「スウィート17モンスター」

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キネマのススメ

 
毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「スウィート17モンスター」です。
 
突然ですが、みなさんは高校時代に戻りたいと思いますか?
楽しいことばかりだったという人は、戻りたいと思うでしょう。
でも、イタイ思い出しかないという人も、意外と多いかもしれませんね。
 
今日ご紹介する映画「スウィート17モンスター」は、あまり人に言えない「イタイ青春時代」を送って、その後「こじらせた大人」になった人には、大いに共感できる1本です。
考えてみると「17歳」というのは特別な年齢かもしれません。
16歳ほど子供でもなく18歳ほど大人でもない。
思春期特有の不安定な時期。誰しもこの時期に「こじらせた経験」を持つもの。
この映画は、その不思議な時期の少女の気持ちを繊細に描いて全米で大ヒットを記録。
「青春こじらせ系映画」の新しいスタンダードとも言える作品です。
 
主人公は、17歳の女子高生ネイディーン。
イケメンで人気者の兄ダリアンに比べて全然イケてないし、恋愛したこともない、と自意識過剰気味の自分を持て余し、教師のブルーナーやシングルマザーとして頑張る母親を振り回してばかりいました。
しかし、そんなある日、唯一の味方と思っていた親友のクリスタが兄のダリアンと恋に落ちてしまいます!
裏切られた気持ちになったネイディーンは、今までの殻を破るべく、大胆な行動にはしります!
 
監督は、これまで脚本家として活躍してきた、ケリー・フレモン・クレイグ。
これが初めての監督作にも関わらず、ゴールデングローブ賞作品賞にノミネートされた期待の新鋭です。
全米で最も人気のある映画批評サイト「ロッテン・トマト」で「フレッシュさ95%」という数字を叩きだしたのも話題です。
「ロッテン・トマト」は辛口のサイトとして有名で、大ヒットしたハリウッド映画でも、低い数字をとることもあることも多いサイトです。
そこで「95%」という数字は、いかにこの映画が愛され、新鮮な驚きに満ちていたかという証拠です。
 
主人公のネイディーンを演じるのは、ヘイリー・スタインフェルド。
彼女は、2010年のコーエン兄弟の西部劇「トゥルー・グリット」でヒロインの少女を演じ、強烈なデビューを果たした実力派の若手女優。
1000人を越える候補者の中からオーディションでこの役をゲットしました。
ふてぶてしくも憎めない、不器用な女子高生を好演しています。
この「スウィート17モンスター」の演技で、「ゴールデングローブ賞」の主演女優賞にノミネートされ、女優としての評価うなぎ上りです。
 
実はヘイリーは、女優だけでなく歌手としても活躍していて、デビューミニアルバムに収録された「ラブ・マイセルフ」は日本でもヒットしました。
ミュージックビデオの姿しか知らない方は、彼女が演じたネイディーンとのギャップにビックリするかもしれませんね。
映画では、イケテない女子高生なのに、ミュージックビデオの彼女は、かなりイケてる女子です。
 
 
また、この映画でいい味を出しているのが、教師ブルーナー役のウディ・ハレルソン。
「ナチュラル・ボーン・キラーズ」など、ちょっとクレージーな役で知られる彼ですが、今回は主人公をあたたかく見守る教師役を軽やかに演じ、いい意味でイメージを裏切ってくれます。
熱血指導する訳でもなく、かといってクールに見放すわけでもない。
絶妙の距離感で主人公を見守る姿に共感する人も多いはず。
 
痛くて苦しいけれど、きらめいていた、高校生の頃を思い出させてくれる1本。
ぜひ、じっくりと楽しんでください。
 
今日ご紹介した映画「スウィート17モンスター」は、
■Denkikan
で、現在公開中です。
 
「スウィート17モンスター」オフィシャルサイト
 
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