「第24回 高校生によるバイオ研究発表会 バイオ甲子園2015」
あらゆるジャンルの“注目の人”にインタビューする「ヒューマン・ラボ」。
今日は、バイオテクノロジー研究推進会会長の
寺本祐司 崇城大学 教授と
◆崇城大学応用微生物工学科とはどんな学科ですか?
目的や研究内容、卒業生の進路等教えて下さい。
微生物を利用して、人の役に立つものをつくったり、
人の役に立つことをする研究を行っています。
人の役にたつものとしては、酒類、ヨーグルト、
納豆、薬品などを微生物をもちいてつくります。
人の役に立つこととは、微生物をもちいて環境浄化を行ったり、
廃棄物処理をすることです。
学科の卒業生は、食品、発酵醸造、環境、製薬メーカーや
化粧品メーカーなど微生物に関係する職についています。
所定の単位を取り本学科を、卒業すると無試験で、
食品衛生管理者、生物工学技術士補、
高校や中学の教員免許を取得できます。
◆寺本先生の研究テーマについて教えて下さい。
世界の発酵食品の調査研究を行っています。
東南亜アジアやインドやアフリカの伝統酒の特性を調べています。
黒米、赤米、緑米など有色米をもちいて機能性をもつ
アルコール飲料の研究開発もおこなっています。
◆寺本先生が専門とされている分野に興味を持たれたのは、
いつ頃、どんなきっかけだったのでしょうか?
大学生時代から、酵母や乳酸菌など微生物に興味をもっていました。
指導して頂いた教授から教えて頂いた、
海外の珍しい酒類や発酵食品に興味をもちました。
以降、微生物や発酵食品の研究を行っています。
◆寺本先生が会長を務められている
「バイオテクノロジー研究推進会」について教えて下さい。
いつ頃、どんな目的で設立され、どんな事業を手掛けられていますか?
熊本や九州のバイオテクノロジーに関係する大学、企業、
県や市の機関のメンバーで構成しています。
1982年(昭和57年)6月26日創立今年33年になりました。
当会の基本理念は、
「自然を構成する生態系に対する愛の配慮に基づく世界観」であり、
「自然保護」と「環境保全」を念頭において、
バイオテクノロジーの研究を推進しております。
本会の活動は、①研究助成、②技術の錬磨、
③知識の普及、④人材育成、の
4本柱を中心とした事業を実施しております。
➀研究助成・・・産学官の研究者の優れた研究を助成するため
毎年3~4件の研究に対し、研究助成金を贈呈しています。
これまでで延べ158名、総額7860万円。
②技術の錬磨・・
企業などの技術者や研究者の技術の錬磨を行っています。
工場見学(毎年九州各所のバイオ分野等の工場・施設を見学。
例酒造・食品工場など)
③知識の普及・・・
一般市民の方にバイオに関する知識の普及を行っています。
健康・食品・環境などテーマに講演会を実施。
今年9/26(土)の講演会で30回
④人材育成・・・
バイオに興味をもつ高校生の育成を全国規模で行っています。
「バイオ甲子園」
1993年から「高校生を対象とするバイオ研究発表会」を開始し、
1995年より「バイオ甲子園」(コンテスト形式)として
事業を推進しています。
高校生によるバイオ研究発表会から今回で24回
◆「バイオテクノロジー」とはどんなことを指すのでしょうか?
バイオ=生物、テクノロジー=技術です。バイオテクノロジーは、
微生物、植物、動物など、生物を利用して、
人の役に立つものをつくったり、人の役に立つことをする技術です。
日本では古来、微生物をもちいて、酒、味噌、醤油、食酢、漬物、
納豆、カツオ節など様々な発酵食品がつくられています。
海外でも古来、ワイン、ビール、ハチミツ酒、チーズ、
ヨーグルト、パンなど微生物を利用した食品が、つくられています。
現在では、微生物をもちいて抗生物質などの薬品をつくったり、
廃水処理をしたり、Lグルタミン酸ナトリウムなどの
旨み発酵調味料をつくったりしています。
その他、食品、薬品、環境、遺伝など様々なジャンルで
バイオテクノロジーが利用されています。
◆11月14日(土)熊本市国際交流会館大ホールで
「第24回高校生によるバイオ研究発表会バイオ甲子園2015」が
開催されますが、概要を教えて下さい。
「バイオ甲子園実施方法」
書類による予備審査にて8題程度選考。
本審査では口頭にて研究発表を行って頂き、優秀校に「研究奨励金」
(最優秀賞1題:10万円、優秀賞2題:各5万円、
特別賞(協賛企業賞))を贈呈し、表彰する予定にしております。
特別賞・・・
今回2テーマ贈呈予定「化血研賞」・「らくのうマザーズ賞」
「対象分野」
食品、環境、生態、農業、畜産、水産、遺伝、化学など、
広くバイオ(生物)に関連する基礎から応用に関する調査、研究
研究研修発表後は、出場校(他校)との情報交換会を致します。
直接各研究について意見、情報交換します。
当日来場の方また審査の先生方とも直接お話ししていただける
貴重な機会となっています。
本選は、平成27年11月14日(土)10:00~16:30
熊本市国際交流会館大ホール
予備審査締切10月1日(木)12:00迄郵送
またはE-mail添付にて受け付けております。
バイオ甲子園は、農業高校などの実業高校と
普通科のクラブ活動からの研究等同じステージにて
発表していただきます。
各分野での発表会はありますが、
同じ舞台での発表はあまりなく、一つの特徴です。
そのため、いわゆる商品化に向けた研究から、
生態系の観察からの発見等多岐に亘る研究です。
発表形態も様々です。
◆高校生の研究発表会ということですが、
皆さんどんな風に研究を重ねられているのでしょうか?
