映画「洗骨」

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キネマのススメ


毎週火曜日にお送りしています、「キネマのススメ」。
毎週、松村奈央が選んだ映画をご紹介しています。
 
今日ご紹介するのは、今週金曜日・4月26日から公開される「洗骨」です。
先日開催された「くまもと復興映画祭」では、オープニング作品として上映されたので、ご覧になった方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?
主演の奥田瑛二さん、水崎綾女さん、主題歌を歌う古謝美佐子さんがゲストとして舞台挨拶し、会場から大きな拍手を受けていました。
 
映画「洗骨」の監督は、お笑いコンビ、ガレッジセールのゴリ。
今回は、本名の照屋年之監督としてクレジットされています。
いまや巨匠となった北野武監督をはじめ、内村光良さん、板尾創路さんなど、お笑い芸人と映画監督の二足のわらじを履く方は多いですが、ゴリさんもその1人。
彼はもともと役者を目指して日大芸術学部の映画科で演技を学んでいて、吉本興業が映画製作に進出する際に、短編映画の監督としてデビュー。
それから地道に作品を作り、2016年に製作した「born、bone、墓音」は、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル」ジャパン部門で、優秀賞を受賞しました。
今日ご紹介する「洗骨」は、その短篇を下敷きにして、自ら長編リメイクした作品です。
 
タイトルとなっている「洗骨」は、“骨を洗う”と書きますが、その名の通り、骨を洗う風習のこと。
一度、土葬や風葬などを行った後に、亡くなった人の骨を海水やお酒などできれいに洗い、改めて埋葬する儀式です。
東南アジアなど、世界各地で行われていたもので、日本では、沖縄や奄美の一部の島に、今でも残っています。
映画の舞台となる粟国島は、今も実際に、この風習が残っている地域。
島の中には、あの世とこの世の境となる場所があり、生きている人が住む集落は島の東側、亡くなった人を埋葬する場所は島の西側に分けられているそうです。
 
映画の主役となるのは、その粟国島に暮らす、新城家の人たち。
両親と兄、妹の4人家族ですが、母・恵美子は亡くなり、長男・剛と、妹の優子は、それぞれ県外で暮らしています。
 
母の洗骨のため、4年ぶり家族が集まりますが、優子は仕事先の店長と関係を持ち、身重の体に。
剛は、東京に残した家族とワケありの様子。
そして、父・信綱は、妻を亡くしたことを受け入れられず、酒浸りの日々を送っていました。
数日後に洗骨の儀式を控えながらも、心はバラバラの新城家。
無事、洗骨の儀式を行うことができるのでしょうか?
 
新城家の父・信綱を演じるのは、名優・奥田瑛二。
照屋監督は「奥田瑛二を捨ててください」と言ったそうですが、本当にこれまでに見たことのない、気弱なダメおやじの姿を見せています。
新城家の長男・剛には、筒井道隆。
妹・優子には、水崎綾女。
撮影中、本物の妊婦に間違えられたというリアルな妊婦姿にも注目です。
 
「洗骨」というタイトルから、ちょっと怖そうな・・・、もしくは重そうな話だな。
と思うかもしれませんが、お笑い芸人の監督らしく、笑えるシーンも満載で、シリアスな場面とのバランスが絶妙。
笑って、泣けて、最後には温かな気持ちに満たされる、素敵な映画ですよ。
ご家族でご覧になるのもおすすめです!
 
今日ご紹介した映画「洗骨」は、
■Denkikan
で、今週金曜日・4月26日から公開されます。
 
「洗骨」オフィシャルサイト
 
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