2025年11月16日「人吉城歴史館 企画展」岸田裕一さん

今日は、人吉城歴史館で開催中の企画展「おかえり、ふるさとの宝物展 -被災文化財の修復と軌跡-」を本田みずえが紹介しました。

令和2年7月豪雨により、人吉城の敷地内にある人吉城歴史館は、すぐそばを流れる球磨川の氾濫によって床上浸水。当時、球磨地方を700年に渡って治めた相良家ゆかりの古文書や甲冑、刀などが展示されていましたが、そうした展示物は濡れたり倒れたり、泥で汚れたりするなど、大きな被害がでたそうです。

そうした被災文化財が修復され展示されている今回の企画展について人吉市教育委員会 文化財係長の岸田裕一さんにお話をうかがいました。

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この企画展は、人吉城歴史館が今年の7月11日にリニューアルオープンした後の初めての企画展として「おかえり、ふるさとの宝物展 -被災文化財の修復と軌跡-」と題して、令和2年7月豪雨で被災した文化財が復旧した姿を展示しています。

当館は人吉城跡の中に立地していて、人吉城の堀の代わりになる球磨川が隣接していてとても珍しいと思います。人吉城歴史館の建物は、令和2年7月豪雨で大きな被害を受け、建物は1.5㍍浸水したため、中に展示されていた文化財や展示品の全てが被害を受けました。

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レプリカと本物を展示する期間を分けていましたが、被災当時、大半が本物でした。館内には浸水位置を示す印もありますが、ほとんどの展示品が被害を受けましたし、床には泥が付着している状態でした。

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展示していた文化財や人吉市内で被災した文化財は、建造物や絵画、歴史資料、古文書などなどたくさんありますが、それぞれに特化して文化財修理ができるようなところにお願いして、1つ1つを修理しました。

会場中央に展示しているのは、人吉市の指定文化財の「女乗物」。相良家の35代当主に嫁いだ京都の徳大寺の娘中姫が持参したものです。

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中には大和絵が描かれて大変きらびやかで、外は朱漆の網代がはられ、とても豪華で珍しいものだと思います。この乗物を発見した時は傾いて、壁にぶつかって破損している部分もありました。

修復は、奈良県にある修理工房に持っていき、1つ1つ丁寧に修理しました。乗物の外側にある漆塗りの網代の部分は、はがれた部分を丁寧に接着して元の状態に戻しました。

こちらに展示しているのは、人吉球磨で貴重な植物を採取し標本にした前原勘次郎さんの資料です。

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この植物標本は3万3千点ありますが、ほとんどが水損しました。泥だらけになったうえ数多くの標本がありましたので、どのように修復しようか非常に悩みました。全国の自然史系の博物館、資料館の皆さんに協力して頂いて、植物標本のレスキュー活動をしていただきました。

この甲冑は、江戸時代のもので相良家の家紋が散らされていることから、おそらく相良家に関連する甲冑だと考えています。

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布の部分にはカビが発生し、鉄の部分はさびが出ていたので、専門業者に依頼して丁寧に拭っていただき、今展示ができています。

今回の企画展は、当館所蔵のものや人吉で被災したものを展示していますが、文化財というのはその地域を語るうえで欠かせないものだと思います。12月21日(日)まで開催していますので、ぜひ多くの方にお越しいただきたいと思います。

この番組では、熊本地震に関連して、取り上げて欲しい要望やメッセージなどもお待ちしています。

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平成28年熊本地震、そして、令和2年7月豪雨後から取材したさまざまな声をラジオからお届けし、その想いの輪をつなげていきます。
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