グループ「葦」 「声楽アンサンブルと古楽器でおくるイギリス・バロック音楽の夕べ ヘンリー・パーセル作曲 "ダイドーとエネアス"」

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ヒューマン・ラボ
あらゆるジャンルの注目の人にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
今日はルネッサンス・バロック音楽の演奏活動を行っている古楽器アンサンブル
グループ「葦」のメンバーの中川洋子さん、船方公子さん、安尾宣子さん、右ノ子万里奈さんがゲストです。
11月26日(土)に開催される熊本公演
「声楽アンサンブルと古楽器でおくるイギリス・バロック音楽の夕べ ヘンリー・パーセル作曲 ”ダイドーとエネアス”」について紹介しました。

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Q ご出演者全員のプロフィールを教えて下さい。
 
中川洋子(歌) 宮崎大学教育学部特音課程ピアノ専攻卒
 
熊本に帰ってグループ『葦』に出会い1980年から演奏活動開始した。
高校時代に声楽のレッスンで17世紀イタリアのアリアと出会い、歌のパートはもとより伴奏の美しさに心引かれた。
大学時代にオランダのリコーダー奏者フランス・ブリュッヘンの『涙のパヴァーヌ』のLPを聞いて感銘を受けた。
16世紀には日本にヨーロッパの音楽が短い期間だがライヴで入ってきた。
天草にはコレジヨという神学大学が有って天正遣欧少年使節達もヨーロッパから帰ってきて学んでいた。
当時のヨーロッパの楽器も持ち帰ったと言われている。そういう背景も有る熊本に自分が住んでおり、ヨーロッパの古い時代の名曲でありながら日本に伝わらなかった当時の音楽を現代の熊本で演奏して自分が心ゆくまで楽しみたいと思っています。
 
震災やその他の多くの自然災害に見舞われ続けた熊本の多くの方々の心に暗い影がさしているこの時期に、以前から練習に取り掛かっていたとは言え17世紀イギリスの天才作曲家H・パーセルが唯一残したオペラを取り上げることが良い判断なのか随分悩みましたが、美しい音楽やドラマチックなストーリーに心を満たされている私達を見て下さるお客様のお心も、きっとパーセルの音楽は包み込んでくれると確信してコンサートの実現に走り出しました。
バロックヴァイオリンをはじめとする古楽器のアンサンブルと声楽アンサンブルでパーセルの世界を熊本で!とメンバー一同張り切っております。
 
船方公子(歌) 熊本大学文学部言語学科卒
 
学生時代から合唱に親しみルネッサンス音楽に興味を抱いていました。音楽の時間に先生が初めて聞かせて下さったコンソートオブミュージックのジョン・ダウランドのリュート歌曲にリュートという美しい音色の楽器を実際に見てみたいなあ…いつか一緒に歌うことができたらすばらしいだろうな~などと夢をえがいておりました。
卒業後転勤で熊本に戻って、ふと友人主催のリコーダーアンサンブルに誘われるままリコーダーを手に取って以来、古楽にどっぷりとハマってしまい、そこからグループ『葦』とのご縁ができ今に至ります。
リコーダーやヴィオラ・ダ・ガンバを演奏したり、歌ったり…時にはリュートに弾いてもらって歌ったりすることもあり、そんな時はとても不思議な気がするのです。
古楽の素晴らしさは、とても親密なアンサンブルから生まれる即興的音楽の豊かさかと、
『葦』のメンバーはじめ、多くの古楽愛好家の方々、素晴しい音楽家の方々、そして作曲家とのかけがえのない出会いを通して導いていただき、益々そう感じるこの頃です。
 
11月26日の『ダイドーとエネアス』この演奏会をすることについて大変悩みましたが、メンバーの「今年!やりましょう」の声に支えられ、ヘンリー・パーセルの喜びも悲しみも全て含んだ素晴らしい音楽を今年演奏することで、皆様とともに心を励まし慰め合うことができたらどんなに良いだろうと思いいたりました。
そして、私たちの信頼する野入志津子さん彼女のアーチリュートによる豊かな音楽に先導されて、ひと時、楽しい音楽の旅に皆様と一緒に出掛けたいと思っています。
 
安尾宣子(歌) 武蔵野音大声楽科卒業
 
平成20年、夫の転勤に伴い、天草市河浦町で、西洋古楽の演奏グループ「コレジヨの仲間」に出逢いました。
天正少年遣欧使節団が持ち帰った、復元された西洋古楽器の音色にふれ、最初に頂いた楽譜が、聚楽弟で、秀吉の前で、御前演奏したであろう「千々の悲しみ」。
400年も前の曲の持っている力に感動の涙がとまらなかった。その後、『グループ葦』のメンバーと出会い演奏活動中。
益城の築70年の大きな家は、全壊しました。無くしたものが沢山あります。
しかし、沢山のご支援を頂き、家族、地域、友人、タフで暖かいボランティアの方々の愛を一杯頂きました。感謝申し上げます。   
 
癒され、美しく、儚いと思っていた歌とは、力強く、希望と勇気をくれます。
背筋を伸ばし、顔を上げ、良い声を出そうと思うと、いい顔している。
落ち込んでいても、歌の練習の後には、元気になります。明るく、前向きなベリンダになりきりたいと思います。
 
