコの工場である「熊本ミートセンター」で子ども食堂さん用に製造した「牛豚の合挽ミートパテ」(化学調味料や保存料不使用)を半額分寄附しています。
(子ども食堂さんではお肉の寄付が少ないということをお聞きし、いろんなアレンジができるミートパテとして開発しました)
ママトコキッチンは子ども食堂を開催しているボランティアの方に、料理教室を既に2回行っています。
お腹を満たすだけではなく、楽しい食事会になるお手伝いをしていきます。
QJ 最後に番組をお聞きのリスナーの方へメッセージやPRをお願いします。
食品メーカー、生産者だけが関係する活動ではありません。
事務局の活動をお手伝いしていただけるボランティアの方、活動を支えていただくためのご支援をぜひお願いいたします。
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本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。
詳しくはここ↓