授業であるいは部活動で?
また研究期間はどれくらいかかっているようですか?
特に印象に残っている研究発表などありますか?
高校の部活動やクラブで行うことが多いようですが、
高校の学科をあげて研究にとり組むこともあるようです。
バイオに興味をもっている高校生と熱心に指導してくださる
顧問の先生がタッグを組んで、
大学生や企業の研究と同レベルの研究を行っている高校もあります。
商品化に向けた研究、生態系観察からの研究
どちらもかなり時間をかけた研究が多いです。
発表まで、4,5年かけてまとめられた所もあります。
また、10年以上ずっと観察続けて
変化を追い続けているテーマもあります。
いずれも自分たちだけの調査・実験だけでなく、
先輩から引き続いた研究そして、後輩へつなげていくという研究です。
2006年最優秀賞を受賞した第一高校。
女子高生部員が3名という中で早朝・放課後・深夜、夏休みも調査をし、
先輩から引き続いて4年間データ収集し、ツバメの生態について
新たな発見を発表されました。
また、2008年最優秀を受賞した石垣島の八重山高校の
生徒さんによる島のヤシガニの発表は、
研究内容について自信を持って質問に対しての受け答えが
素晴らしかったことが印象に残っています。
その他2004最優秀受賞の長崎県立大村城南高等学校、
鹿本農業高校など実業高校で地元特産品の中で
規格外品の枇杷を使っての商品開発,
今ではかなり普及している米粉商品など実際の販売まで
一致団結して取り組まれた発表などそれぞれ印象深いです。
高校生のパワーと指導の先生方の熱意が伝わります。
◆バイオテクノロジー研究推進会では、
高校生対象の「バイオ甲子園」以外に市民公開講座なども
開催されているようですが、
近々予定されている講座をご紹介下さい。
バイオ市民公開講座を開催します。今回で30回となります。
今回の総合テーマ「グルメと健康とバイオ!」
講師はお二人。
講師
高畠ワイン株式会社取締役製造部長川邉久之氏
「世界基準のワイン創りカリフォルニア、
熊本、山形”ThinkGlobally,ActLocally”」
日本ワイン醸造の第一人者。熊本ワインを短期間で
日本ワインコンクール金賞受賞するまで指導。
現在何かと話題になっておりますが東京オリンピック招致活動時、
IOC視察団東京視察の折、安倍首相は、
川邉氏の手がけられた高畠ワインでもてなされました。
宮崎大学農学部教授水光正仁氏
「バイオ技術を駆使した新規食品機能性評価法開発とその応用」
身体の中の新陳代謝、お酒の酵母菌の遺伝子研究など
生物化学の基礎から応用まで幅広く研修されているオーソリティー。
スペシャリストのお二人に、バイオの世界(食と健康)
についてお話をしていただきます。
日時:9月26日(土)13:00~16:30開場12:30入場無料
場所:熊本市国際交流会館大ホール定員200名
当日ご参加も可能ですが、事前に申し込み頂いておりますと、
お席を準備させていただきます。
お申込は
tel・fax 096-326-0212
E-mail : info@biotech.gr.jp
また、企業などの技術者や研究者の技術向上として
「バイオ技術研修講座」を9月10日(木)・11日(金)、
10月28日(水)・29日(木)に行います。
各5名程度の少人数制で行います。
6講座会場は崇城大学・熊本県産業技術センター
バイオテクノロジー研究推進会hpにてご確認頂けます。
(1)「微生物酵素とその利用微生物酵素とその利用」
(2)「微生物がもつ未知なる能力の探求と機性食品へ
応用微生物がもつ未知なる能力の探求と機性食品へ応用」
(3)「多機能性食品の開発を目指して」
(4)「食品の機能性評価現状と表示制度」
(5)「食品開発・試作に必要な技術の取得」
(6)「食品成分析および機能性評価」
◆最後に「バイオテクノロジー」研究の面白さや重要性、
高校生へのメッセージなどございましたらお願いします。
バイオテクノロジーは、現在、食、医、薬、環境、
遺伝など、様々な分野で利用されている、重要な技術です。
またバイオテクノロジーは日々進歩しています。
微生物など「いきもの」が対象の研究なので、
日夜関係なく研究をしなければなりません。
相手が「いきもの」の研究なので結果も様々で、
思いもよらない新発見があったりもします。
高校生や若い皆さんも、興味があるかたは、
是非、バイオテクノロジーの「とびら」をたたいてください。
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