毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。

毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。

 

今日ご紹介するのは、現在公開中の「バリー・シール / アメリカをはめた男」です。

 

この映画は、おなじみハリウッドの大スター、トム・クルーズの主演最新作です。

「ミッション・インポッシブル」シリーズや、「ジャック・リーチャー」シリーズ、

このコーナーでも紹介した今年7月公開の「ザ・マミー　呪われた砂漠の王女」など

50歳を超えてもなお、精力的にアクション映画に出演しまくっているトム・クルーズ。

「最後の映画スター」とも言われる彼は、俳優としても、プロデューサーとしても、

大ヒットを連発しているハリウッド随一の「スーパー映画人」なんです。

 

アクションも自分でこなすし、御年55歳とは思えない若々しいルックス。

いつまでも万年青年なイメージの彼ですが、一番の魅力は、なんと言っても、あの「笑顔」。

口角のあがった「キラー・スマイル」がトム・クルーズのイメージを決定づけているんじゃないでしょうか？

あの「キラー・スマイル」が連発されるのが今回の映画です。

 

今日ご紹介する作品「バリー・シール／アメリカをはめた男」は、1970年代から80年代にかけてアメリカで暗躍した実在の人物・バリー・シールをトム・クルーズが演じた作品。

麻薬組織やCIA、FBIなどが登場する物語なのでハードなサスペンスかと思いきや・・・・なんと、実話をベースにしたコメディ要素満載の作品になっています。

 

とんでもない悪事に手を染めていく主人公を、いつものあの「笑顔」で演じているトム・クルーズ。

とっても悪いことばかりやっているのに、なんだか楽しそうに見えてしまう主人公バリー・シール。

どんなにピンチに陥っても笑顔で切り抜けてしまいます。

「キラー・スマイル」のトム・クルーズのキャラクターを上手に生かした政治的なコメディ作品です

 

監督は、「ボーン・アイデンティティ」や「Mr.&Mrs.スミス」のダグ・リーマン監督。

トム・クルーズとは、2014年の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」以来

2度目のタッグとなります。

 

ストーリーですが・・・、主人公のバリー・シールは、民間航空会社に勤務する敏腕パイロット。

TWAのパイロットに史上最年少で合格した輝かしい経歴の人物。

そんな天才でありながら、パイロットの特権を利用して、葉巻の密輸などをやっています。

ある日彼の元に、操縦の腕を見込んだCIAのエージェントが訪れ、バリーをCIAにスカウトします。

 

時速５００キロで飛行できる最新鋭の小型機を与えられ、中米のグアテラマやエルサルバドルへ飛び、銃弾をくぐり抜けながら、偵察写真を撮るというミッションを次々と成功させます。

やがて、極秘作戦として、南米に兵器を運ぶことになったバリーは、その中で伝説的な麻薬王、パブロ・エスコバルと接触し、麻薬の運び屋となります。

行きはCIAの命令で極秘に兵器を乗せて飛び、帰りには麻薬をどっさり詰め込んで帰ってくるバリー。

とんでもない違法ビジネスで荒稼ぎするバリーは、ついにFBIや州警察にその悪事を突き止められ、逮捕されてしまうのですが・・・。

 

バリーが荒稼ぎしていた違法ビジネスは、後に「イラン・コントラ疑惑」として発覚し、世界中を巻き込んだ、大スキャンダルとなります。

バリーが運んでいた兵器は、アメリカに反発していたニカラグア政府を倒すゲリラ

「コントラ」へ与えられていたもので、しかもその兵器を買うお金は、当時アメリカが敵視していたはずのイランに武器を売って作ったものだったんです。

 

実は、ダグ・リーマン監督の父親、アーサー・L・リーマンは、この「イラン・コントラ疑惑」の捜査で主任顧問を務め、疑惑の重要人物に尋問を行った経験もあるんだそうです。

 

映画の舞台は、主に80年代。

登場する飛行機や車、ファッションなども徹底的に80年代のものが再現されています。

特に飛行機関係の描写が細やかで、「バリー・シールは、天才パイロットだった」と先ほど言いましたが、映画の中では、トム・クルーズ自身が実際に飛行機を操縦しています。

CGではないリアルな飛行シーンが何度も登場していますので、トムの操縦技術の凄さを劇場で確認してください。

 

アメリカでは、未だにうやむやにされ、真実が分からなくなっているこの事件を、笑えて、手に汗握るエンターテインメントに仕上げたリーマン監督と、トム・クルーズの心意気は、さすがの一言！

ハリウッド映画の懐の深さを感じる1本ですよ。

 

今日ご紹介した映画「バリー・シール/アメリカをはめた男」は、

■ＴＯＨＯシネマズ　光の森

■ＴＯＨＯシネマズ　はません

■ＴＯＨＯシネマズ　宇城

■ユナイテッドシネマ熊本

■イオンシネマ熊本

で、現在公開中です。

 

「バリー・シール/アメリカをはめた男」オフィシャルサイト

http://barry-seal.jp/