熊本市健康づくり推進課 主任技師 中尾紗綾さん

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月曜対談
「ひと」「もの」「こと」に関わるさまざまなトピックを切り取っていくインタビュー「月曜対談」。
熊本市健康づくり推進課 主任技師 中尾紗綾さんがゲストです。
健康に関する熊本市の取り組みについて伺いました。

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●ご出演者のプロフィール
 
お名前:中尾紗綾(なかおさや)
所属・肩書:熊本市健康づくり推進課主任技師
平成21年度熊本市役所に管理栄養士として入庁。
健康づくり推進課は5年目になります。
CKD対策、生活習慣病対策を担当しております。
食べること、体を動かすことが好きです。
 
Q 熊本市健康づくり推進課は日頃、どんなことに取り組んでいる課ですか?
 
業務内容について教えてください。
健康づくり推進課は、がん検診などの成人保健、食育推進、歯科保健、生活習慣病対策等、市民のみなさまの健康づくりに関する企画・運営を行う課です。
 
Q 熊本市といえば、大西一史市長もツイッターでダイエット宣言をされたり、ウォーキングをされていることを時々つぶやかれていますね。
 
市長も健康第一に取り組んでいらっしゃいます。
 
Q 8月7日、2009年から2017年にかけての熊本市CKD(慢性腎臓病)対策事業実績報告書が出されましたが、まずはCKDとは何のことか改めて教えてください。
 
CKDとは慢性腎臓病ChronicKidneyDiseaseの略です。
CKDとは蛋白尿や血尿などの腎臓の障害や腎機能低下のいずれか、または両方が一定期間以上続く状態のことです。
 
Q そもそも熊本市がCKD対策事業を開始したのは、いつ、どんな背景があったからでしょうか?
 
CKD対策事業を開始した背景は4つあります。
①熊本市が全国と比べて人工透析患者割合が1.4倍と高かったこと
②CKDは死因の上位を占める脳卒中や心筋梗塞など心血管系疾患の重大な危険因子になることが判明したこと
③腎疾患が治療困難な病気と考えられていたが、医療の進歩により治療・予防が可能になったこと④腎疾患は自覚症状がほとんどなく、全国では成人の8人に1人の割合でCKD患者さんがいるとされています。
熊本市においても約7万5千人と多くいることが予測されました。
これら4つの背景より、CKDを熊本市の健康課題とし、平成21年度からCKD対策事業を開始しました。
 
Q CKD対策事業はどんな目的で行われているのでしょうか?
 
全国的に末期腎不全による人工透析患者が増加しており、なかでも熊本市は、人工透析者数の割合が全国で高い水準でした。
そこで、市民の生活の質の維持・悪化防止の観点から、熊本市医師会や腎臓専門医などの関係機関と協働し、CKDの発症予防や悪化防止のための総合的な取組を行い、熊本市における新規人工透析者数を減少させるとともに、心血管疾患の発症・進行の予防を進めることを目的として取り組んでおります。
 
Q CKD対策事業として、具体的にはどんなことに取り組んでこられたのでしょうか?
 
軽度から重度までCKDの全ての段階に応じた総合的な対策を4本柱で取り組んでまいりました。
市民のみなさまにCKDを知ってもらうため地域で健康イベントを実施したり、ホームページを開設するなどの「啓発・早期発見」。
腎機能軽度へのCKD予防教室やFacebookなどを活用した健康づくり支援などの「発症予防・進行抑制」。
腎機能低下している患者さんが人工透析になることを防ぐため、CKD病診連携システムの構築・運用など「悪化防止」。
またCKD対策は自治体だけなく、様々な関係団体との体制づくりや情報共有を行う「推進体制の整備」。
この4本柱を関係団体の皆様と協働で取り組みました。
 
Q これまでのCKD対策事業によってどんな成果がありましたか?
 
CKD対策事業を開始して9年が経過し、成果がでました。
新規人工透析導入者数が平成21年度295人から平成29年度234人と61人減少しました。
また、導入平均年齢も平成21年度66.74歳から平成29年度は71.15歳と4.41歳上昇し、導入の時期を遅らせることが出来たことが成果として表れました。
 
Q 熊本市のCKDの現状はいかがでしょうか?
 
先ほどお話した成果とともに、「CKD」という言葉も事業スタート時よりも浸透してきています。
しかし、新規人工透析導入者も事業開始から減少しておりますが、目標の200人以下には達しておりません。
今後も引き続き、関係機関と協働して対策を進めてまいります。
 
Q 腎疾患は自覚症状がなく、潜在患者が多くいることが予測されるということですが、今日ラジオを聞いて自分は大丈夫かどうか気になった方はどこに行けばいいですか?
また、どんな検査を受けることになるのでしょうか?
 
ご自身の腎臓が気になられたなら、まずかかりつけ医またはCKD病診連携医にご相談しましょう。
CKD病診連携医とは、熊本市のCKD対策の推進に賛同・協力されているかかりつけ医のことです。
尿検査や血液検査を受け、腎機能の状態を調べます。
その結果、紹介基準にのっとり、かかりつけ医から腎臓専門医へ紹介する仕組みとなっております。

→熊本市CKD(慢性腎臓病)対策推進「協力団体(企業)」リスト
http://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=4852&class_set_id=1960
 
Q 今はまだ発症していないという方はどんなことに気を付ければいいのでしょうか?
 
CKDの発症には、塩分やエネルギー、たんぱく質、アルコール等の過剰摂取や、運動不足、喫煙などの生活習慣が深く関わっています。
日頃の生活習慣の振り返りや見直しをするためには、年に1回の健康診断で、血圧測定、血液検査、尿検査を受け、自分の体の状態を知ることが大切です。
 
Q 発症予防・進行抑制の為の取組の一つとして「減塩」ということも挙げられていますが、今年の夏は熱中症対策として、水分と共に塩分も取りましょうという呼びかけも多く聞かれました。
塩分の制限がある方やそのご家族にとっては悩ましい問題だと思いますが、その辺りはそれぞれ主治医の先生にご相談されるといいかもしれませんね。
 
今年の夏はとても暑く熱中症予防が呼びかけられました。
また9月でも暑い日が多いので、熱中症に引き続き、気をつけましょう。
熱中症予防のためには、こまめに水分をとること、暑さを避けることが大事です。
またしっかり睡眠をとったり、バランスのよい食事を心がけるなど、暑さにまけない体も作りましょう。
ただし、腎機能や高血圧など等、持病がある方、治療中の方は、ご自身に応じた対応が必要になりますので、かかりつけ医にご相談ください。
 
Q 最後にお知らせなどあれば教えてください。
 
人工透析導入となる原因に糖尿病があります。
4人に1人が糖尿病といわれています。毎年11月14日は「世界糖尿病デー」です。
11月14日は血糖を下げるホルモンであるインスリンを発見したバンティング博士の誕生日です。
CKD、糖尿病ともに初期では自覚症状が少ないため、気づかないうちに病状が進行していることがあります。
特に40歳以上のみなさん、特定健診を受診されていますか?
受診する時間がない等の理由はあるかと思いますが、早期発見のため、ぜひ特定健診をお受けください。
 
今日のゲストは、熊本市健康づくり推進課主任技師中尾紗綾さんでした。
 
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