多機能民泊ことりのめ 林由布子さん
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Q① ご自身について、プロフィールや経歴など、教えてください。
生まれは滋賀県で、その後親の仕事の都合で全国を回り北は北海道、南は九州小倉まで。
高校以降は東京で、都内の日赤病院に病棟看護師として約13年。
終末期や高齢者医療、脳卒中、神経難病の方などの看護経験があります。
音楽教室の講師を目指していた経験を活かし、
スタッフと協力して院内クリスマスコンサートも看護業務の傍ら行っていました。
去年の夏、父方のふるさとである南阿蘇の高森町で「多機能民泊ことりのめ」を開業。
秋には「福祉タクシーことりのめ」を開業。
退職後の開業準備中、保育士とケアマネージャー、
車の2種免許試験に合格しました。(ケアマネージャーは試験後の研修受講前)
看護師として今も町の介護予防事業の1つで週に1度だけですがパートをしています。
町の年配の方々と交流できる貴重な機会になっています。
宿は今のところ年中無休で福祉タクシーも24時間予約は可能になっているため、
お休みはお客様次第ですが、空いた時間は周囲の観光処を回っていることも多いです。
特にバリアフリーの視点で回るようになって、日々その情報はSNSなどでお伝えしたりしています。
また、プライベートで通称「高森きなっせ会」という高森町の観光を楽しむ会の活動も行っています。
Q② 「多機能民泊ことりのめ」の概要を教えてください。
ポイントは、バリアフリー重視の宿、看護師がオーナーとして常駐、福祉タクシー連携
設備環境だけでなく、看護師としての経験を活かして
お一人お一人が寛げるように工夫してお迎えしています。
また、阿蘇の大自然などの周辺観光を福祉タクシーでご案内出来ます。
バリアフリー設備についての一番のこだわりはお風呂です。
旅先ではお風呂で身体をゆっくり休めてほしいと思います。
看護師としての経験上、入浴は様々な面で不安な面も多いことを知っているため、
安心安全に入っていただけるような設備を導入しました。
こちらは開業前のクラウドファンディングで資金ご協力いただいた設備でもあります。
Q③ 林さんはなぜ熊本へ?高森町の印象もお願いします!
学生の頃、夏のお盆の時期と直後の町のお祭りの時期には毎年来ていました。
高森町の風景は祖父母との思い出と共に心のふるさとのようなものです。
生まれ育った土地ではないからこそ、
阿蘇の雄大で独特な自然や心地良さ、などの素晴らしさは周りにも自慢でした。
高森町は、阿蘇の中で観光地というよりは自然な生活の場、
という落ち着いた印象もあり、周りの方々も温かく暮らしやすいところです。
率直に言って面白い町でもあります。世界最大級のカルデラの中にある、ということに始まり、
そんな大自然を感じられるところもあれば、
歴史を感じられるような名所もあって、観光地として魅力だらけです。
宿の最寄り駅は南阿蘇鉄道の終点、高森駅です。
熊本地震の被害から去年全線復旧し、楽に来られるようになりました。
そして町内唯一の高校、高森高校にはマンガ学科という面白い試みも始まっています。
今年の春に始まったばかりの「高森きなっせ会」という
町民有志の会は多世代他業種が集まっていて、
高森町の魅力をより伝えていこうという活気があります。
先日は町外出身が多い高森高校1年生に、学校側からの依頼もあり町歩きの案内をしました。
今後も町歩き案内は町外からのお客様に向けて行っていく予定です。
近いところでは7月13日の南阿蘇鉄道の復活1周年イベントでも予定しています。
このように、一度は来てみては、と言える色々な方に刺さる魅力が高森町にはあると思います。
Q④ どういう想いで「多機能民泊ことりのめ」を作られたのでしょうか?
