2026年5月17日「くまもと文学・歴史館 震災万葉集他」鶴本市朗さん


今日は、熊本県立図書館内のくまもと文学・歴史館で開催中の特設展示「熊本地震から10年 震災の記憶と復興エール」で紹介されている全国の文学者の方々からの復興エールと震災万葉集を本田みずえが紹介しました。

 

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故谷川俊太郎さんや三浦しおんさんなど、全国の文学者の方々から送られてきた色紙や原稿、そして被災した県民の皆さんの言葉を集めた作品集「震災万葉集」について、くまもと文学・歴館 学芸調査課の鶴本市朗課長にお話をうかがいました。

 

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震災万葉集とはどういったものなのか教えてください。

熊本地震の記録を残すため、また後世に伝えるため、震災に関する文学作品を広く集めることを目的に平成 28年 11月から平成 29年 3月まで一般の方々に募集したものです。そこから 4200余りの作品、俳句、短歌、川柳、随筆などが多くの県民の皆様から寄せられました。その作品を熊本地震の翌年平成 29年 4月に開催した企画展震災の記憶と復興エールの中で展示しました。その後編集を行って 3226点をまとめて震災万葉集という形で発刊したものです。

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4200ぐらいの様々なジャンルの作品が集まったということですが、やはり皆さん何らかの形で自分の思いを発散したい、皆様にお伝えしたいという気持ちの表れということでしょうか。

そうですね。作品の中にはこういうものがありました。「すさまじき 音して湯がくタケノコの 湯が飛び散りぬ ああ震度 7」。多分タケノコを湯がいていたその最中に震度 7の地震があって、本当にもうそこからどう対処していいかわからない、そういうふうな思いが体験の中で残されています。また他の作品で「車中泊 気遣いしながら 寝返りす  8ヶ月の 腹の娘と 並びて」これは車中泊の中で娘を気遣うそんな母親の思いが込められいます。また「おにぎりの  1個に並ぶ 暮の春」被災した時の避難所でのいろんな体験などが作品に込められています。

一つ一つ聞いて、そうだったなと今思い出されましたが、俳句、短歌は少ない文字ですがたくさんの思いがこもっていますね。

はい、そういうふうな思いの中には、自分自身をユーモアを出しながら返していくと肥後狂句があります。これは「笠」という頭につけた言葉をもとに、その言葉から発想したものを入れるんですが、「のさん」という笠をその時は出しました。「のさん」というのは、なんか嫌だなっていう気持ちなんですが、その「のさん」に対して出された作品が「のさん 元彼がいる 避難先」、「のさん かかりつけ医が まだあかん」、「のさん 新築祝い したばかり」、それぞれのいろんな思いを重ねられるような作品が寄せられました。

今日は展示した内容を館内で見せていただきましたが、色紙一つ一つ、他に便箋に書かれたメッセージなどもありましたが、本当に心打たれるものばかりでした。

先ほど申し上げた展示会に合わせて、詩人の伊藤比呂美さんの協力をいただきながら、全国から谷川俊太郎さん、三浦しおんさんら多くの文学者の方々から色紙が寄せられました。現在開催している展示会「震災の記憶と復興エール」の中で 42点を展示していて、県民の皆様を励ます言葉がたくさん寄せられた思いの詰まったものを見ることができます。

谷川俊太郎さんからは「風が吹き 風が吹き 風が私に歌わせる 風に逆らい歌わせる」という詩が送られてきたり、三浦しおんさんからは幸福は再生する形を変え、様々な姿で、それを求める人たちのところへ何度でもそっと訪れてくるのだ。こういう言葉が寄せられています。

 

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伊藤比呂美さんのお声掛けでというお話がありましたが、伊藤さんの色紙には、「あの苦が この苦が 抜けていきますように」とありました。その言葉通りはもちろんですが、その奥に込められた優しさのようなものを感じました。

そうですね。それぞれの人がその時の体験の中で、いろいろな何か心の中に刺さった棘みたいなものがあって、伊藤さんはこの言葉を「とげ抜き地蔵」という作品の中で使われていますが、一人一人が持っている小さなとげ、そういったものが時間の流れによって抜けていく、そういうふうな祈りを伝えられている言葉なのではないかというふうに思います。今これらを展示していて、直筆でですのでそういったものを見ていただければと思います。

鶴本さんは、そうした作品をどんな思いで館内に展示されてきたんでしょうか。

毎年文学者の方々から寄せられた色紙を約 10点ずつぐらい継続して展示してきました。そのことで熊本地震を風化させない、そしてその時の思いを思い出すことによって、また新たな復興の思いを県民の皆様に持っていただきたい、そういう思いで展示を続けてきました。この展示会は、 5月 28日までの開催です。多くの方々来ていただき、震災万葉集の言葉、そして文学者の多くの言葉を見ていただき、熊本地震についての思いについて、また一つ考えを深めていただければというふうに思います。

 

この番組では、熊本地震に関連して、取り上げて欲しい要望やメッセージなどもお待ちしています。アドレスは、with@fmkumamoto.jpです。

 

番組内容

毎週日曜日 9:45~9:55

平成28年熊本地震、そして、令和2年7月豪雨後から取材したさまざまな声をラジオからお届けし、その想いの輪をつなげていきます。
一つ一つの想いに寄り添いながら、熊本の明るい未来へ向かって、一緒に歩んでいきましょう。

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