映画「輝ける人生」

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キネマのススメ


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、現在公開中の「輝ける人生」です。
 
世界で一番平均寿命が長い日本。今や男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.26歳。
例えば、会社勤めの人の場合、定年を終えてからの「第二の人生」も20年以上になる計算です。
今日ご紹介する映画「輝ける人生」は、そんな、“第二の人生”を一から考えなおすことになったある女性の姿を、涙と笑いを交えて描いた作品です。
 
一般的に映画に登場するシニア世代の登場人物は、「人生を悟った先輩・・・いわゆる人生の達人」だったり、「死を待ちながら、次の世代になにか残そうとする人物」だったりすることが多いんですが、この映画の登場人物たちは違います。
年齢というのは肉体の年齢に過ぎない。何歳になっても新しいことに挑戦していいし、その挑戦する姿は、実に美しいことなんだと教えてくれる作品になっています。
 
さて、この「輝ける人生」の気になるストーリーは・・・・・主人公は、ロンドン郊外の住宅地に住む専業主婦・サンドラ。
警察本部長だった夫がナイトの称号を授与されて、彼女自身もレディとなり、絵に描いたような順風満帆の人生でした。
しかし、夫の定年パーティーの日に、夫と親友の浮気現場を目撃。
35年間、家族のために生きてきたサンドラは、怒りとショックのあまり家を出て、姉のビフの家に転がり込みます。
独身で、金や名誉とは無縁の、自由気ままな生活を楽しんでいたビフ。
地元の名士夫人として生きてきたサンドラは、彼女の生き方を否定しますが、ビフの誘いで通い始めたダンス教室で心を癒され、忘れかけていた情熱を思い出していきます。
 
主人公のサンドラを演じるのは、「ヴェラ・ドレイク」で、数々の女優賞を総なめにした実力派、イメルダ・スタウントン。
姉のビフ役に、「マリーゴールド・ホテルであいましょう」のセリア・イムリー。
また、サンドラがダンス教室で知り合う男性チャーリーに、「ハリー・ポッター」シリーズのティモシー・スポールと、イギリスの映画界を代表する名優が勢ぞろい。
 
監督は、「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」のリチャード・ロンクレインです。
72歳のロンクレイン監督をはじめ、主要キャストはみんなシニア世代。
画面に華やかさはないですが、人生の機微を丁寧に表現した、味のある演技はさすがです。
 
中でも、ダンス教室のメンバーが、ロンドンの中心部ピカデリー・サーカスで、様々な名曲に乗ってフラッシュ・モブ・ダンスを披露するシーンは見どころの1つ!
平均年齢60歳のおじちゃん、おばちゃんたちが、キレッキレのダンスを楽しそうに踊る姿は、見ている私達も、思わず体を動かしたくなってしまいます!
実はこのシーン、当初は、鉄道の駅で撮影する予定だったそうですが、出演者の多さから撮影を断念。
イチかバチかで一番の繁華街ピカデリー・サーカスでの撮影をオファー。
奇跡的に撮影許可が下りて、20数名の主要キャストと50人のエキストラ、当日集まった600人の観客とともに撮影が決行されました。
このシーンは、2時間かけて5回のテイクが撮影されました。
撮影終了した途端に雨が降り出したそうで、撮影隊は、その幸運に感謝したそうです。
 
ロンドンのあちらこちらで行われた撮影は、通常なら、交通を遮断して照明を用意して、リハーサルして・・・といった段取りを踏むものなんですが、多くの場面でゲリラ撮影が行われていて、自然なロンドンの風景の中で登場人物を描くことに成功しています。
このあたりの自然な感じ、お見逃しなく!
 
ダンスを通じて、新しい自分を発見する物語は、とても普遍的なもの。
主人公と同世代の人だけでなく、どんな年代の人も元気にしてくれる、素敵な1本ですよ。
 
今日ご紹介した映画「輝ける人生」は、
■Denkikan
で、現在公開中です。
 
「輝ける人生」オフィシャルサイト
 
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