今日は益城町出身のダンサー・葉山悠介さんのインタビューを
風戸南陽子がお届けしました。
先月、一般公募のダンサーたちと作る映像作品の撮影が
益城町の震災記念公園などでありました。
地域と共に作るプロジェクト。
子どもから大人までおよそ20人が参加しました。
大蛇伝説、断層などをモチーフにした手の動き、
出会いや別れ、あの日の自分からこれからなどもテーマに入っていました。
作品の作曲担当は熊本市在住の作曲家・鎌田優紀子さん、
監督はクリエイティブカンパニーAwwDesignの宮川伸吾さんです。
様々な力が合わさり、作られていきます。
『10 dots Project(テン・ドッツプロジェクト)』と名付けられた
このプロジェクトへの思いを撮影現場で葉山さんに伺いました。
葉山:震災から10年。益城町は甚大な被害を受けた場所。
その益城町の生まれで、出身で、育ちも益城町の私が
ふるさとのことを1回考えて、やれることがないかと企画しました。
今だからやれることを考え、いろんなリサーチをして
いろんな人にお話を聞きに行ったり震災遺構だったりを
たくさん回って。
それでなんかやっと街のことを知れて
そこからなんかいろんなことを考えて
『10年前の自分が今の自分になんと言うか』が
一番のポイントになりました。
そしてたどり着いたのが『それでも生きていてくれてありがとう』というメッセージでした。
これが作品の一番のテーマです。
風戸:ストーリーはどのようなものに?
葉山:10年間いろんなことがあって僕は被災もしてないし
ちょうど留学してたので被災もしていない。
避難所生活もしてないし家族とかを亡くしたわけでもないという状況で。
益城町出身であることに対して後ろめたさというか
どういう風に震災とか復興に距離を取ったらいいのかすごく悩んでいて。
そこがずっと引っかかるポイントだったんです。
そこに向き合ってあの日の自分みたいに
無力感を感じてる人がいるとしたら
それもこういうことつながっていくとか
こういうダンスの作品を作ることにつながっていくというか、
とても大事なポイントになったと思うので
そんなことを今日は思いながら踊っていました。
風戸:無力感も時が経って創作につながったということですね。
葉山:そうですね。今回作ってて思ったのが
1年前でもできなかったなっていう作品なんですね。
それは自分の心情的な部分ももちろんあるんですけど、
ここまで何か震災とか益城町に向き合うっていうことを
やっぱちょっと避けてきた部分もあったりするので。
そこにちゃんと向き合うだけの気持ちとか、やり方、
踊りのスキルもそうだし作り方もそうだし
そういろいろいう含めて今だからできたなと思います。
風戸:何が動けた要素になったのでしょうか?
葉山:10年間本当にいろんな人に出会ってきたんですけど
今回その作品を作っていく上で作曲の方もカメラの方も
皆さんこの2~3年の間に出会った人たちで。
それも10年前じゃできなかったことだし
自分の気持ち的にも「1人じゃない」っていう風に思うことが
この1年ぐらい多かったですよね。
無力感があった自分から1人じゃない。
自分にもできることがたくさんあるんだっていうことを
感じる1年を送れたので
この作品に向き合えるようになったのかなって思います。
風戸:続いて参加者親子にも思いを伺いました。
母:熊本地震が起こった時に上の子は8ヶ月だったんですよね。
多分ほとんど記憶はないと思うんですけど、なんか心の根っこに
ちょっと恐怖感みたいなのは残っているというようなことを本人が言っていて。
なんかあるって。
全然覚えてないわけじゃないって言っていて。
で、それもやっぱり未来につなげていくって
葉山先生がおっしゃった時に
それも土台にして、
ちょっと強く未来に伸びていくみたいなイメージを
子供と3人でできたらいいなと思って参加しました。
風戸:8ヶ月だったお嬢さんですね!踊っていてどんな気持ちになりましたか?
娘:小さい頃の経験も、ほとんど記憶に残っていないようなものを
人の話だけを聞き、それを頼りに形にしていくのがとても面白くて
大切なことなんだなと思いました。
風戸:どんな人たちに見てほしいですか?
娘:熊本地震の時にいた人もいなかった人も
その時の経験を覚えている人とかどんなことがあったとか
覚えてる覚えてない関係なくたくさんの人にこの企画を知ってほしい。
風戸:葉山さんが描くこれからは?
葉山:この映像とともにいろんなところで
パフォーマンスをしていきたいと思っているんですね。
自分のパフォーマンスとこの映像とで
その映像を見た人と語り合ったりイベントやったりとかっていう形で
これまでの10年とは違う
映像とパフォーマンスを強みとして
全国各地、もしくは海外いろんなところまで行けるように
なったらいいなと思っています。
踊るだけじゃなく話せるツールが今回動画でできたなと思っていて
自分の故郷ことも喋れる地震があったことも喋れるし。
話せる人がたくさん増えて、震災のことを調べていく中で
出会ったワードから踊りを作ったんだよとか、
そういう話をしていくと
また全然違うジャンルの人ともお話ができるかなと思います。
これから全然想像できてない未来があるんだろうなと思って
楽しみにしてます。
この作品とパフォーマンスでつながる未来は
どのようなものになっていくんでしょうね。
作品の完成は今月下旬の予定です。
上映会も開催するとのことです。