8月9日(木)の名盤は…
「夏休み特別企画」!!
~「この曲はこの人のオリジナルと思われているけど、本当はあの人の曲なんです」シリーズ~。
1994年にマライア・キャリーが歌って、
全米3位のヒットとなった「ウィズアウト・ユー」。
さすがにこの曲、マライアがオリジナルと思っている方は少ないと思います。
CDの解説にも書いてありますし、当時、ラジオのDJも言っていました。
「1972年、ニルソンの全米No.1ヒットのカバー」である、と。
それは間違ってはいないんですが、実はニルソンもカバーなんです。
本当のオリジナルはイギリスのロック・バンド『バッドフィンガー』で、
1970年に発表したアルバム「ノー・ダイス」の中の1曲。
作曲したのもメンバーの2人、ピート・ハムと、トム・エヴァンス。
こちらはヒットするどころか、シングル・カットすらされていないので、
「ニルソンのNo.1ヒット」と言ったほうが説明しやすいのは分かりますが、
これは意地でも言っておきたいと思います。
バッドフィンガーというバンドは、ビートルズの弟分として、
アップル・レコードからデビュー。このため注目もされましたが、
逆に「小型ビートルズ」と言われ続ける不幸にも見舞われ、
さらにアップルのゴタゴタで、70年代後期から80年代を通して、
15年間ほど世界的に廃盤の憂き目にあい、
さらにマネージャーにだまされて、正当な報酬を手にすることができず、
絶望したメンバー2人、奇しくも「ウィズアウト・ユー」を作った
ピートとトムの2人が、相次いで自殺してしまうという
悲惨な末路をたどった不運のバンドです。
おそらくこの印税もまともに手にしていないでしょう…。
私達にできることは、正しい真実を心に刻んで、
末永くこの曲を愛することだけでしょうかね。