行定発言!
Q:「世界の中心で、愛をさけぶ」の篠田昇カメラマンってどんな人だったんですか?
A:この作品のロケ地を訪ねている人も多いんですけど、
あの素晴らしい島と海、瀬戸内海と山がある象徴的なロケ地だったり、
ブランコのある高台があったりする場所を見つけたのは篠田さんなんですよ。
あの場所は僕の理想の場所で、イメージを書いた地図を制作部に渡してあったんですよ。
制作のロケーション担当が探したんですけど、
ところどころではあるんですけど、なかなか全部があるロケ地が見つからなかったんですよ。
それでロケハンの最終日に篠田さんが地図を見て、「ここに行ってみよう!」と言うんです。
もう動物的カンですよ。
「地図上で見ると、この海に太陽は沈まないんだけど、行ってみようよ!」という篠田さん。
行ってみると、まさに僕が思っていたような町並みなんです。
写真館がありそうな空き地があったり、高台に上ってみるとブランコがあるんですよ。
もともとブランコのシーンはシナリオにはなかったんですよ。
夕日が沈まないだろうと地図上では思っていた防波堤に行くと、夕日が沈むんです。
奇跡的です。
篠田さんは、そこに甘んじないでどんどん奥に歩いて行くんです。
撮影的には場所は網羅してるんですけどね。
「なんかある。なんかまだある。これが俺の理由じゃない!」って言ってるんです。
するとある空き地があって、外壁がずっと立ってて、そこに植木が置いてあるんです。
なんかへんな感じだなと思って見ると、そこは映画館の跡地なんですよ。
映画館の段々になっているところに植木が置いてあったんですよ。
ふっと見ると草むらのなかに、錆びつた映写機があったんですよ。
映画の神様がこの映写機で僕らを呼んだのかな・・・・って話したんですけどね。
(4月7日「月刊行定勲」より)