「一度は来てみては」という言葉ですが、
それを気軽に伝えられない場合もあることを看護師として経験してきました。
お身体の調子など様々な事情があると、旅に対しては高いハードルを感じると思います。
宿泊を担うホスト側として自分の学びや経験を活かして
「「行ってみたい」のお気持ちのお手伝いが出来たらと思いました。
先日のお客様で、病気の影響でお身体の事情が変わり、
旅行がに対してとても不安が強いと事前にお電話でご相談がありました。
お話するすうちに「ここなら行けるかも」と思ってくださり、
実際に過ごされてからは「また来ます」と力強く言って下さいました。
「この宿を作ってみて良かった」と思えるとても嬉しい経験でした。
また、バリアフリーといっても、車いすの方だけが対象ではないのでその方にあった対応をして、
祖父母の遺した懐かしい昭和の家の雰囲気そのままに「寛げる宿」にしていければと思います。
Q⑤ 「多機能民泊ことりのめ」のおすすめポイントを教えてください!
バリアフリー重視というのが特徴の一つですが、
そのため「車いすなど介護は必要ないのですが 泊まれますか?」というお問い合わせも時々あります。
あくまで「バリアフリーが必要な方にも間口を広げた」という形のため、
たくさんの方に気軽に楽しんでもらえればと思います。
単純に阿蘇という素晴らしい観光地にありますし便利な駅チカでもあるし、
郷土歴史家であった祖父が残した沢山の資料や、祖母の押し花などの作品もあります。
そして私の趣味であるマンガや本がたくさんあったり、和装体験ができたり、
音楽講師を目指していたころの経験で音楽療法もプランとして可能です。
バリアフリー重視という特徴には関係なく、中々退屈しない宿だと思います。
特にマンガや本は3000冊くらいあるので中々出発できないかもしれません。
そして、病棟看護師として退院指導はそれなりに経験があるため、
民間の介護支援の宿としての役割も担えると思っています。
お孫さんなどがいらしたときの外泊先としてご家族みんなで泊まられたり、
退院して在宅看護に移る前の準備として介護指導付きのプランでご利用されたりと
新しい試みに挑戦していきたいです。
Q⑥「福祉タクシーことりのめ」についても是非ご紹介ください。
ロゴに青い鳥と青い車が描かれています。鳥の絵は友人が描いてくれました。
鳥は鍵を咥えて家に向かっていて、お客様を迎えます。
そして車はお客様の足となって出発する、というストーリーのイメージです。
阿蘇は車の中からでも楽しめる素晴らしい観光地ですし、
車いすでも楽しめる場所を日々私もチェックしていますし、
心のバリアフリーの考えでお店の方が協力して下さることもあります。
いらしたお客様には是非たっぷりと楽しんでほしいです。
また、福祉タクシーは宿の利用とは別に独立しています。
介護保険が使える介護タクシーと異なり通院の寄り道が可能で、気楽なお出かけにも使えます。
お身体の事情などが変わり外出機会が少なくなってしまう場合、
健康へのマイナス面はとても大きいと思っています。
外出することでの体力面など身体の動きだけでなく、
これまでと同じように周りの人に会えることの社会性など気持ちの面での役割です。
目的地での付き添いや援助も可能ですので、
是非地域の方にも足として使っていただければと思っています。
Q⑦ おしまいに、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
「ことりのめ」の屋号ですが、英語ではBird’sEye、鳥の目という言葉から付けました。
周りを見ること。目の前のことを意識しすぎて何かを見落としていないか。傷つけていないか。
そんな考えに様々な経験が足されて、いつの間にか育っていた想いが多機能民泊、
という形になったからです(多機能民泊は造語です)。
一個人での限りはあるため私自身の翼は小鳥程度ですが、
家族や親類、友人、クラウドファンディングを通じた周りの皆さま、
そして迎え入れて下さった高森町の方々の温かな風を受けて、より高く羽ばたかせて貰っています。
その風を常に意識して飛んでいけるようにとの想いを込め、「ことりのめ」と名付けました。
ご本人、ご家族や友人など、どこかの繋がりで「ことりのめ」を必要としている方、
一人でも多くの方に「こんなところがあるよ」と届くことを願っているので、
このようなお話の機会をいただけて本当に嬉しいです。
もし宜しければ、周りにもちょっとお話してみてください。
そして、まずは高森町にどうぞ遊びに来てください。
主にインスタグラムなどのSNSで高森町のことをバリアフリー視点も入れて随時紹介しています。
お問い合わせや見学も随時お受けしています。