「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」
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毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
今日ご紹介するのは、現在公開中の「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」です。
2011年に公開された映画「モテキ」で、一躍人気監督になった大根仁監督の最新作です。
「木曜日の調査室」の「今シーズン見るべきテレビドラマ実態調査」でも、見事1位に輝いた「ハロー張りネズミ」など、人気のテレビドラマも手掛ける大根監督。
コメディタッチの中に現代的な鋭い視点を盛り込むことで知られる監督さんですが、今回は、コラムニストとしても人気の漫画家渋谷直角の同名のサブカルマンガの実写化に挑んでいます。
主演をつとめるのは、妻夫木聡。
初主演となった「ウォーターボーイズ」が2001年ですから、すでに20年近い役者生活。
最近では、野田秀樹演出の舞台に立ったり、海外の映画に出演するなど、役者としての活動も多彩になってきました。
今回、彼が演じるのは、雑誌編集者。
「運命の女性」に出会ったことで翻弄される「恋する男」を生き生きと演じています。
そのストーリーは・・・・・・
主人公のコーロキは、中学時代に音楽番組で見た奥田民生の姿に衝撃を受けて以来、彼を“力まない、かっこいい大人”として崇拝する雑誌編集者。
家電雑誌からオシャレなライフスタイル雑誌の編集部に異動になったコーロキは、仕事で出会った、アパレル会社の美人プレス・天海あかりに一目ぼれ。
あかりに見合う男になるべく、必死に努力し、めでたく付き合うことになりますが、あかりの自由すぎる言動に振り回され、次第に身も心もボロボロになっていきます。
主人公のコーロキを演じるのは、もちろん、妻夫木聡。
実は、彼自身が奥田民生の大ファンで、“リアル・奥田民生になりたいボーイ”だったとか。
原作を読んで、「ぜひやりたい！」と映画化を希望したことから、作品の企画がスタートしたそうです。
コーロキを振り回す“狂わせるガール”には、大根監督が白羽の矢を立てた、水原希子。
大根監督は、女優の新たな一面を引き出すことで有名な監督。
「モテキ」では、長澤まさみ 演じるヒロインの魅力がスクリーンに炸裂。
一躍話題となりました。
今回、「モテキ」の長澤まさみよりも、“かわいくてセクシーなヒロイン”を撮ることをテーマにしていたそうで、監督自らカメラを持って撮ることもたびたびあったそうです。
その際のカメラは「通称・Ｅカメ・・・・・エロカメ」と名付けられていたとのこと。
興奮した監督の鼻息が荒くて撮影に支障をきたす場面もあったとか・・・・・。
水原希子を魅力的に撮るために、照明も時間をかけて準備。
男性キャストの10倍近い時間をかけて照明を準備したそうです。
その甲斐もあって、映画の中では、水原希子の輝くばかりの魅力が見事にとらえられています。
特に映画の中で何度も登場する「キス・シーン」には注目して観てください。
そのほかのキャストも曲者が揃っています。
コーロキの先輩役を、宝くじのＣＭでも妻夫木と共演している新井浩文、編集長を松尾スズキ、原稿が遅い人気コラムニスト役を、安藤サクラ、屈折したフリーのファッションライターをリリー・フランキーが演じるなど、脇を固める共演者も強力です。
いかにも、雑誌業界にいそうな人たちで、さらには、「表の顔」と「裏の顔」がある2面性のある人物たち。
細かいセリフの端々まで丹念に造形されたキャラがかなり面白いです。
原作者の渋谷直角は、２０代から伝説的なカルチャー雑誌「relax」でコラムを執筆していて、現在も雑誌やウェブで１０本以上の連載を持つ売れっ子エッセイスト。
その連載のかたわら、映画に登場する架空のライフスタイル雑誌「MALET」を制作。
この雑誌は、実際に出版されていて、書店で買うことができます。
映画の中でコーロキが準備する姿も描かれている「猫特集号」です。
もちろん、映画の中では奥田民生の曲がたくさん使われていて、その曲を集めたコンピレーションアルバムもリリースされています。
タイトルは「奥田民生になりたいボーイに贈るソングリスト」。
民生ファンならなるほどと肯ける選曲15曲で、単なるベスト盤とは違った内容に納得する人も多いとか・・・・。
今回の映画は、「モテキ」で大根監督のファンになった方はもちろん、サブカルの裏側を描いた業界ものとしても観られるし、久々に楽しいラブコメを見たい、という方にもおススメの１本ですよ！
今日ご紹介した映画「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」は、
■ＴＯＨＯシネマズ 光の森
■ＴＯＨＯシネマズ はません
■ＴＯＨＯシネマズ 宇城
■ユナイテッドシネマ熊本
■イオンシネマ熊本
で、現在公開中です。
「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」オフィシャルサイト