「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

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キネマのススメ


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、来週、9月23日・秋分の日から公開される「ナミヤ雑貨店の奇蹟」です。
日本を代表する 言わずと知れたベストセラー作家・東野圭吾。
「ガリレオ」シリーズや、「加賀恭一郎」シリーズなどのミステリー作品や「天空の蜂」などスケールの大きなアクション作品など、これまでに数多くの東野作品が映像化されてきました。
 
斬新なストーリー展開と泣けるクライマックスで、毎回、日本人のツボをついてくる作風が、多くのファンを生んだ理由と言われています。
「東野圭吾の小説は、出たら必ず読む!」というファンも多いようです。
今日ご紹介する「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は、2012年に発表された時に、
“東野圭吾史上、最も泣ける”と話題になった小説です。
今回、東野作品としては、珍しく「殺人事件」も起きず、ダークな「陰謀」や「暗躍」なども起きない普通の人々の物語なんですが、それでも、「東野圭吾原作映画」の決定版とも言える作品が完成しました。
 
どんなストーリーかと言いますと・・・・・・。
舞台は2012年。
少年時代を養護施設で過ごした敦也は、幼馴染みの翔太と幸平と共に、ある「悪事」を働き、商店街のはずれにある 一軒の空き家に逃げ込みます。
そこは、かつて、人々が悩み相談をすることで有名だった、「ナミヤ雑貨店」でした。
今はもう廃業しているその店で、一夜を過ごすことにした3人は、シャッターの郵便受けに、何かが投げ込まれたことに気づきます。
それは、1980年に書かれた悩み相談の手紙でした。
戸惑いながらも、当時の店主だった、“ナミヤ雑貨店のおじいさん”としてかわりに返事を書いた3人。
しばらくすると再びその返事が届き、奇妙なやり取りを続けるうちに、知られざる「ナミヤ雑貨店」の秘密が明らかになっていきます。
 
空き家となった「ナミヤ雑貨店」に逃げ込む3人を、「Hey! Say! JUMP」の山田涼介、村上虹郎、寛一郎という、期待の若手が演じています。
 
物語のキーマンとなる「ナミヤ雑貨店」の店主・浪矢雄治を、名優・西田敏行が演じています。
人情味厚いキャラクターを数多く演じてきた西田敏行ですが、彼のこれまでの出演作品でも、最も人情厚く、泣けるキャラクターになっています。
一文字、一文字丁寧に手紙の返事を書くシーンは、この映画の中でも心を揺さぶる名シーンです。
 
また、劇中に重要な人物として登場する「晴美」を演じる尾野真千子。
10代から50代までの年齢の幅を、特殊メイクに頼らず、演技力で見事に演じ分けているのも素晴らしいですよ。
監督は、「余命一ヶ月の花嫁」や「ヴァイブレータ」で知られるベテラン、廣木隆一監督です。
メジャー作品もインディペンデントな作品も手掛ける監督さんですが、プロデューサーが「人生の苦みを感じさせる東野作品の登場人物を、廣木監督ならうまく演出してもらえるだろう」と考え、演出をオファーしたそうです。
作品を観ると、登場人物の心の動きが見事に表現されていて、プロデューサーの狙いは、ズバリ的中していると思います。
 
2012年と1980年を中心に、いくつもの時間軸が交錯し、様々な登場人物のエピソードが描かれる、複雑な構成を持った作品ですが、さすがこれまで数々の群像劇を作り上げてきた廣木監督、登場人物の感情に寄り添った丁寧な演出で、自然と物語の中に入り込むことができます。
また、劇中の商店街は、“レトロな町”で知られる大分県豊後高田市で撮影されていて、ノスタルジックな風景が、やさしい物語を一段と引き立てています。
 
ミステリーでおなじみの東野作品らしく、さまざまに散りばめられた謎とファンタジーが最後にピタリと収まるところは、さすがの一言。
少し涼しくなってきた、この季節にぴったりの、心温まる1本ですよ!
 
今日ご紹介した映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は、
■TOHOシネマズ 光の森
■TOHOシネマズ はません
■TOHOシネマズ 宇城
■ユナイテッドシネマ熊本
■イオンシネマ熊本
で、9月23日・秋分の日から公開されます。
 
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」オフィシャルサイト
 
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