12月13日(木)の名盤は
今日は1984年、イギリスで大ヒットした、バンド・エイドの
「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」を紹介しました。
クリスマス・コンピCDには必ず入っている有名な曲ですが、
この曲の前後に存在する物語を紹介します。
社会派ロック・バンド゙、ブームタウン・ラッツのボブ・ゲルドフは、
飢餓で苦しむエチオピア難民の惨状をテレビで見て、社会派の血が騒ぎ、
友人であるウルトラヴォックスのミッジ・ユーロと共に曲を書き始めます。
そのうち現実を社会に知らしめることも大切ながら、
それ以上に一刻も早くアフリカへお金を送ることが重要だと考え、
これをチャリティ・レコードにしようと決めます。
ならば爆発的メガ・セールスを記録しなければ意味がありません。
そこで音楽仲間に片っ端から声を書け、その結果、
U2、フィル・コリンズ、ワム!、カルチャー・クラブ、ポール・ウェラー、
デュラン・デュラン、スティングといったイギリスを中心とした
トップスターがおよそ40名も参加。(一部アメリカ勢も参加していました。)
バンド・エイド名義で発売したこの曲は、思惑通り超大ヒットを記録しました。
参加者は全員ノー・ギャラ。ボブ・ゲルドフとミッジ・ユーロも印税放棄。
レコード会社も必要経費だけで1円も利益を取らず、
その額は莫大なものでした。奇跡は起きたのです。確かに。
しかしこれに続いたアメリカ勢によるUSA・フォー・アフリカや
ライヴ・エイドは完全にビジネスの匂いが漂ったことから、
エイド・ブームを作ったバンド・エイドに批判が集まるようになったのです。
しかも、アフリカへ送った救援物資は一部の裕福層が横取りし、
本当に必要としている貧困層へはまったく届かず、
チャリティそのものが失敗に終わったことで、急激に夢は断ち切られました。
けれども、一瞬の夢だったのかもしれないけれど、
ミュージシャンとレコード会社、そして我々聴き手の三位一体となった
奇跡はあの時確かに存在したのです。