右ノ子万里奈(ヴァージナル) 熊本大学教育学部中学校教員養成課程音楽科卒業
 
第41回西日本新人紹介演奏会出演
第43回熊本県新人紹介演奏会出演
2014年からグループ『葦』に加入し、鍵盤楽器であるチェンバロ、ヴァージナル奏者として通奏低音を担当している。
古楽器の繊細で美しい音色に魅了され、演奏活動をしている。
ヤマハPSTA講師 全日本ピアノ指導者協会会員
 
Q グループ「葦」の概要を教えて下さい。
 
1977年熊本で結成された古楽器アンサンブル。
現在は各種のリコーダー、コルネット、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、ヴァージナル(チェンバロ)等に歌(独唱や重唱)を加えてヨーロッパの中世,ルネッサンス,初期バロック期(16・17世紀)の音楽を九州各地で演奏。
結成時メンバー各自がグループ名の候補を挙げあみだくじで選んだ。
 
Q メンバーの人数、年齢層、楽器の種類、男女比等教えて下さい。
 
今回の出演者は、音楽監督及びアーチリュート奏者の野入志津子氏を入れて19名で女性10名男性9名です。
使用楽器はバロックヴァイオリン、バロックオーボエ、フラウトトラヴェルソ、リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ、テオルポ、アーチリュート、チェンバロ、ポジティフオルガン、各種の打楽器などです。
年齢層は最も若い人は20歳で30代,40代、50代,60代と様々です。
 
Q 主にいつ頃の年代のどんな作品をレパートリーにされていますか?
 
ルネッサンス・初期バロック(16.世紀から17世紀―日本の戦国時代末期から安土・桃山時代―江戸時代初期)にかけてのヨーロッパの音楽を取り上げています。
声楽+器楽の作品など。
 
Q 11月23日(水・祝)に北九州、11月26日(土)に行われる演奏会について概要を教えて下さい。
 
声楽アンサンブルと古楽器でおくるイギリス・バロック音楽の夕べヘンリー・パーセル作曲「ダイドーとエネアス」
 
2016年11月23日(水・祝) 北九州公演
会場-日本キリスト教団 小倉東篠崎教会
前売りー3,000円
当日―3,500円
 
2016年11月26日(土)熊本公演
18時30分開場/19時開演/21時終演
会場-日本福音ルーテル健軍教会(熊本市東区新生2-1-3)
前売り‐4,000円
当日-4,500円
チケット取り扱い-西野楽器店・大谷楽器店・熊日各プレイガイド
お問い合わせ‐08064004497(中川)
gruppo.reed@gmail.com(グループ『葦』)
 
Q スタジオで聴かせていただいた楽曲についてご紹介下さい。
 
HenryPurcell(1659-1695英)作曲「夕べの賛歌」AnEveningHymnonagroundです。
何度も繰り返し演奏される和音を伴う低音の上に即興的に展開されるメロディー。
今回のオペラのオリジナル曲ではありませんが、場面に合わせて何曲も挿入されるパーセルの挿入曲の一つです。
今回は三人の交互唱で歌い継ぎます。歌詞の訳は以下の通りです。
 
今や太陽はその光を覆い隠して世界におやすみを告げている。
柔らかい寝床へ私は横たわる。でも私の心は何処で休むのだろうか?
親愛なる神よ、あなたの腕の内より他にかくも甘美な安らぎがあるだろうか?
ああ我が魂よ、ならば安らぎのために歌いつつ神の慈悲を讃えよ。
そうすれば安らぎの日は続いていくだろう。アレルヤ!

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Q ヴァージナルについて、歴史や特徴など教えて下さい。
 
ヴァージナルはチェンバロと同じアクションを持つ小型撥弦鍵盤楽器。
横長で、弦は奏者から見て横向きに張られ、ケースは多角形のものと長方形のものがある。チェンバロ、スピネットと並んで16世紀イタリアでは数多く作られた。
16世紀イタリアにはこの多角形のものが多い。
これらの撥弦鍵盤楽器の名称を明確に定義づけることは困難だが、一般的にグランドピアノ型の大きなものをチェンバロ、小型で弦が奏者からみて横に張られているものをヴァージナル、弦が斜めに張られているものをスピネットと呼ぶ。
ヴァージナルは奏者から見て手前側に低音弦が張られている。
イタリアのヴァージナルは鍵盤が本体の箱より前に突き出しており、フランドルやドイツのものは、鍵盤が本体の中に収まっているのが特徴。
16世紀後半から17世紀前半にかけて、イタリアのヴァージナルは海の向こうのイギリスへ沢山運ばれ、W.バード(1543?-1623)やJ.ブル(1563?-1628)らに代表されるイギリスのヴァージナル音楽の確立に貢献した。
エリザベス王朝の頃のイギリスでは、その形状にかかわらず、鍵盤楽器全般をヴァージナルと呼んでいた。軽やかな響きは舞曲などの演奏に適している。
 
Q 今回のプログラムの聴きどころを教えて下さい。
 
古楽器のアンサンブルがもたらす柔らかい響きに声楽のアンサンブルがからまってパーセルの音の世界を作っていくところと、ナレーションによりストーリーを音楽にのせて楽しんで頂けるところ。
 

本日オンエアのこのコーナーをポッドキャストでも配信中。

 
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FMK Morning Glory

「熊本の朝をさわやかに!」を合言葉にお届けしています。
毎週月曜~木曜の 7:30~10:34
パーソナリティ
月曜・水曜 長木真琴
火曜・木曜 松村奈央
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