« 11月21日(水)魔法のことば  |  プレゼント♪ >

11月22日の名盤は

今週はサザン・ソウル/ディープ・ソウルについて紹介しました。

サザン・ソウルというのは、ごく簡単に言ってしまうと、

アメリカ南部から生まれた、ゴスペルやブルースに直結した、

いわゆる「濃~い」ソウル音楽のことで、必ずしも南部出身ではない

場合もあることから、ディープ・ソウルとも呼ばれています。

有名なところでは、1960年代のオーティス・レディングなどがいます。

全身を使って声を振り絞って歌う中に、哀しみがじんわりと滲み出てくる、

そんなイメージです。

こういった音楽は1960年代から70年代前半までは、

とても人気があったのですが、時代の流れとともに、だんだんと衰退、

70年代後半には、一部の愛好家たちを除いて、

メインストリームからは姿を消してしまいます。

まぁ、お酒でもタバコでも、ライフ・スタイルから人間関係、

さらには人間そのものが、ライトでマイルドな方面に向かっていく時代には、

そんなヘヴィで濃い歌は、ずいぶんと野暮ったく聴こえたのでしょう。

さらにはソウルの主な購買層である黒人たちにとっては、

そんなディープな歌は、苦しく貧しかった奴隷時代を思い出すということで、

特に社会進出を果たした都会の裕福な黒人層からは

拒絶されることもあったようです。

そんな中、1983年にジェイ・ブラックフットという人の「タクシー」という曲が

思いがけずヒットしました。

60年代からソウル・チルドレンというグループで多くのヒットを放った

彼のソロ第1弾で、サウンドこそは80年代風に洗練されているものの、

歌声はまさしくディープそのものでした。

若年層や白人にも受け入れられたこの曲のヒットが、

「黒人ならではのディープな感覚というものは、

いつの時代でもコンテンポラリーたりうる」と証明してみせました。

そしてその感覚はヒップホップ以降にも確実に息づいています。